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ADHDとIQ|平均は低い?高IQで見逃される理由と検査の活かし方

2026.08.18

ADHDとIQ|平均は低い?高IQで見逃される理由と検査の活かし方

検査結果を見ながら、「IQは高いのに、どうして宿題が終わらないんだろう」と戸惑っていませんか。

結論からお伝えすると、ADHDという診断名から、その人のIQを言い当てることはできません。低い方も高い方も、どちらもいらっしゃいます。

この記事では、平均や分布のデータをもとに、高IQで見逃される理由を整理します。無料テストで見分けられるのか、知能検査はどこで受けられるのか、結果をどう活かすのかまで順にご説明しますね。

読み終えるころには、「数字の高さ」ではなく「どの場面で止まっているか」という見方に切り替わっているはずです。

目次

結論|ADHDのIQは低いとは限らない|平均・分布をデータで確かめよう

結論|ADHDのIQは低いとは限らない|平均・分布をデータで確かめよう

  • 診断名から個人のIQは推測できない
  • 集団の平均差と個人の数値は別モノ
  • IQは全体のどの位置かで読む

ADHDは注意や行動のコントロールに関する特性で、IQは認知の力を数値にした指標です。

測っているものが違うため、片方からもう片方を言い当てることはできません。まずは平均や分布のデータを確かめながら、数字の受け止め方を整理していきましょう。

ADHDという診断名からその人のIQは推測できない|低い人も高い人もいる

  • 症状・経過・複数場面での支障を総合して判断
  • IQの数値は診断基準に含まれていない
  • 知的障害のある方からIQ130超の方までいる

ADHDの診断は、いくつかの条件を組み合わせて判断されます。

不注意や多動性・衝動性の症状が一定数みられること。12歳になる前から症状が見られていたこと。家庭と学校など複数の場面で起きていて、生活や学習に支障が出ていること。ほかの状態でより適切に説明できないこと。

こうした点を総合して評価が行われます。IQの数値が診断基準に含まれているわけではありません

実際、ADHDのある方のIQは、知的障害を併せ持つ方からIQ130を超える方まで幅広く分布しています。

そのため「ADHDだからIQが低い」という説明は、事実と食い違います。反対に「IQが高いからADHDではない」という判断も成り立ちません。診断名は、その人の能力の上限を示すラベルではないんです。

医療機関でも、問診や行動の記録、複数の場面での様子を組み合わせて評価が行われます。知能検査は、その一部として本人の理解を深めるために使われる道具のひとつですね。

ADHDのIQ平均は本当に低い?集団の平均と個人の数値は別モノ

  • 多くの得点は年齢相応の範囲に収まる
  • やや低めに出やすいのはワーキングメモリー
  • 二つの集団の分布は大きく重なっている

国外の研究では、WISC-VやWAIS-IVの結果をADHDのある群と比べたまとめが報告されています。

そこで示されたのは、多くの得点が年齢相応の範囲に収まるという結果でした。その中でやや低めに出やすかったのが、ワーキングメモリーに関する指標です。

ワーキングメモリーとは、聞いた情報を一時的に覚えながら作業する力のことですね。買い物のメモを覚えたまま計算する場面などで使われています。

ただし、この傾向はあくまで集団を平均したときに見える差にすぎません

平均が数点違っていても、それぞれの集団には高い方も低い方も含まれています。分布が大きく重なっているため、平均差から個人の数値を割り出すことはできないのです。

研究ごとに対象者の年齢や背景も異なるため、報告される平均値にはばらつきが生じます。同じ研究でも、検査のプロフィールだけでADHDを見分けるには精度が足りないと結論づけられています。

