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ADHDで片付けられないのはなぜ?原因と今日からできる片付けのコツ
2025.12.19

「何度片付けてもすぐに散らかってしまう」「片付けようと思っても、どこから手をつけていいかわからない」そんな悩みを抱えていませんか。
ADHDの特性がある方にとって、片付けは想像以上にハードルが高い作業なんです。
実は片付けられないのは、あなたの努力不足や性格の問題ではありません。脳の働き方の違いによって、片付けに必要な「計画を立てる」「優先順位をつける」といった機能がうまく働きにくいことが原因です。
この記事では、ADHDの特性と片付けの関係をわかりやすく解説します。さらに、特性に合った具体的な片付けのコツや、一人で抱え込まないためのサポート先もご紹介していきます。
「自分を責めてばかりだった」という方も、この記事を読めば「そういうことだったのか」と腑に落ちるはずです。
今日からできる小さな一歩を、一緒に見つけていきましょう。
目次
そもそもADHDってどんな特性があるの?

- ADHDは「注意欠如・多動症」と呼ばれる発達障害の一つ
- 「不注意」の特性:集中が続かない、物の場所を忘れやすい
- 「多動性・衝動性」の特性:じっとしていられない、思いついたらすぐ行動
ADHDは「注意欠如・多動症」と呼ばれる発達障害の一つです。
脳の神経伝達物質の働き方に違いがあり、主に「不注意」と「多動性・衝動性」という2つの特性が見られます。それぞれの特性について詳しく見ていきましょう。
注意が続かない・集中しづらい「不注意」の特性
- 一つのことに集中し続けるのが難しい
- 物をどこに置いたか忘れやすい
- 細かい作業を最後までやり遂げるのが苦手
不注意の特性があると、一つのことに集中し続けるのが難しくなります。
片付けを始めても、途中で別のものが目に入ると気が散ってしまうんです。
たとえば、本棚を整理しようとしたら懐かしい本を見つけて読みふけってしまった、という経験はありませんか。これは意志が弱いのではなく、注意をコントロールする脳の機能が関係しています。
また、物をどこに置いたか忘れてしまうことも多いです。鍵や財布、スマホなどを「さっきまでここにあったのに」と探し回る場面が日常的に起こります。こうした特性があると、片付けた場所を覚えておくこと自体が難しくなるんです。
さらに、細かい作業を最後までやり遂げるのも苦手な傾向があります。片付けは「分類する」「収納する」「元の場所に戻す」といった複数のステップが必要です。
途中で集中が切れてしまい、中途半端な状態で終わってしまうことが少なくありません。
じっとしていられない「多動性・衝動性」の特性
- 体や頭が常に動き回っている状態になりやすい
- 思いついたらすぐ行動してしまう衝動性がある
- 衝動買いで物が増えやすい傾向も
多動性の特性があると、体や頭が常に動き回っている状態になりやすいです。
じっと座って作業を続けることが苦手で、すぐに立ち上がったり別のことを始めたりしてしまいます。
衝動性は「思いついたらすぐ行動してしまう」という形で現れます。片付け中に「あ、あれもやらなきゃ」と思いつくと、今やっていたことを放り出して別の作業に移ってしまうんです。
結果として、あちこち手をつけて何も片付かないという状況に陥りやすくなります。
買い物でも衝動性が影響します。「これ便利そう」「今買わないとなくなるかも」という気持ちで次々と物を購入してしまい、気づけば部屋に物があふれているということも。こうした特性が重なって、片付けがさらに難しくなっていくのです。
大人になると、体の多動は落ち着く方も多いです。しかし「頭の中の多動」は続くことが多く、常に複数のことを考えている状態になります。
ADHDの人が片付けられない5つの理由

- 捨てるタイミングがわからず物が増える
- 「あとでやろう」の先延ばしグセ
- 脳内多動で集中できない
- 過集中が片付けの邪魔をする
- 計画を立てるのが苦手
ADHDの特性があると、なぜ片付けが難しくなるのでしょうか。
ここでは具体的な5つの理由を解説します。自分に当てはまるものがあるかチェックしてみてください。
捨てるタイミングがわからず物が増えてしまう
- 「まだ使うかも」と物を捨てる決断ができない
- 将来の使用頻度を予測する「実行機能」が苦手
- 物への愛着が強く手放せないケースも多い
ADHDの方は「これはまだ使うかも」「いつか必要になるかも」と考えて、物を捨てる決断ができないことが多いです。
捨てるかどうかの判断には、将来の使用頻度を予測する力が必要になります。
しかし、この「先を見通す力」はADHDの方が苦手とする実行機能の一つなんです。結果として、とりあえず取っておこうという選択が積み重なり、物がどんどん増えていきます。
