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ADHDの子どもが嫌なことから逃げる理由|怠けとの見分け方と対策
2026.08.18

「宿題をやりなさい」と声をかけるたびに、別のことを始めてしまう。
怠けなのか、ADHDの特性なのか。判断がつかないまま悩む保護者の方は、少なくありません。
結論からお伝えすると、「嫌なこと全般から逃げる」という行動そのものは、ADHDの診断項目ではありません。
長時間の精神的な努力を要する課題を避けることは診断基準に含まれますが、取りかかりにくさや見通しの立てにくさ、失敗経験が重なっている場合もあり、特性だけでは説明できないんです。
この記事では、1週間の記録で原因を切り分ける方法から、場面別の対策、学校への相談までを整理しました。
嫌なことを我慢できる子に変える必要はありません。今夜から試せる一歩がありますよ。
目次
ADHDの子どもが嫌なことから逃げるのはなぜ?怠けや甘えとは限らない4つの理由

- 行動そのものは診断項目ではないが診断基準とも関わる
- やらなきゃとわかっていても動き出せない
- 終わりが見えないと不安になる見通しの立てにくさ
- 失敗経験の積み重ねが自信を削り行きしぶりにもつながる
「またやらない」「言い訳ばかり」と感じる場面ほど、実は本人もいちばん困っているケースがあります。
ADHDの子どもが嫌なことから逃げる背景には、性格やしつけとは別の要因が隠れています。怠けやわがままとして片づけてしまうと、対応の方向がずれてしまうんです。
まずは、どんな仕組みで回避が起きるのかを4つの視点から見ていきましょう。
「嫌なことから逃げる」はADHDの診断項目そのものではない|診断基準に含まれる部分もある
- ADHDは医療機関が総合的に判断するもの
- 課題を避けることは不注意症状の一つに含まれる
- 「ADHDだから」で止まると原因を調べる作業が終わる
ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった様子をもとに、医療機関が総合的に判断します。
「嫌なこと全般から逃げる」という広い行動が、そのまま診断項目になっているわけではありません。一方で、長時間の精神的な努力を必要とする課題を避けたり嫌がったりすることは、不注意症状の一つとして診断基準に含まれています。
この違いを取り違えると、対応の方向がずれてしまいます。「ADHDだから逃げるんだ」と結論づけた瞬間、なぜ逃げるのかを調べる作業が止まってしまうためです。
実際の背景には、課題が難しすぎる、終わりが見えない、疲れているなど、さまざまな要因が混ざっています。
そもそも、嫌なことを避けたくなる気持ちは誰にでもありますね。違いがあるとすれば、その頻度と生活への支障の大きさです。
大切なのは診断名に当てはめることではなく、目の前で何が起きているかを具体的につかむことなんです。
「やらなきゃ」とわかっていても動き出せない|取りかかりと報酬の仕組み
- やる気ではなく行動を始めるスイッチの問題
- すぐ得られる小さな報酬を選びやすい傾向がある
- 最初の一歩を極端に小さくしてみる
「やらなきゃいけないのはわかってる」。お子さんからこの言葉を聞いたことがある方は多いはずです。
わかっているのに動き出せない状態こそ、ADHDのある子がつまずきやすいポイントなんです。やる気ではなく、行動を始めるスイッチが入りにくいと考えると糸口が見えてきます。
背景の一つに、報酬までの距離があります。
研究では、遅れて手に入る大きな報酬より、すぐ手に入る小さな報酬を選びやすい傾向が報告されています。将来の成果だけを示す声かけでは動き出しにくい場合があることを考える、一つの手がかりになりますね。
そこで役立つのが、「5分だけタイマーをかける」「1問解けたらチェックを入れる」といった小さな区切りです。
もう一つ大切なのが、最初の一歩を極端に小さくすることです。取りかかりが特に難しく、始めたあとは続けやすいお子さんもいますよ。
終わりが見えないと不安になる|見通しの立てにくさ
- かかる時間を見積もりにくく負担を大きく感じる
- 量が見えない課題や作文は特に負担が大きい
- 付箋やタイマーで終わりを見せると負担感が下がる
「あとどれくらいで終わるのか」がわからない課題は、大人でも手をつけにくいものですね。
ADHDのある子は、この見通しの立てにくさが強く出ることがあります。実際にどのくらい時間がかかるのかを見積もることが難しく、始める前から負担を大きく感じてしまうんです。