お子さんの力を知りたいときは、平均値と比べるより、実際の検査結果と日々の様子を合わせて見るほうがずっと役に立ちますよ。

ADHDだと知能検査でIQが低く出ることがある|当日の状態にも左右される

  • 注意が途切れると分かる問題も取りこぼす
  • 制限時間のある課題ほど影響が出やすい
  • 睡眠や緊張など当日の状態も関わる

知能検査の得点は、受けたその日の状態に左右される部分があります。

ADHDの特性がある場合、注意が途切れた瞬間に取りこぼしが生まれることがあります。分かっている問題でも、聞き逃しや読み飛ばしで失点する場面があるんです。

制限時間のある課題では、この影響がさらに出やすくなります。処理速度を測る課題は、単純な作業を素早く正確に続ける形式だからですね。集中の波があると、実力どおりの得点になりにくいことがあります。

検査室の環境や、当日の睡眠、緊張の度合いも結果に関わります。そのため、出てきた数値は「その人の能力の上限」を示すものではありません。その日その条件での様子を切り取ったもの、と考えるのが適切です。

ただし、ADHDがあれば低く出る、と決まっているわけでもありません。

先ほどの研究でも、ADHDのある群の多くの得点は年齢相応の範囲に収まると報告されていました。数値が思ったより低かった場合は、検査中の様子を心理士の方に確認してみてください。

途中で疲れが出ていたのか、集中が続いていたのかで、解釈が大きく変わってきます。

IQ130・IQ120は上位何%?知能段階の目安をチェックしよう

  • IQ130以上は約2%・IQ120台は約7%
  • 平均とされるIQ90〜109は約半数
  • 数値より全体のどこに位置するかを見る

IQは平均を100として、多くの方が90から109の範囲に入るよう設計されています。数値そのものより、全体の中でどのあたりに位置するかを知ることが大切ですね。

IQの範囲 一般的な段階の目安 おおよその割合
130以上 非常に高い 約2%
120〜129 高い 約7%
110〜119 平均の上 約16%
90〜109 平均 約50%
80〜89 平均の下 約16%
70〜79 境界域 約7%
69以下 非常に低い 約2%

割合は統計上の目安で、段階の名称は検査の種類や版によって異なります。

IQ130以上やIQ120台は全体のどれくらいの割合?

IQ130以上に該当するのは、全体のおよそ2%程度とされています。IQ120台は約7%前後で、IQ110以上まで広げると全体のおよそ4分の1ですね。

数値が高いほど、全体に占める該当者の割合は少なくなります。

平均とされるIQ90〜109はどんな状態を指すの?

IQ90〜109は平均の範囲とされ、全体のおよそ半数が含まれます。同年齢の集団の中で、知能検査上の得点が平均的な位置にある層です。

この範囲でも、指標ごとの差が大きい場合は学習面の支援が役立つことがあります。

ADHDでもIQが高い人はいる|高IQだと見逃されやすいのはなぜ?

ADHDでもIQが高い人はいる|高IQだと見逃されやすいのはなぜ?

  • 高い認知の力で困りごとが隠れることがある
  • 成績が良いと周囲が気づきにくい
  • 埋め合わせが効かなくなる時期がある

IQが高いお子さんほど、困りごとが表に出にくくなることがあります。

研究でも、IQが高い層ほど診断に至る時期が遅くなる傾向が報告されています。なぜ気づかれにくいのか、その仕組みを具体的に見ていきましょう。

高い認知の力で自力カバー|埋め合わせが効かなくなるのはいつ?

  • 聞き逃しても後から読んで理解できる
  • 周囲には順調に見えて負担が伝わりにくい
  • 課題量が増える時期に限界を迎えやすい

高いIQは、苦手な部分を自力で埋め合わせる力にもなります。

授業を聞き逃しても教科書を読めば理解できる、宿題を忘れても休み時間に仕上げられる。こうした形で乗り切れてしまうことがあります。

本来の困りごとが覆い隠されるこの状態は、マスキングと呼ばれることがあります。

実際には、本人は毎回ぎりぎりの綱渡りを続けている状態かもしれません。同じ結果に追いつくために、人より多くの労力をかけていることもあります。

埋め合わせが効くのは、課題量が少ないうちに限られます。

学年が上がって提出物や科目が増えると、この方法は限界を迎えます。中学入学、高校入学、そして大学や就職と、自己管理の量が一段増えるタイミングが節目になりやすいですね。