また、物に対する愛着が強い傾向もあります。「この服は思い出があるから」「このガジェットはいつか使いたい」といった感情的な理由で手放せないケースも少なくありません。
物が増え続けると収納スペースが足りなくなり、床やテーブルの上に物が溢れ出します。
捨てられない理由は「もったいない」だけではありません。脳の特性として、物の取捨選択という判断作業自体が大きな負担になっているのです。
「あとでやろう」が積み重なる先延ばしグセ
- ADHDの方に非常に多く見られる特徴
- 脳が「今すぐやらなければ」という緊急性を感じにくい
- 片付けには明確な締め切りがないため後回しになりやすい
先延ばしはADHDの方に非常に多く見られる特徴です。
「今はまだ大丈夫」「週末にまとめてやろう」と思っているうちに、どんどん散らかりがひどくなっていきます。
これは怠けているわけではありません。ADHDの方は「今すぐやらなければならない緊急性」を感じにくい傾向があります。締め切り直前になってようやくエンジンがかかる、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
片付けには明確な締め切りがないため、緊急性を感じにくいのです。
「明日やろう」が何日も何週間も続き、気づけば手がつけられない状態になってしまいます。さらに、散らかった状態を見ると「こんなに散らかってしまった」と落ち込み、余計に片付けから遠ざかる悪循環に陥りやすいです。
先延ばしグセを責める必要はありません。脳の特性を理解した上で、対策を考えていくことが大切です。
頭の中がフル回転!脳内多動で集中できない
- 頭の中で常に複数の考えが飛び交っている状態
- 外からの刺激にも敏感に反応してしまう
- 片付けのような単調な作業は特に集中しにくい
ADHDの方の頭の中は、常に複数の考えが飛び交っている状態です。
これを「脳内多動」と呼ぶことがあります。
片付けをしていても「そういえばあのメール返信してない」「今度の予定どうしよう」「お腹すいたな」といった考えが次々と浮かんできます。一つの作業に意識を向け続けることが、とても難しいんです。
外からの刺激にも敏感に反応しやすいです。テレビの音、スマホの通知、窓の外の景色など、さまざまなものに注意が引っ張られてしまいます。
片付けという地味で単調な作業は、特に集中を維持しにくい傾向があります。
脳内多動があると、片付けを始めても数分で別のことを考え始めてしまいます。気づいたら全く違うことをしていた、というのはADHDの方にとってはよくある経験です。
ハマると止まらない過集中が邪魔をする
- 興味のあることには何時間でも没頭できる
- 片付けは「興味が持てない作業」になりやすい
- 片付け中に興味のあるものを見つけると過集中してしまう
ADHDには「過集中」という特性もあります。
興味のあることには何時間でも没頭できる一方、興味のないことには全く集中できないという極端さがあるんです。
片付けは多くの方にとって「興味が持てない作業」に分類されます。そのため、なかなか取りかかれないという状況が生まれます。一方で、片付け中に興味のあるものを見つけると、そこに過集中してしまうことも。
たとえば、古い写真を見つけて何時間も眺めてしまったり、昔のゲームを見つけて遊び始めてしまったり。
本来の目的である片付けがどこかに行ってしまいます。過集中が解けた頃には疲れ果てていて、片付けを続ける気力がなくなっている、というパターンも珍しくありません。
過集中は悪いことばかりではありませんが、片付けにおいては障壁になりやすい特性です。
何から手をつけるか計画を立てるのが苦手
- 片付けには計画を立てる「実行機能」が必要
- 散らかった部屋を見ると情報量に圧倒されてしまう
- 作業を細かいステップに分解することも苦手
片付けには「どこから始めるか」「何を優先するか」「どう進めるか」という計画が必要です。
しかし、この計画を立てる力は「実行機能」と呼ばれ、ADHDの方が苦手とする領域なんです。
散らかった部屋を見ると、情報量の多さに圧倒されてしまいます。「全部片付けなきゃ」と思うと、どこから手をつけていいかわからなくなり、結局何もできないまま終わってしまうことも。
また、作業を細かいステップに分解することも苦手です。
「片付ける」という大きな目標はわかっていても、具体的に何をすればいいのかがイメージできません。漠然とした不安や焦りだけが募り、行動に移せないという悪循環に陥りやすいのです。
計画を立てられないのは能力の問題ではありません。脳の特性によるものなので、外部のツールやサポートを活用することが有効です。
片付けられないと起きる困りごとって?