特に負担が大きいのが、量が見えない課題です。ドリル3ページと言われても、どこまで進めば終わりなのかがイメージできません。
ここで有効なのが、終わりを目に見える形にする工夫です。
問題番号に丸をつける、付箋で残りの枚数を貼る、タイマーで残り時間を示すなど、方法はいくつもあります。残りが減っていく様子が見えると、「あと少し」という感覚が生まれますよ。
失敗経験の積み重ねと、避け続けた先に起きること
- 逃げている対象は勉強ではなく失敗する体験のこともある
- 確実に越えられる高さまでハードルを下げる
- 自己肯定感の低下や行きしぶりを「怠け」と決めつけない
回避が続く背景に、これまでの失敗経験が影響している場合もあります。
急かされ、終わらずに叱られ、翌日も同じことを繰り返す。この流れが続くと、逃げている対象が勉強ではなく、失敗する体験そのものになっていくことがあるんです。
そのまま避け続けると、算数や英語のような積み上げ型の教科で遅れが重なりやすくなります。「自分はダメだ」という感覚が強まれば、勉強以外の場面でも消極的になり、朝の行きしぶりとして表れることもあります。
ここで大切なのは、行きしぶりを「怠け」や「甘え」と決めつけないことです。
文部科学省も、不登校はどの児童生徒にも起こり得るものであり、不登校というだけで問題行動と受け取らないこと、登校という結果だけを目標にしないことを示しています。
自信を取り戻すには、1問できた時点で「できたね」と伝えるくらいまでハードルを下げていきます。気づいた今が、対応を始めるいちばん良いタイミングですよ。
うちの子は何から逃げている?1週間の記録で原因を切り分ける

- 何から・いつ・どう逃げるかを1週間だけ記録する
- 特定の教科だけ避けるなら読み書きや計算の困りごとかも
- 不安・睡眠・疲れ、課題の量が合っていないことも
対応を考える前に、まず必要なのが原因の切り分けです。
同じ「逃げる」でも、算数だけを避ける子と、疲れる夕方だけ手が止まる子では、打つ手がまったく変わります。ここを飛ばして対策だけを試すと、効かない方法を繰り返すことになってしまいます。
これまで試した方法が効かなかったのは、やり方が悪かったのではなく、何につまずいているのかがまだ見えていなかっただけかもしれませんね。
何から・いつ・どう逃げるかを1週間だけ記録してみよう【記録シートつき】
- 記録は「何から・直前・反応・逃げ方・その後」の5つ
- 1週間分そろうと対象や時間帯の共通点が見える
- 学校や専門機関へ相談するときの資料にもなる
私たちがこれまで30,034人のお子さんを指導してきたなかで、宿題の前で手が止まる場面は大きく3つに分かれます。
課題の中身でつまずいている場合、時間帯や疲れでつまずいている場合、そして「また怒られる」という予想でつまずいている場合です。この3つは見た目がほとんど同じなのに、効く手立てがまったく違います。
見分ける方法はシンプルで、1週間だけ書き出してみることです。
頭の中だけで振り返ると、印象に残った出来事だけが大きく見えてしまいます。ノートでもスマートフォンのメモでも構いません。1行ずつで十分です。
書き出すのは、次の5つの項目です。
| 日付 | 何から逃げた? | その直前に何があった? | どんな反応だった? | どうやって逃げた? | そのあとどうなった? |
|---|---|---|---|---|---|
| 10月1日(火) | 漢字ドリル | 夕食前・疲れていた | 「あとでやる」 | テレビをつけた | 21時に泣きながら着手 |
| 10月2日(水) | 算数の文章題 | 長い口頭指示のあと | 「意味わかんない」 | トイレに立った | 読み上げたら3問解けた |
| 10月3日(木) | 音読の宿題 | 前日に発音を注意された | 黙り込んだ | 部屋に入った | 声かけずに待ったら自分で開いた |
| 10月4日(金) | 宿題全部 | 21時・就寝直前 | 「もう無理」 | 寝てしまった | 翌朝15分で半分終わった |
印刷して冷蔵庫に貼っておくか、スマートフォンのメモに同じ項目を作っておくと続けやすいですよ。
1週間分がそろうと、「漢字だけ避けている」「17時以降は必ず止まる」といった共通点が浮かび上がってきます。
注目するのは逃げ方の癖ではなく、引き金になっている状況のほうですよ。この記録は、学校や専門機関へ相談するときにもそのまま使えます。
特定の教科だけ避けるなら読み書きや計算の困りごとかも
- 避ける教科に偏りがあるかを確認する
- 読み書きや計算の負担が背景にある可能性