限界が近づいているときは、次のような変化が見られることがあります。

テストの点は保てているのに提出物だけ遅れ始める
帰宅後に動けず、宿題の開始時刻が後ろにずれていく
「疲れた」「面倒くさい」という言葉が急に増える
得意教科と苦手教科の差が短期間で開く

本人が「なんとかできている」と言っていても、その裏側の負担を確認しておきたいところです。

なお、ここでご説明した「自力でカバーする」という見方は、気づかれにくさを理解するための考え方です。

成績が良いと気づかれにくい|「やればできるはず」が本人を追い詰める

  • 点数が取れると忘れ物は性格の問題にされる
  • 取りかかれない状態と分からない状態は別
  • 成績以外の情報を数字にすると見えてくる

学校での評価は、テストの点数に大きく左右されます。とくに小学校高学年から中学生の子供は、成績という分かりやすい指標で見られがちですね。

点数が取れていると、多少の忘れ物や遅刻は「性格の問題」で片づけられてしまいます。そこで生まれやすいのが、「頭は悪くないのだから、やればできるはず」という受け止め方です。

けれども、課題に取りかかれない状態と、理解できない状態はまったく別のものです。

知識や語彙が豊富でも、締め切りの管理や持ち物の整理が苦手な場合があります。この状態は、本人の意欲だけでは説明できません。

叱責が続くと、本人は「自分は努力できない人間だ」と感じやすくなります。

自己評価の低下は、学習意欲や登校のしづらさにつながることもあります。私たちのもとにも、この悪循環に入ってからご相談に来られるご家庭が多いです。

気づきを早めるには、成績以外の情報を見ておくことが役立ちます。提出率、忘れ物の回数、朝の準備にかかる時間。数字にすると、感覚では見えなかった負担が浮かび上がってきますよ。

高IQとADHDが重なるとみられることがある困りごと

  • 簡単すぎる課題で集中が切れることがある
  • 先を読みすぎて書き始められないことも
  • これだけでADHDと判断はできない

高IQとADHDが重なると、独特の困りごとが生まれることがあります。

よく聞かれるのは、簡単すぎる課題で集中が切れてしまう状態です。答えが分かっている計算を何十問も解く作業に、耐えられなくなることがあります。

頭の中で先を読みすぎて、書き始められない場合もありますね。

完成形が見えるのに手が動かない
興味のある話題では話が止まらない
指示の意図を考えすぎて行動が遅れる
途中式を飛ばしてケアレスミスが増える
納得できない指示に強く反発してしまう

これらは「わがまま」と受け取られやすい行動ばかりです。実際には、能力の高さと注意の切り替えにくさが同時に働いていることもあります

ただし、こうした様子は不安の強さや完璧主義など、別の背景でも起こります。当てはまる項目が多いからADHD、と判断できるものではありません。

周囲が仕組みの問題として捉え直すだけで、関係は落ち着いていくことが多いです。課題の量や難易度を調整するだけで変化が出る場面もありますよ。

ギフテッドや2E(二重に特別な子)ってどんな状態?

  • ギフテッドは特定分野で高い能力を示す状態
  • 2Eは高い能力と学習上の困難を併せ持つ
  • 整理の軸は「進める力」でのつまずき

ギフテッドは、特定の分野で高い能力を示す状態を指す言葉です。

日本では法律上の定義がある用語ではなく、使われ方にも幅があります。文部科学省は、特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援について検討を進めてきました。