- 必要なものが見つからず探し物に時間を取られる
- 同じものを重複購入してお金がムダになる
- 散らかった空間で心が休まらずストレスが溜まる
片付けられない状態が続くと、日常生活にさまざまな支障が出てきます。
ここでは代表的な3つの困りごとを紹介します。当てはまるものがあれば、後半で紹介する対策を試してみてください。
必要なものが見つからなくて困る
- 朝の忙しい時間に鍵や書類が見つからないトラブルが頻発
- 探し物に膨大な時間を費やしてしまう
- 「また失くした」という自己否定につながりやすい
物が散らかっていると、必要なときに必要なものが見つかりません。
朝の忙しい時間に鍵が見つからない、大事な書類がどこにあるかわからない、といったトラブルが頻発します。
探す回数が増えるほど、日常の余裕が削られていきます。ADHDの方の場合、この時間はさらに長くなることもあるでしょう。
探し物が見つからないストレスは精神的にも大きな負担です。「また失くした」「自分はダメだ」という自己否定につながりやすく、自己肯定感の低下を招きます。遅刻や約束を守れないといった社会的な信用にも影響が出てきます。
物の定位置を決めることで、この問題はかなり軽減できます。後半で紹介する「見える収納」がおすすめです。
同じものを買ってしまいお金がムダになる
- 何を持っているか把握できず重複購入してしまう
- 小さな出費も積み重なると家計への影響大
- 収納グッズを買い足しても根本解決にならない
片付いていない部屋では、何を持っているかの把握が難しくなります。
「あれ、電池あったかな?」と買いに行ったら、家に10本もストックがあった、という経験はありませんか。
文房具、日用品、調味料など、同じものを重複して購入してしまうことが増えます。一つ一つは小さな出費でも、積み重なると家計への影響は無視できません。
また、物が多すぎて収納家具や収納グッズを次々と買い足してしまうパターンもあります。根本的な解決にならないまま出費だけが増えていくのです。買ったことを忘れて同じものを再購入する、使わないまま期限が切れてしまう、といった無駄も発生します。
持ち物を把握できる仕組みを作ることで、無駄な出費を減らすことができます。
散らかった部屋で心が休まらない
- 散らかった空間は無意識に脳に負担をかける
- 視界に入る物が「片付けなきゃ」というプレッシャーに
- 睡眠の質にも悪影響が出ることがある
散らかった空間は、無意識のうちに脳に負担をかけています。
目に入る情報量が多いほど、脳は処理に追われて疲労します。
ADHDの方は外部からの刺激に敏感な方も多いため、散らかった部屋にいるだけでストレスを感じやすいです。リラックスしたくても、視界に入る物たちが「片付けなきゃ」というプレッシャーを与え続けます。
睡眠の質にも影響が出ることがあります。寝室が散らかっていると、寝つきが悪くなったり、熟睡できなくなったりする方もいます。慢性的な疲労感やイライラの原因が、実は部屋の散らかりだったというケースも珍しくありません。
片付いた空間には、心を落ち着かせる効果があります。まずは寝室や作業スペースなど、よく過ごす場所から整えてみることをおすすめします。
今日から試せる!ADHDに合った片付けのコツ
- まずは1か所だけ、小さな範囲から始める
- タイマーで15分だけ集中する方法が効果的
- 見える収納・ざっくりボックスで仕組み化
- 物を減らす・増やさないルールを決める
- ボディダブリングで作業効率アップ
ADHDの特性を理解した上で、無理なく続けられる片付けのコツを6つご紹介します。
すべてを一度にやる必要はありません。自分に合いそうなものから、一つずつ試してみてください。
まずは1か所だけ!小さく始めるのがポイント
- 5〜10分で終わる範囲から始める
- 毎日使う場所を優先するのがコツ
- 完璧を目指さず「ちょっとマシになった」でOK
「部屋全体を片付けよう」と思うと、圧倒されて動けなくなってしまいます。
まずは1か所だけ、それも小さな範囲から始めましょう。
おすすめは、引き出し一つ、カバンの中、机の上の一角など、5〜10分で終わる範囲です。小さな成功体験を積み重ねることで「自分にもできる」という自信がついてきます。