- 読み上げると解けるなら入出力の負担を疑う
記録を見返したとき、避ける教科が偏っていないか確認してみてください。
漢字だけ、作文だけ、算数の文章題だけを避けている場合、注意の問題とは別の困りごとが隠れている可能性があります。
代表的なのが、読み書きや計算に関する学習面のつまずきです。文字を読むのにエネルギーを使う、書き写しに時間がかかるといった特性があると、その教科だけ負担が大きくなります。
本人は「なんとなく嫌」としか言えないことが多いため、ここを見落としたまま量を増やすと、かえって回避が強まることもあります。
確認のポイントは、同じ内容を別の方法で示したときの反応です。読み上げたら解ける、口で言えばすらすら出てくるなら、理解ではなく入出力に負担がかかっているサインかもしれませんね。
不安・睡眠・疲れ、そして課題の量が本人に合っていないケース
- 睡眠不足は注意や集中を保ちにくくする要因になる
- 「間違えたらどうしよう」が最初の一歩を止める
- 量・レベル・形式の3つで課題そのものを見直す
教科に偏りがない場合は、体調や気持ち、そして課題そのものに目を向けてみましょう。
睡眠不足は、注意や集中を保ちにくくする要因になります。学校で気を張って過ごしている子ほど、帰宅後にエネルギーが残っていません。夕方に手が止まるなら、帰宅直後に15分だけ取り組む形にずらす工夫が効くこともあります。
不安の強さも、見逃されやすい要因です。
「間違えたらどうしよう」という気持ちが強いと、最初の一歩が踏み出せません。この場合は「まず書いて、あとで直せばいいよ」と伝えるだけでも負担が軽くなります。
最後に確認したいのが、課題そのものの適切さです。今何分かかっているか、多くの問題に自力で取り組めるか、書く量が多すぎないか。この3つの視点で見直すと、調整の余地が見えてきますよ。
甘やかしになる?逃げ癖がつく?という不安への答え
- 「全部やらせる」か「やらせない」かの二択ではない
- できるレベルまで下げると学習量を確保しやすい
- 戻り方まで決めれば休憩は自己調整の練習になる
「うちは怠けだと思って叱り続けていました」。記録をつけてみたら漢字だけを避けていた、というご相談はよくいただきます。
ただ、原因が見えても「今だけ楽をさせて、将来困るのでは」という心配は残りますよね。その気持ちは、お子さんの先を考えているからこそ生まれるものです。
ここでは、甘やかしと支援の境目を3つの角度から整理していきます。
「全部やらせる」か「全部やらせない」かの二択じゃない
- 二択で考えること自体が行き詰まりの原因
- 量・時間・答え方など調整の幅は思ったより広い
- 目標をなくすのではなく、たどり着く方法を変える
ADHDと嫌なことから逃げる行動について調べると、正反対の意見に出会います。
「厳しくしないと将来困る」という声もあれば、「無理をさせると二次的な問題が出る」という声もあり、余計に迷ってしまいますね。
実は、この二択で考えること自体が行き詰まりの原因なんです。
支援の考え方は、やらせるかやらせないかではなく、どのレベルなら取り組めるかを探すことにあります。同じ宿題でも、量を半分にする、時間を区切る、口頭で答えるなど、調整の幅は広く取れます。
1段が高すぎて上れない子に「頑張って」と言い続けても、転ぶ回数が増えるだけです。段差を低くして数を増やせば、同じ高さまで自分の足で上っていけます。
できるレベルまで下げて取り組むと学習量を確保しやすい
- 固まっている時間は学習量としてゼロのまま
- 少し考えれば届く難しさが取り組みやすさの目安
- 学年をさかのぼるのは土台を埋める作業
負担を下げると力がつかないのでは、と感じる方もいらっしゃいます。
ただ、できない課題を前に固まっている時間は、学習量としてはゼロのままです。1問でも解ければ、その分は確実に積み上がっていきます。
目安になるのは、多くの問題に自力で取り組めて、少し考えれば届く難しさです。簡単すぎると退屈しやすく、難しすぎると手が止まりやすくなります。
学年をさかのぼることをためらう必要もありません。
小学5年生が3年生の単元に戻るのは後退ではなく、抜けている土台を埋める作業です。できるところから始めて少しずつ上げていく進め方は、遠回りに見えても取り組める時間を増やしてくれますよ。
休憩は逃げじゃない|戻り方までセットで決めれば練習になる
- 限界まで我慢させると課題そのものが嫌いになる
- 「10分やって3分休む」と戻り方まで先に決める
- ほめ方は何ができたかを具体的に伝える
途中で手を止めることを、逃げだと感じてしまう方は少なくありません。