2Eは、高い能力と学習上の困難を併せ持つ状態を表します。能力の高さと困りごとが打ち消し合い、どちらも見えにくくなる点が特徴ですね。

では、才能ゆえの退屈なのか、ADHDの特性が重なっているのかは、どう整理するとよいのでしょうか。

整理の軸のひとつは、始める・続ける・終える・提出するという「進める力」でつまずいているかどうかです

興味の有無にかかわらず、取りかかること自体が重い。終わったのに提出を忘れる。こうした場面が続くなら、退屈さだけでは説明しきれないかもしれません。

これは診断のための基準ではなく、困りごとを言葉にするための見方です。この4段階の考え方は、記事の後半でくわしく整理していますね。

支援では、才能を伸ばす面と困難を支える面の両方が必要になります。

難易度を下げるだけでは退屈し、興味だけを追うと基礎が抜けてしまいます。得意な分野で自信を保ちながら、苦手な部分は仕組みで補う形が現実的かもしれません。

大人になって「頭はいいのに続かない」と悩むケース

  • 社会に出ると締め切り管理の比重が上がる
  • 評価と実感のずれが本人を追い詰める
  • 仕事内容より進め方の仕組みを変える

大人になってから相談に訪れる方も増えています。

学生時代は成績で評価されていたため、大きな問題にならなかったという方ですね。社会に出ると、締め切り管理や書類整理の比重が一気に上がります。

資格試験には合格できるのに、日々の報告書が出せないというご相談もあります。周囲から「能力があるのに不真面目」と見られ、評価と実感がずれていきます。

転職を繰り返すうちに、自信を失ってしまう方もいます。ここでも大切なのは、能力の問題と遂行の問題を分けることです。

仕事の内容を変えるより、進め方の仕組みを変えるほうが効果的な場合があります。締め切りを分割する、口頭指示を文字に残すといった工夫ですね。

働きづらさが強いときは、医療機関や発達障害者支援センターへの相談も選択肢になります。

「ADHDそれとも高IQ?」診断テストで見分けられる?

  • 無料のIQテストでは診断はできない
  • 知能検査の結果だけでも判断できない
  • 家庭では相談前の観察を整理する

インターネット上には、無料で受けられるIQテストやセルフチェックが数多くあります。

手軽に試せる反面、結果の扱い方を間違えると判断を誤ってしまいます。

ここでは、テスト結果をどこまで信じてよいのか、そして家庭で何を見ておくとよいのかを整理していきましょう。

無料のIQテストや診断テストでADHDは判定できない

  • 標準化されていない検査は比較ができない
  • スクリーニングだけで診断は確定できない
  • 気になった項目をメモする使い方が有効

ウェブ上の無料テストには、標準化の手続きを経ていないものも多くあります。

標準化とは、多くの人のデータをもとに基準を作る作業のことです。この工程がないと、出てきた数値を同年齢の集団と比べることができません。

そのため、表示された数値は目安としても扱いにくいのが実情ですね。

ADHDのセルフチェックは、少し性質が異なります。研究で妥当性が検討されたスクリーニング尺度もあり、傾向を知る手がかりにはなります。

ただし、スクリーニングの結果だけで診断を確定することはできません。体調や気分によって、回答内容が変わることもよくあります。

それでも、セルフチェックにはきっかけとしての価値があります。

言葉にできなかった困りごとが項目として並ぶことで、整理が進む場合があるからです。結果そのものより、気になった項目をメモしておく使い方がおすすめですよ。

知能検査の結果だけでもADHDかどうかは判断できない

  • 知能検査はADHDを確定する検査ではない
  • 生活・学校・経過を組み合わせて評価する
  • どの条件なら力を出せたかに注目する

知能検査は、本人の考え方の特徴や得意不得意を知るための道具です。

ADHDを確定させるための検査として作られたものではありません。結果表に「ADHDの可能性あり」といった判定が出ることもないんです。

実際の評価では、検査結果に加えて複数の情報が組み合わされます。

□ 家庭での様子や生活リズム
学校や職場での様子
幼少期からの経過
睡眠や体調の状態
ほかの特性や不安の有無

複数の場面で同じような困りごとが続いているかも、重要な確認点になります。特定の場面だけで起きている場合は、環境側の要因が大きいこともありますね。

検査を受けた直後は、数値だけが強く印象に残りやすい時期です。そんなときこそ、結果を渡してくれた専門家に読み方を尋ねてみてください。

結果を家庭や学校で生かすには、どの条件なら力を出せたかに注目すると役立ちます。時間を区切ったとき、口頭より文字のほうが伝わったときなど、条件の違いが見えてきますよ。