場所を選ぶときは、毎日使う場所を優先するのがコツです。玄関の鍵置き場、洗面台の上、キッチンの調理スペースなど、よく使う場所が片付くと生活の質がグッと上がります。
完璧を目指す必要はありません。「ちょっとマシになった」で十分なんです。小さな一歩を積み重ねていくことが、ADHDの方には特に効果的です。
タイマーで15分だけ集中してみよう
- 終わりが見えることで取りかかりやすくなる
- 15分経ったら途中でもストップしてOK
- 視覚的に残り時間がわかるタイマーがおすすめ
ADHDの方にとって、終わりの見えない作業は苦痛です。
そこでおすすめなのが、タイマーを使った時間制限法です。
やり方は簡単で、タイマーを15分にセットして、鳴るまで片付けに集中します。15分経ったら、たとえ途中でもストップしてOKです。「15分だけ」と思えば、取りかかりのハードルがグッと下がります。
この方法のメリットは、終わりが見えていることです。「いつまで続くかわからない」という不安がないので、集中しやすくなります。調子が良ければ、もう15分追加してもいいでしょう。
スマホのタイマーやキッチンタイマー、アプリなど、使いやすいものを選んでください。視覚的に残り時間がわかるタイマーは特におすすめです。
見える収納で「どこに何があるか」をわかりやすく
- 「見えないものは存在を忘れる」傾向への対策
- 透明ケースやオープンシェルフを活用
- ラベリングで中身を一目でわかるように
ADHDの方は「見えないものは存在を忘れる」傾向があります。
扉や引き出しの中にしまったものは、あっという間に記憶から消えてしまうんです。
そこでおすすめなのが「見える収納」です。透明なケースや、オープンシェルフを活用して、中身が一目でわかるようにしましょう。
ラベリングも効果的です。収納ボックスや引き出しに、中身を書いたラベルを貼っておきます。「文房具」「薬」「充電器」など、大まかなカテゴリーでOKです。文字だけでなく、写真やイラストを使うとさらにわかりやすくなります。
見える収納にすると、物を探す時間が大幅に減ります。また、元の場所に戻す習慣もつきやすくなるんです。
細かく分けない!ざっくりボックスで放り込み収納
- 細かく分類する収納はADHDの方に向いていない
- 大きめの箱やカゴに放り込むだけでOK
- カテゴリーは大まかで十分
細かく分類する収納は、ADHDの方には向いていません。
「これはどのカテゴリー?」と迷っているうちに疲れてしまい、結局どこにも片付けられなくなります。
おすすめは「ざっくりボックス」です。大きめの箱やカゴを用意して、とりあえず放り込むだけでOKにします。完璧な分類より、まず床やテーブルの上から物をなくすことが優先です。
カテゴリーは「よく使うもの」「たまに使うもの」「あとで判断するもの」くらいの大まかさで十分。細かく分けようとすると続きません。
定期的にボックスの中を見直す日を決めておくと、物が溜まりすぎるのを防げます。月に1回など、カレンダーに予定を入れておくといいでしょう。
物を減らす・増やさないルールを決めておく
- 物が少なければ片付けの手間も減る
- 「1年使っていないものは手放す」がおすすめ
- 「1つ買ったら1つ手放す」で増やさない工夫を
片付けを楽にする最大のコツは、そもそも物を減らすことです。
物が少なければ、片付けの手間も減ります。
物を減らすときは「1年使っていないものは手放す」というルールがシンプルでおすすめです。迷ったら一旦「保留ボックス」に入れて、3ヶ月後に再判断する方法もあります。
物を増やさないためのルールも決めておきましょう。「1つ買ったら1つ手放す」「24時間ルール」など、自分に合ったものを選んでください。24時間ルールとは、欲しいものがあっても24時間待ってから購入を決める方法です。
衝動買いを防ぐために、買い物リストを作る習慣も効果的です。リストにないものは買わない、と決めておくと無駄な買い物が減ります。
誰かと一緒にやる「ボディダブリング」を試してみて
- 誰かがそばにいる状態で作業すると集中しやすい
- 一緒に片付けてもらう必要はない
- オンラインの「もくもく作業会」も効果的