ただ、限界まで我慢させて続けた結果、課題そのものが嫌いになるケースもあります。
ポイントは、戻り方まで一緒に決めておくことです。「10分やったら3分休んで、タイマーが鳴ったら戻る」と最初に決めておけば、休憩が計画の一部になります。
休憩中はゲームや動画より、飲み物を取りに行くなど短時間で終わる行動が向いています。
戻れた日に声をかけるのも大切です。ADHDのある子どもの支援では望ましい行動に注目して褒める関わり方が用いられており、国立の研究機関でも保護者がこれを学ぶ取り組みが紹介されています。
「自分から戻れたね」のように、何ができたのかを言葉にして伝える方法もありますよ。
今日からできる対策|場面別の関わり方
- 宿題は「プリントを出す」まで小さくする
- 作文や片づけは工程を分けて指示は1つずつ
- 朝の行きしぶりは責める前に確かめることがある
- 「できた」より「始められた」に注目する
ここからは、実際の場面ごとに使える対策をまとめていきます。
すべてを一度に取り入れる必要はありません。お子さんのつまずきに近いところから、1つだけ試してみるくらいがちょうどいい進め方です。
宿題に取りかかれない|「やる」ではなく「プリントを出す」まで小さく
- 最初のゴールは「プリントを出す」まで下げる
- 「どっちから始める?」と選択肢を示す
- 全部終わらせることを毎回の目標にしない
ランドセルは玄関に置いたまま、テレビの前から動かない。声をかけると「今やろうと思ってた」と返ってきて、そこから30分が過ぎていく。
私たちのもとにいちばん多く届くのが、この場面のご相談です。
ここで有効なのが、目標を分解して最初の一歩まで小さくする方法です。「宿題をやる」ではなく「ランドセルからプリントを出す」を最初のゴールにします。
拍子抜けするほど小さくてかまいません。小学5年生で毎日30分固まっていたお子さんが、目標をここまで下げたところ、3日目には自分から机に向かえるようになった例もあります。
声かけも「早くやりなさい」より、「算数と漢字、どっちから始める?」と選択肢を示すほうが動きやすくなります。全部終わらせることを、毎回の目標にしなくても大丈夫ですよ。
宿題を避ける背景をもう少し深く知りたい方は、「宿題をしない子は発達障害?」で判断のポイントを整理しています。
作文・片づけが進まない|工程を分ける、指示は1つずつ
- 作文は考える・並べる・文にする・書くが同時にかかる
- 会話で内容を決めて付箋に書き留める
- 片づけの指示は1回に1つ、片づけ先はラベルで示す
原稿用紙を広げたまま1時間。机の上を片づけてと頼んでも、5分後にはランドセルが同じ場所に置かれたままです。
この2つは別の困りごとに見えますが、正体は同じで、一度に処理する工程が多すぎることなんです。作文なら、考える・順番を決める・文にする・書くという4つの作業が同時にかかります。
そこで、書く前の工程を分けます。会話だけで内容を決めて、出てきた言葉を付箋に書き留め、5枚ほど並んだら順番に並べ替えるだけで構成が完成します。
考えることと書くことを分けるだけで、負担は大きく変わりますよ。
片づけは、指示の長さがつまずきの原因になりやすいところです。3つ続けて伝えると、どれにも手をつけられなくなります。伝え方は、1回に1つが基本です。
箱に「文具」「プリント」とラベルを貼って、片づける先を見える形にしておくのも助けになりますね。
片づけだけが極端に苦手な場合は、「ADHDで片付けられない」に具体的な仕組みづくりをまとめています。
朝の行きしぶり|責める前に確かめたいこと
- いつから始まったか、曜日や時間割に手がかりがある
- 腹痛や頭痛はまず医療機関で確認する
- 理由を問い詰めず答えやすい形で尋ねる
ランドセルは玄関にあるのに、布団から出てこない。時計を見せても、返ってくるのは「おなかが痛い」だけです。
朝の行きしぶりは、宿題を避けるのとは違い、背景に人間関係や授業の負担が隠れていることがあります。強く叱って送り出すと、翌日以降さらに言い出しにくくなってしまいます。
まず確かめたいのは、いつから始まったかという点です。特定の曜日だけなら、その日の時間割にヒントがあるかもしれません。
腹痛や頭痛を訴える場合は、気持ちの問題と決めつけず、まず医療機関で診てもらうと安心です。
話を聞くときは、理由を問い詰めない姿勢が大切ですね。「何時間目がつらい?」のように答えやすい形で尋ねると、状況が見えてくることがあります。
登校をしぶる日が続いているなら、「学校行きたくないと言われたら」で初動の対応を確認してみてください。