ADHDか高IQか|家庭で見分ける前に整理したい5つの観察ポイント

  • 診断のための判別表ではない
  • 相談前に材料を整えるための観察軸
  • 両方が重なっているケースも多い

高IQのお子さんとADHDのお子さんは、行動だけを見ると似て見えることがあります。

どちらも授業中に集中が切れたり、宿題に手をつけなかったりする場面があるからですね。ただし、ご家庭の観察だけでADHDか高IQかを見分けることはできません

判断には、発達の経過や複数の場面での様子、ほかの状態との区別などが必要になります。それでも、相談に行く前に材料を整えておくと、専門家との話がぐんと具体的になりますよ。

ご家庭で見ておきたいポイントを5つに整理しました。

1.課題の難易度を上げたときどうなるか
2.時間を15分単位など短く区切ったときどうなるか
3.興味のある課題なら「始める」までがスムーズか
4.困りごとが学校でも家でも起きているか
5.忘れ物や持ち物管理など、退屈さでは説明しにくい場面があるか

それぞれ、何を記録して何を伝えるとよいかをまとめました。

観察する場面 記録しておくこと 相談で伝えるとよいこと
課題の難易度を上げたとき 集中の続いた時間と様子の変化 どの難易度なら取り組めたか
15分など短く区切ったとき 進んだ量と中断した回数 区切り方による進み方の違い
興味のある課題のとき 取りかかるまでにかかった時間 好きな課題でも開始が重いか
学校と家それぞれの場面 どちらで、どんな形で起きたか 場面ごとの困りごとの違い
忘れ物・持ち物の管理 週あたりの回数 退屈さでは説明しにくい場面

1〜2週間ほど、気づいたことを一行ずつメモしておけば十分ですよ。

退屈さが背景にある場合、注意の切り替えにくさが背景にある場合、そして両方が重なっている場合があります。

どれか一つに決めつけると、必要な支援を取りこぼす可能性があります。記録はそのまま持って、専門家に渡すのがいちばん確実ですね。

セルフチェックの結果はどう受け止めればいい?

  • 結果は診断ではなく相談の材料にする
  • 気になった項目は場面を書き出しておく
  • 該当が少なくても困っていれば相談してよい

セルフチェックの結果は、診断ではなく相談の材料と考えてみてください。

「該当項目が多かった」という結果は、困りごとを整理する手がかりにはなります。ただし、その原因がADHDだけとは限りません。

睡眠不足や不安、環境の変化でも似た状態は起こります

そのため、結果を見たあとにやることは自己判断ではありません。気になった項目について、実際の場面を書き出す作業が次の一歩になります。

いつ、どこで、どんな状況で起きたのかをメモしておきましょう。この記録があると、相談先での話がスムーズに進みますよ。専門家も、具体的な場面の情報から評価を組み立てていきます。

反対に、結果が低かったからといって安心する必要もありません。本人が困っている事実があるなら、それだけで相談する理由になります。診断名の有無にかかわらず、支援は始められるものですね。

WISC・WAISの結果の見方|指標ごとに何が分かる?

  • 子どもはWISC・大人はWAISが中心
  • 全検査IQと主要指標は見る力が違う
  • 凸凹があること自体は珍しくない

検査結果を受け取っても、数字の意味が分からず戸惑う方は多いですね。

指標ごとに何を見ているかが分かると、支援の手がかりが見えてきます。

以前の版であるWISC-IVの結果をお持ちの方は、「WISC-IV知能検査の結果の見方」もあわせてご覧くださいね。

子どもはWISC・大人はWAIS|16歳台は対象年齢が重なる

  • WISCは5歳0か月から16歳11か月が対象
  • WAISは16歳0か月から90歳11か月が対象
  • 受けた検査の版を確認しておくと安心

WISCとWAISは、同じ系統の知能検査で対象年齢が異なります。

WISCは5歳0か月から16歳11か月まで、WAISは16歳0か月から90歳11か月までが対象です。16歳台はどちらの対象にも入るため、状況に応じてどちらかが選ばれます