ボディダブリングとは、誰かがそばにいる状態で作業することです。
ADHDの方に特に効果があると言われている方法なんです。
一緒に片付けをしてもらう必要はありません。家族に同じ部屋にいてもらう、友達と通話をつなぎながら片付ける、カフェのような人がいる場所で作業するなど、「誰かの存在を感じる」だけでOKです。
なぜ効果があるのかは完全には解明されていませんが、適度な緊張感や「見られている」という意識が集中を助けると考えられています。オンラインで「もくもく作業会」に参加するのも一つの方法です。
一人だとどうしても進まないという方は、ぜひボディダブリングを試してみてください。驚くほど作業がはかどることがあります。
一人で抱え込まないで!頼れるサポート先
- 家事代行サービスでプロの力を借りる
- 発達障害者支援センターで無料相談できる
- つらいときは医療機関への相談も選択肢
自分一人で何とかしようとしなくて大丈夫です。
片付けが難しいときに頼れるサポート先を3つご紹介します。必要に応じて、外部の力を借りることも大切な選択肢です。
家事代行サービスを活用してみる
- プロのスタッフが自宅で片付けや掃除をしてくれる
- 発達障害への理解があるサービスも増えている
- 定期利用で散らかりすぎる前にリセットできる
家事代行サービスは、プロのスタッフが自宅に来て片付けや掃除をしてくれるサービスです。
「人に家の中を見せるのが恥ずかしい」と思うかもしれませんが、スタッフは多くのお宅を見てきたプロです。
最近は発達障害への理解があるサービスも増えています。事前に「ADHDの特性があって片付けが苦手」と伝えておくと、配慮してもらえることも多いです。
定期的に来てもらうことで、散らかりすぎる前にリセットできます。1回だけお願いして、片付いた状態をスタート地点にするという使い方もおすすめです。料金は1時間2,000〜4,600円程度が相場で、サービスによって異なります。
業者を選ぶときは、口コミや料金体系を事前に確認しましょう。見積もりを書面でもらうことも大切です。
発達障害者支援センターに相談する
- 都道府県・指定都市に設置されている公的な相談窓口
- 発達障害に関する困りごとを無料で相談できる
- 診断の有無に関わらず相談可能
発達障害者支援センターは、都道府県・指定都市に設置されている公的な相談窓口です。
発達障害に関するさまざまな困りごとについて、無料で相談できます。
片付けられない悩みも相談対象です。専門のスタッフが話を聞いて、利用できる支援サービスや対処法を一緒に考えてくれます。診断の有無に関わらず相談できるので、「自分はADHDかもしれない」という段階でも大丈夫です。
センターでは、就労支援や生活支援につないでもらえることもあります。自治体によっては、ヘルパーによる家事援助サービスを利用できる場合もあるんです。まずは電話やメールで問い合わせてみることをおすすめします。
相談することで、一人で抱えていた悩みが軽くなることも多いです。
つらいときは医療機関を受診しよう
- 日常生活に大きな支障が出ている場合は相談を
- 診断を受けることで自分の特性を正しく理解できる
- 薬物療法やカウンセリングも選択肢になる
片付けられないことで日常生活に大きな支障が出ている場合は、医療機関への相談も選択肢です。
精神科や心療内科、発達障害専門のクリニックで診てもらえます。
診断を受けることで、自分の特性を正しく理解できます。「努力が足りないのではなく、脳の特性だった」とわかることで、自分を責める気持ちが和らぐ方も多いです。
必要に応じて、薬物療法やカウンセリングを受けることもできます。ADHDの薬は、注意力の維持や衝動のコントロールを助ける効果が期待できます。すべての方に効果があるわけではありませんが、日常生活が楽になったという声も少なくありません。
受診をためらう方も多いですが、つらさを感じているなら専門家の力を借りることは恥ずかしいことではありません。
家族や周囲の人ができるサポート
- 片付けられないのは怠けではないと理解する
- 「片付けて」より具体的な指示を出す
- 一緒に片付けて並走する姿勢が大切