中学生になって逃げる場面が増えたときは
- 教科担任制や提出物管理が負担を一気に増やす
- 未提出・遅刻・欠席が増えていないか確認する
- 管理を強めるより本人と相談しながら決める
提出物の一覧を見せると部屋にこもってしまう。テスト2週間前になっても、教科書がカバンから出てきません。
中学生になると、避ける場面が急に増えることがあります。教科ごとに先生が変わり、提出物の管理も複雑になるためです。定期テストという長期の目標が加わることで、見通しの立てにくさも大きくなります。
まず確認したいのは、未提出や遅刻、欠席が増えていないかという点です。これらが重なっているなら、学習面だけの問題ではない可能性があります。
この年代では、本人の意思を尊重する姿勢も欠かせません。保護者の方が一方的に管理を強めると、反発につながることもあります。
どこを手伝ってほしいか本人に選んでもらいながら支援の形を決めていくと、協力を得やすくなりますよ。
共通のコツは「できた」より「始められた」に注目すること
- 完成だけを評価すると途中まで頑張った日が失敗になる
- 「自分から机に向かえたね」と具体的に伝える
- 小さなごほうびは行動の直後に手渡す
ここまでの方法には、すべてに共通する考え方があります。
それは、完成ではなく開始に注目することです。終わったかどうかだけが評価の対象になっていると、途中まで頑張った日はすべて失敗になってしまいますね。
取りかかりに困りごとを抱える子にとって、始められた事実は大きな一歩です。「自分から机に向かえたね」と具体的に伝えていくと、その行動が定着しやすくなります。
シールを1枚貼る、好きな音楽を1曲かけるといった小さなごほうびも、行動の直後に手渡すのがコツです。
カレンダーに「始められた日」のシールを貼っていくと、続いている実感が本人にも保護者の方にも残りますよ。
家庭で抱え込まないで|学校に相談できることと通級という選択肢
- 診断がなくても学校への相談は始められる
- 課題の小分けや提出方法など合理的配慮を相談できる
- 通級は在籍クラスを変えずに利用できる仕組み
家庭の工夫だけでは限界がある場面も、当然あります。
ADHDのお子さんが嫌なことから逃げる状況が続くときは、学校と一緒に考えるほうが解決は早くなります。保護者の方が一人で背負い込む必要は、まったくないんです。
診断がなくても相談できる|担任や特別支援教育コーディネーターへの伝え方
- 学校が見ているのは今どんなことに困っているか
- 「やる気がない」ではなく数字で具体的に伝える
- 要望は目的とセットにすると調整案が出やすい
相談をためらう理由として多いのが、診断を受けていないことです。
実際には、診断名がなくても学校への相談は始められます。学校が支援を考えるときは、その子が今どんなことに困っているかという点も大切になるからです。
専門機関は予約が数か月先になることもあり、待っている間も学校生活は続いていきますね。
伝え方のコツは、事実を数字で示すことです。「宿題を始めるまで平均50分かかっています」と伝えたことで、量の調整に応じてもらえたケースがあります。ここで1週間の記録がそのまま役立ちます。
要望は目的とセットにすると受け入れられやすくなります。「毎日提出できる形にしたいので、量の相談をさせてください」と伝える形ですね。
相談先は担任の先生だけではなく、多くの学校には特別支援教育コーディネーターという役割の先生がいますよ。
課題の小分けや提出方法|相談できる合理的配慮の具体例
- 国公立学校は以前から、私立も2024年4月から法的義務に
- 課題の小分けや情報の視覚化、座席などを相談できる
- どこまで調整できるかは個別に話し合って決まる
学校に相談できる内容は、思っているより幅があります。
国公立学校では以前から合理的配慮の提供が法的義務とされており、2024年4月からは改正障害者差別解消法の施行によって、私立学校を含む民間事業者にも法的義務となりました。
ただし、希望がすべてそのまま通る仕組みではない点は押さえておきましょう。
実際に相談されることが多いのは、課題を小分けにする、手順や指示を絵や文字で視覚化する、刺激の少ない座席を検討する、提出期限や回答方法を個別に調整するといった内容です。
提出方法も、写真で送る、翌朝直接渡すなど続けやすい形を探せます。
一方で、どこまで変更できるかは、その課題の学習目的や本人の状況、学校の体制を踏まえて個別に話し合って決まります。目標を下げるのではなく、たどり着く道筋を一緒に増やしていく発想ですね。
通級による指導ってどんなもの?