どちらの検査でも、全体的な知的水準と領域ごとの特徴が分かります。ただし、版によって指標の名称や数が変わる点には注意が必要です。日本ではWISCは第5版、WAISは第4版が広く使われています。

検査の版は改訂されることがあり、下位検査が追加された新しい版が案内される場合もあります。お子さんが受けた検査がどの版かを確認しておくと、結果を読み間違えずに済みますね。

検査にかかる時間は、算出する指標の範囲によって45分から90分程度が目安になります。

結果は数値だけでなく、検査中の様子も含めて報告されます。どこで手が止まったか、どう答えたかという情報のほうが役立つ場面もありますよ。

全検査IQと主要指標はそれぞれ何を見ているの?

  • 全検査IQは全体的な水準の目安
  • 指標得点は領域ごとの力を分けて示す
  • WISC-Vは5つ・WAIS-IVは4つで構成が違う

全検査IQは、複数の課題をまとめた全体的な水準の目安です。一方で指標得点は、領域ごとの力を分けて示したものになります。

指標間の差が大きい場合、全体の数値だけでは実態をつかみにくくなります。それぞれの指標が何を見ているのか、確認しておきましょう。

WISC-Vは5つ、WAIS-IVは4つ|指標の数と名前が違う

検査 主要な指標
WISC-V(5歳0か月〜16歳11か月) 言語理解/視空間/流動性推理/ワーキングメモリー/処理速度の5つ
WAIS-IV(16歳0か月〜90歳11か月) 言語理解/知覚推理/ワーキングメモリー/処理速度の4つ

WISC-Vでは、以前の「知覚推理」が視空間と流動性推理の2つに分かれました。

結果表を見るときは、どちらの検査を受けたのかをまず確認しておくと混乱しませんね。

それぞれの指標がみているのはどんな力?

言語理解は、言葉で概念を扱う力を見ています。語彙の豊かさや、共通点を言葉で説明する課題が含まれます。

視空間・流動性推理や知覚推理は、目で見た情報から関係や法則をとらえる力です。図形の構成やパターンの推理といった課題が用いられます。

ワーキングメモリーは、情報を頭に保ちながら操作する力です。数字を逆から言う課題などで測られ、聞き取りや暗算の場面で使われます。

処理速度は、簡単な作業を素早く正確にこなす力を指します。板書や時間制限のある課題で困りごとが出たとき、参考になることがあります。

ワーキングメモリーが低いとADHDなの?

  • 不安や聞き取りの苦手さも成績に影響する
  • 日常で同じ困りごとがあるかを確認する
  • 原因の特定より負担を減らす工夫を先に

ワーキングメモリーの得点が低いと、ADHDを疑う方は多いですね。

研究でも、ADHDのある群でこの指標がやや低めに出る傾向は報告されています。ただし、低い理由はADHDだけではありません

不安が強い状態や、聞き取りの苦手さも検査成績に影響することがあります。睡眠不足や検査当日の緊張が関わることもありますね。

確認したいのは、日常でも似た困りごとが起きているかという点です。

複数の口頭指示のうち後半を忘れる
暗算の途中で数字が抜けてしまう
作業中に何をしていたか分からなくなる
板書を写す途中で行を見失う

こうした場面が実際にあるなら、支援の対象として考える価値があります。ただし、目で追う力や注意の向け方など、別の要因で起こることもあります。

指示を一度に一つにする、文字やチェック表にするだけでも変化が出ますよ。「ワーキングメモリが低い子への具体的な対応」もあわせてどうぞ。

言語性IQと動作性IQの差が大きい/凸凹が大きいときの考え方

  • 言語性・動作性の二区分は現在使われていない
  • 指標の差だけで学習タイプは決められない
  • 差があること自体は問題を示すものではない

言語性IQと動作性IQという区分は、以前の版で使われていた枠組みです。

現在のWISCやWAISでは、この二つに分ける形は採用されていません。より細かい指標得点で、領域ごとの特徴を見る方式に変わっています。

差が大きいときに参考になるのは、どんな伝え方だと届きやすいかという情報です。

言葉での説明が届きやすいのか、図や実物のほうが伝わるのか。ただし、指標の差だけで「言語型」「視覚型」と決めてしまうのは避けたいところですね。

検査結果は、日々の様子と合わせて解釈するものです。また、指標間の差、いわゆる凸凹は誰にでも見られるものです。差があるという事実だけで、発達障害と結びつけることはできません