ADHDの方の片付けをサポートするために、家族や周囲の人ができることがあります。
本人を責めるのではなく、一緒に解決策を考える姿勢が大切です。
「怠けじゃない」とまず理解する
- 片付けられないのは脳の働き方の違いによるもの
- 責める言葉は本人をさらに追い詰めてしまう
- 本人の話をじっくり聞く姿勢が大切
片付けられないのは、怠けでもだらしなさでもありません。
脳の働き方の違いによって、片付けに必要な機能がうまく働きにくいのです。
この点を理解することが、サポートの第一歩になります。「なんでできないの」「やる気がないだけでしょ」といった言葉は、本人をさらに追い詰めてしまいます。
ADHDの方は、片付けられない自分を誰よりも責めています。周囲から責められると自己肯定感がさらに下がり、ますます行動できなくなる悪循環に陥ります。まずは「片付けが難しいのには理由がある」と理解して、責めない姿勢を持ってください。
本人の話をじっくり聞いて、どんなことに困っているかを一緒に考える姿勢が大切です。
「片付けて」より具体的に伝える
- 曖昧な指示だと何から始めればいいかわからない
- 一つの行動に絞った具体的な指示が効果的
- 量や時間を限定すると取りかかりやすい
「部屋を片付けて」という指示は、ADHDの方には曖昧すぎます。
何から始めればいいかわからず、かえって動けなくなってしまうんです。
代わりに、具体的で細かい指示を出してみてください。「机の上の本を本棚に戻して」「床に落ちている服を洗濯カゴに入れて」のように、一つの行動に絞るのがポイントです。
「5分だけ」「3つだけ」のように、量や時間を限定するのも効果的です。終わりが見えることで、取りかかりやすくなります。一つ終わったら次の指示、という形で少しずつ進めていきましょう。
イライラすることもあるかもしれませんが、小さな進歩を褒めることが本人のモチベーションにつながります。
一緒に片付けて並走する
- 一人で片付けるのが難しい場合は一緒にやる
- 横で見張るのではなく自分も一緒に作業する
- 片付けタイムを定例化すると続けやすい
一人で片付けるのが難しい場合は、一緒にやることで作業が進みやすくなります。
これは先ほど紹介した「ボディダブリング」の効果でもあります。
横で見張っているのではなく、自分も一緒に作業するのがポイントです。「私はキッチンをやるから、あなたはリビングをお願い」のように、それぞれの担当を決めて同時に進めましょう。
片付けを「一緒にやる家事の時間」として定例化するのもおすすめです。毎週土曜の午前中は家族で片付けタイム、など習慣にすると続けやすくなります。
本人のペースを尊重しながら、焦らず根気強くサポートしていくことが大切です。できたことを認めて、小さな成功体験を一緒に積み重ねていきましょう。
ADHDで片付けられない悩みについてまとめ
- ・ADHDで片付けられないのは脳の特性によるもので努力不足ではない
- ・「不注意」「多動性・衝動性」が片付けに必要な機能に影響している
- ・小さく始める、タイマーを使う、見える収納などの対策が効果的
- ・一人で抱え込まず、サポート先を活用することも大切
- ・家族は「責めない」「具体的に伝える」「一緒にやる」姿勢でサポートを
ADHDで片付けられないのは、脳の特性によるものです。
決してあなたの努力不足や性格の問題ではありません。「不注意」や「多動性・衝動性」といった特性が、片付けに必要な計画力や集中力に影響を与えているんです。
この記事では、ADHDの方に合った片付けのコツを6つご紹介しました。
まずは1か所から始める、タイマーで15分だけ集中する、見える収納にする、ざっくりボックスを活用する、物を減らすルールを決める、ボディダブリングを試す。すべてを一度にやる必要はありません。
自分に合いそうなものを一つ選んで、今日から試してみてください。小さな成功体験を積み重ねることが、片付けへの苦手意識を和らげる第一歩になります。
一人で抱え込む必要もありません。家事代行サービス、発達障害者支援センター、医療機関など、頼れるサポート先はたくさんあります。つらいときは遠慮なく、外部の力を借りてください。
あなたのペースで、少しずつ前に進んでいきましょう。