- 通常の学級に在籍しながら一部の時間だけ利用する
- 令和6年度は230,405人が通級による指導を利用
- 本人の課題に応じた特別の指導を行う場でもある
公的な支援の一つに、通級による指導があります。
これは、通常の学級に在籍して大部分の授業を受けながら、一部の時間だけ在籍校や他校で特別の指導を受ける仕組みです。在籍するクラスは変わりません。
文部科学省の令和6年度通級による指導実施状況調査では、通級による指導を受けた児童生徒は230,405人で、前年度から27,029人増え、児童生徒全体の1.9%となりました。
指導の内容は、単なる教科の補習ではありません。障害による学習上・生活上の困難を改善し、克服するための特別の指導が行われます。
本人の課題に応じて、課題への取りかかり方や気持ちの整え方、困ったときの伝え方などを扱う場合もあるんです。
体制や受け入れ枠には地域差があるため、まずは担任や特別支援教育コーディネーターに確認してみてください。
学校の外で学習を支える4つの選択肢を比べてみた
- 放課後等デイサービスは生活面や対人面まで支える
- 個別指導塾は家以外に切り替えられる場所をつくれる
- オンライン教材はつまずいた学年までさかのぼれる
- 家庭教師は自宅で1対1、取りかかりから始められる
| 選択肢 | 主な役割 | 費用の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 放課後等デイサービス | 生活面や対人面まで支える | 自己負担上限月額0円/4,600円/37,200円(所得区分による・別途実費あり) | 学習以外の課題も大きい |
| 個別指導塾 | 家庭以外で学習に取り組む | 教室・学年・回数により異なる | 家では切り替えが難しい |
| オンライン教材 | さかのぼり学習を自宅で進める | サービスにより異なる | 前の学年からやり直したい |
| 家庭教師 | 自宅で1対1の伴走を受ける | 1コマ30分900円〜(会社により異なる) | 取りかかりから一緒に始めたい |
学校の仕組みだけで足りない部分は、外部のサービスで補うこともできます。
それぞれ目的も費用も異なるため、お子さんの状況に合うものを選ぶことが大切です。どれか一つに絞る必要はなく、組み合わせているご家庭も多くありますよ。
放課後等デイサービス・個別指導塾・オンライン教材|それぞれの向き不向き
- 放デイは自己負担の上限月額があり受給者証が必要
- 個別指導塾は場所を変えることで切り替えやすい
- オンライン教材は開始のきっかけが生まれにくい
学習以外にも支援が必要な場合は、放課後等デイサービスが選択肢になります。生活面や対人面まで幅広く扱う福祉サービスです。
利用料には所得区分に応じた自己負担の上限月額が定められており、生活保護・非課税世帯は0円、一般1は4,600円、一般2は37,200円です。これは利用料の上限で、食費などの実費は別にかかる場合があります。
利用には自治体が発行する受給者証が必要で、申請には時間がかかります。
家では気持ちの切り替えが難しい子には、個別指導塾が向いていることがあります。費用は週1回で月1万円台から2万円台になることもありますが、学年や回数、季節講習や教材費の有無で大きく変わります。
ただし講師1人に生徒2〜3人という形式もあり、通塾そのものが負担になる子もいます。教室選びの視点は「発達障害の子に合う塾」で整理しています。
オンライン教材は、つまずいた学年まで戻って学び直せるタイプが増えています。費用はサービスによって幅がありますが、比較的取り入れやすい選択肢です。
一方で、取りかかることが難しい子は端末を開く段階で止まってしまうことがあるんです。
家庭教師|自宅で1対1だから「取りかかり」を一緒につくれる
- 決まった時間に先生が来ることできっかけが生まれる
- 訪問とオンラインを切り替えれば選択肢を確保しやすい
- 相性が大きいため体験で確かめてから決める
取りかかりそのものに困っている場合、家庭教師も選択肢の一つになります。
通う負担がなく、決まった時間に先生が到着することで、始めるきっかけが生まれます。この外からのきっかけが、動き出せない子にとって支えになることがあるんです。
もう一つ、見落とされやすい違いがあります。
通級による指導は在籍校や他校で受ける学校教育の制度で、塾は教室に通って受けるものです。家庭教師は自宅で受けられるという、場所の違いがあります。
訪問とオンラインを切り替えられる形なら、体調や気持ちに波があるお子さんでも学習を続ける選択肢を確保しやすくなります。どれが優れているという話ではなく、役割が違うということですね。
注意点は、講師との相性に左右されることです。発達特性への理解があるか、交代の相談ができるかを契約前に確認しておくと安心ですよ。選び方は「発達障害の家庭教師」で詳しくまとめています。
申し込む前に確かめたい|総額・解約条件・体験での見るべきポイント
- 効果を保証する表現や「治す」という表現に注意する
- 入会金や教材費まで含めた総額と解約条件を確認する
- 体験では答えを待つ時間があるかを見る
契約前に確かめておきたいことが、いくつかあります。
「必ず成績が上がる」といった成果を保証する言葉や、困りごとを「治す」という表現には慎重に目を通しましょう。
費用は月謝だけで比べず、入会金や教材費まで含めて1年でいくらになるかを数字で出してもらいます。特に高額な教材の販売があるかどうかは確認しておきたいところです。
家庭教師や学習塾は、契約期間が2か月を超え、入会金や教材費を含む総額が5万円を超えると特定継続的役務提供の対象になります。この場合、法定の契約書面を受け取った日から8日以内であれば、原則としてクーリング・オフができます。
トラブルが起きたときは、消費者ホットライン188に相談できますよ。