判断の基準は、あくまで生活や学習で支障が出ているかどうかです。

凸凹の形は、その場面を説明する材料として使うのが本来の役割ですね。特定の指標だけ高いときの読み方は「WISC-IVで言語理解だけ高い場合」でも整理しています。

知能検査はどこで受けられる?費用・期間と結果の活かし方

  • 医療機関以外にも相談できる窓口がある
  • 予約から結果まで時間がかかることも
  • 待っている間にもできることがある

「知能検査を受けたほうがいいのかな」と思っても、どこに連絡すればいいのか分かりにくいですよね。

ここでは、相談できる場所と費用の考え方、待機期間の過ごし方、そして結果の活かし方までを順にご説明します。

費用も期間も地域や機関によって差がありますので、進め方の目安としてご覧くださいね。

知能検査を受けられる場所と費用の考え方

  • 医療機関・教育センター・大学の相談室など
  • 実施しているかは機関によって異なる
  • 費用は保険適用の有無で大きく変わる

知能検査については、いくつかの窓口で相談することができます。

小児科・児童精神科などの医療機関
市区町村の教育センターや教育相談室
各都道府県の発達障害者支援センター
大学の心理相談室
保健センターや子育て相談の窓口

ただし、すべての機関で知能検査を実施しているわけではありません。

相談を受けて、実施できる機関につないでくれるところもあります。まずは「WISCなどの知能検査を受けたいと考えています」と伝えて確認してみてくださいね。

費用は、受ける場所と保険適用の有無によって大きく変わります。医療機関で診療の一環として行われる場合、検査そのものの費用は診療報酬で定められています。

ただし診察料や再診料、報告書の作成料などが別にかかることがあり、総額は機関によって差が出ます。自費で受ける場合の金額も、機関によってかなり幅がありますね。教育センターなどの公的な相談機関では、無料で受けられる場合もあります。

問い合わせのときは「総額」「保険は使えるか」「報告書は出るか」の3点を確認しておくと安心です

申し込みの方法も、窓口によって少し違います。医療機関は電話やウェブでの予約が中心で、紹介状を求められることもあります。教育センターは、学校の先生を通して申し込む形と、保護者が直接連絡する形の両方があるケースが多いですね。

まずは担任の先生に「検査を受けたいと考えています」と伝えてみると、地域の流れを教えてもらえることがありますよ。

予約から結果まで数か月かかることも|待っている間にできる3つのこと

  • 困っている場面を一行ずつ記録する
  • 学校に「今」できる配慮を相談する
  • 家庭で「始める場面」の支援を試す

医療機関の予約は、混み具合によって数か月先になることがあります。

検査を受けて、さらに結果の説明を聞くまでとなると、もっと時間がかかるケースもありますね。待ち時間の長さは地域や機関によって違いますので、予約のときに目安を聞いておくと予定が立てやすいです。

そして、この待ち時間を「何もできない期間」にしなくて大丈夫ですよ。私たちがご家庭にお伝えしているのは、次の3つです。

①困っている場面を記録する

日付、場面、そのときの様子を一行だけ残しておきます。

「10月12日、宿題を出したが30分机の前で動けず」といった短いメモで十分です。この記録は、相談のときにそのまま資料として使えますよ。

②学校に「今」できる配慮を相談する

席の位置、指示の出し方、提出物の確認方法。

これらは診断名がなくても、今日から相談できる内容です。担任の先生や特別支援教育コーディネーターの先生に、困っている場面を具体的に伝えてみてください。

③家庭で「始める場面」の支援を試す

宿題の最初の1問だけ、隣に座って一緒にやってみます。

これで動き出せるようなら、検査後の支援を考えるときの材料になります。効果があった工夫は、そのまま学校にもお伝えできますね。

診断がついてから、と待たなくても大丈夫です。

この3つは診断名の有無にかかわらず役に立ちますよ。ランナーにも発達障がいコミュニケーション指導者の資格を持つスタッフがおりますので、待っている間の進め方だけでもご相談いただけます。