ここは、この記事でお伝えしてきた「ハードルを下げる」という考え方と同じです。合わなかったらやめられるとわかっているから、まず一歩を踏み出せる。回避が強いお子さんにこそ、この設計が効いてきます。
体験では、説明が長すぎないか、答えを待つ時間があるかを見ておきましょう。
ちなみに私たちの無料体験も90分・無理な勧誘なしで、合いそうかどうかを確かめていただくための場としてご用意しています。
勉強が苦手な子に寄り添う家庭教師のランナーとは

- 勉強が苦手な小中高生を専門にサポート
- 発達障がいコミュニケーション指導者が在籍
- 1コマ30分900円・高額教材なしで続けられる
ここまでお伝えしてきた「取りかかりを一緒につくる」という関わり方を、実際に形にしているサービスとして、私たち家庭教師のランナーをご紹介させてください。
勉強が苦手な小中高生を専門にサポートしている家庭教師グループです。
30,034人の指導実績|「取りかかれない子」の場面を知っている
- 2004年創業で21年、累計30,034人の指導実績
- 「勉強が苦手な小中高生専門」の指導方針
- 2024年の第一志望合格率は97.5%
ランナーは2004年の創業から21年にわたり、これまで30,034人のお子さんを指導してきました。
この記事の前半でお伝えした「手が止まる3つのパターン」も、この現場から見えてきたものです。私たちが向き合ってきたのは、成績上位層ではなく、机に向かうところでつまずいているお子さんなんです。
無気力に見える子や、勉強に反発している子への関わり方も、経験として蓄積されています。
指導で大切にしているのは、「わかる楽しさ」を実感してもらうことです。できない部分を指摘するのではなく、理解できた場面を積み重ねて自信につなげていきます。
登録講師数は約14万人で、2024年の第一志望合格率は97.5%と公表しています。
発達障がいコミュニケーション指導者が在籍|訪問とオンラインを切り替えられる
- 指導者やカウンセラーに特性を相談できる
- 全コースでオンライン対応、全国から利用可能
- 医療的な診断や治療は行わない
発達特性のあるお子さんを預けるとき、いちばん気になるのは理解のある先生に出会えるかどうかですよね。
ランナーには発達障がいコミュニケーション指導者が在籍し、発達障害や不登校に対応するカウンセラーにも相談できます。くわしくは発達障害サポートのページでご案内しています。
1回の課題量を減らす、説明を短く区切る、口頭で答える形に変えるといった調整も相談できますよ。
そしてもう一つが、訪問とオンラインを切り替えられることです。全コースでオンライン指導に対応しているため、体調や気持ちに波があるお子さんの場合も、ご家庭の状況に合わせた指導の形をあらかじめご相談いただけます。
LINEでの質問対応もあり、次の指導まで待たずに解決できます。
ただし、ランナーは医療的な診断や治療を行うサービスではありません。学習面と取りかかりの支援を中心に、学校や専門機関と併用していただく形が現実的です。
1コマ30分900円・高額教材なし|「合わなかったら抜けられる」という安心
- 小中学生は1コマ30分900円、高校生は1,000円
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続けやすさを左右するのが、やはり費用面です。
ランナーの指導料は、未就学児・小学生・中学生が1コマ30分あたり900円、高校生が1,000円です。週1回60分なら、月々およそ12,000円から15,000円が目安になります。
2人同時指導なら、2人目以降の月々の料金は半額以下です。そして、高額なテキスト販売はありません。
逃げることが増えているお子さんに、いきなり大きな約束をさせるのは負担が大きすぎますよね。「最初の一歩を極端に小さくする」という考え方は、私たち自身の契約の形にも当てはめています。
無料体験は90分で、講師との相性を確かめてから決めていただけます。無理な勧誘はありませんので、まずは試すところからで大丈夫ですよ。
大人になっても嫌なことから逃げてしまうのはなぜ?ADHDと回避行動のよくある質問
- 大人のADHDでもみられる先延ばしと仕事での対処法
- ASDでは別の理由で回避が起きることがある
- 薬だけで回避がなくなるわけではない
ここまで子どもの場面を中心にお伝えしてきましたが、同じ悩みは大人になっても続くことがあります。
「自分も昔からそうだった」と感じながら読まれた方もいらっしゃるかもしれませんね。最後に、判断に迷いやすいテーマをまとめました。
大人のADHDでもみられる先延ばし|仕事の場面での対処法
- 取りかかりにくさや先延ばしは大人でもみられる
- 「ファイルを開く」など最初の1動作まで分解する
- 開始時刻を具体的に決めると動きやすい
大人になっても、苦手な作業を後回しにしてしまう方はいます。自分は逃げる性格なのだと感じている方も少なくありません。
取りかかりにくさや先延ばしは、大人のADHDでもみられることがあります。ただし症状の現れ方は年齢によって変わり、仕事や生活で求められることの違いによって困りごとの出方も変わっていきます。
性格の問題として片づけてしまうと、対処の方法が見えなくなってしまうんです。
仕事の場面でも、課題を最初の1動作まで分解する方法が役立ちます。「資料を作る」ではなく「ファイルを開く」、「メールを返す」ではなく「開いて読む」を最初のゴールにします。
「今日中にやる」では動けなくても、「14時に5分だけ着手する」と開始時刻を決めれば行動に移しやすくなりますね。
お子さんの将来について同じような心配を抱えている方は、「発達障害で勉強しない将来」もあわせて読んでみてくださいね。
ASD(アスペルガー症候群)でも嫌なことから逃げることはある?
- 見通しの立たなさや感覚面の負担が引き金になる
- 予定を先に伝える、手順を絵や文字で示す
- 両方の特性がある場合は状況に応じて使い分ける
自閉スペクトラム症(ASD)のあるお子さんでも、嫌なことを避ける場面は見られます。以前アスペルガー症候群と診断されていた方も、この診断名に含まれます。
ただし、背景にある理由は一人ひとり異なります。ASDでは、見通しの立たなさや感覚面の負担が引き金になることがあるんです。
予定が急に変わった、教室がうるさい、手順がわからないといった状況が負担になるケースですね。
そのため、予定を事前に伝える、手順を絵や文字で示す、静かな場所を用意するといった工夫が助けになります。
両方の特性を併せ持つお子さんも珍しくありません。診断名で対応を決めるのではなく、目の前の困りごとから考えていきましょう。
薬を飲めば嫌なことから逃げなくなる?
- 症状が改善しても課題の難しさや不安は残る
- 環境の調整や関わり方の工夫と組み合わせる
- 使用の判断は医療機関が総合的に行う
結論からお伝えすると、薬だけで回避行動がなくなると考えるのは現実的ではありません。
薬物療法によって不注意や衝動性などの症状が改善することがあっても、課題が難しすぎる、不安が強い、失敗経験が積み重なっているといった要因は残るためです。
実際の支援では、環境の調整や関わり方の工夫と組み合わせて考えるのが一般的です。
薬を使うかどうかは、年齢や症状の程度、生活への影響を踏まえて医療機関が総合的に判断します。効果や副作用にも個人差があり、自己判断で決められるものではありません。
相談の際は、家庭での記録があると状況が伝わりやすくなりますよ。
専門機関に相談する目安ってあるの?
- 欠席・強い不安・自己否定が続くときは早めに相談
- 家庭内の衝突が激しい場合も優先度は高い
- 担任や自治体の相談窓口、電話相談から始められる
相談のタイミングに迷う方は多いはずです。
欠席や行きしぶりが増えている、強い不安が続いている、「自分はダメだ」という言葉が増えているといった状態が続く場合は、早めの相談をおすすめします。
睡眠や生活リズムが大きく崩れているときも同じです。
家庭内の衝突が激しくなっている場合も、優先度は高くなります。保護者の方が疲れ切ってしまうと、対応を続けること自体が難しくなるためです。
相談先は、学校の担任や特別支援教育コーディネーター、自治体の教育相談窓口が入口になります。24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)のように、電話で相談できる窓口もありますよ。
迷った段階で相談しても、早すぎるということはありません。
ADHDが嫌なことから逃げる理由と家庭でできる対応法についてまとめ
- ・回避のすべてをADHDだけで説明することはできない
- ・まず1週間の記録で何から・いつ逃げているかを切り分ける
- ・課題は最初の一歩まで小さくし、始められたことを評価する
- ・休憩は戻り方までセットで決めれば自己調整の練習になる
- ・診断がなくても学校に相談でき、通級などの仕組みも使える
- ・家庭教師やオンライン教材など外部の支援も組み合わせられる
ADHDの子どもが嫌なことから逃げる背景には、複数の要因が重なっています。
取りかかりのスイッチが入りにくいこと、終わりが見えず負担を大きく感じること、これまでの失敗が自信を削っていることなどが挙げられます。
回避行動にADHDの症状が関係することもありますが、すべての回避を特性だけで説明することはできないんです。
もし今夜1つだけやるなら、記録用紙に1行書くところからで十分です。何から逃げたか、その直前に何があったか。それだけで、明日からの声のかけ方は変わっていきます。
そして、家庭だけで抱え込む必要はありません。診断がなくても学校には相談でき、通級による指導や放課後等デイサービス、家庭教師など外部の支援も組み合わせられます。
目指したいのは、嫌なことをすべて我慢できる子に変えることではありません。自分の苦手に気づき、課題を小さくでき、必要なときに助けを求められる状態です。
もし「取りかかるところから一緒にやってほしい」と感じたら、90分の無料体験でお子さんの様子を見せてくださいね。合わなければ、そこで終わりにしていただいて大丈夫ですよ。