検査結果は学校にどう伝える?お願いできる配慮の例

  • 伝える相手は担任とコーディネーター
  • 数値より困っている場面と有効だった工夫を
  • 共有の範囲は学校と相談しながら決める

学校で困っている場面があるなら、結果を共有する価値は大きいといえます。伝える相手は、担任の先生と特別支援教育コーディネーターの先生が基本になりますね。

伝え方のコツは、数値をそのまま渡すより「困っている場面+有効だった工夫」を中心にすることです。学校側も、具体的な行動の情報があるほど対応を考えやすくなります。

検査結果の傾向ごとに、お願いできる配慮の例を整理しました。

検査結果の傾向 お願いできる配慮の例
処理速度が低め 板書量の調整、写真での記録を認めてもらう
ワーキングメモリーが低め 指示は一度に一つ、文字やチェック表で残す
言語理解が高く視覚が苦手 手順を文章にして手元に置く
視覚的な処理が得意 図やイラスト、実物で示してもらう

面談の時間は限られていますので、A4一枚にまとめて持っていくご家庭が多いです。

書く内容は、次の4行だけで足ります。

困っている場面:口頭で3つ指示が出ると、後半を忘れてしまうことがあります
家で有効だった工夫:指示を紙に書いて手元に置くと、最後まで進められました
お願いしたいこと:指示を一度に一つにする、または板書に残していただけると助かります
検査で分かったこと:ワーキングメモリーの指標が他より低めでした

数値を最後に置くのがポイントですね。先に場面と工夫を読んでもらえると、話が具体的に進みやすくなります。

すべてを伝える必要はありません。何をどこまで共有するかは、学校と相談しながら決めていけます。

なお、学校に伝えた内容は、支援に必要な範囲で校内の先生方に共有されることがあります。気になる場合は、その点も最初に確認しておきましょう。

年齢が上がるほど、周囲に知られることへの抵抗が出てくる場合もあります。誰に伝えるのか、何のために伝えるのかを、本人と話しておけると安心ですね。

通級による指導を検討する場合は、学校を通じて手続きを確認します。学びの場を考える際の基準は「特別支援学級に入る基準」でも整理しています。

検査結果は診断書ではなく「支援のヒント」として使おう

  • 価値はその後の関わり方を変えられる点
  • どんな条件で力が出るかを示す資料
  • 成長に応じて必要な支援は変わる

検査結果を受け取ると、書かれた数値に目が行きがちです。

けれども結果表の価値は、その後の関わり方を変えられる点にあります。どんな条件で力が出て、どこで止まるのかを示してくれる資料なんです。

また、結果は一度きりのものではありません。

成長や環境の変化に応じて、必要な支援も変わっていきます。数年後に見直す前提で、その時点の資料として活用していきましょう。

IQの数字だけで決めつけない|境界知能・ASD・LDとの関係

  • 境界知能は一部の制度の対象外になりやすい
  • LDがあると特定分野だけ苦手になる
  • ASD併発では能力のムラが目立ちやすい

学習面の困りごとは、ADHDだけで説明できるとは限りません。

ほかの背景が重なっていると、支援の方向も変わってきます。見落とされやすい3つの状態について、整理しておきましょう。

境界知能(IQ70〜84)と知的障害|ADHDとどう違う?

  • 一般にIQ70〜84程度を指すことが多い
  • 手帳などの判定基準は自治体で異なる
  • ADHDはIQとは別の軸で評価される

境界知能は、一般におおむねIQ70から84程度を指すことが多い言葉です。ボーダーライン知能と呼ばれることもありますね。

正式な診断名ではなく、70〜85と表記されることもあります。平均100・標準偏差15の分布を仮定すると、統計上は全体の1割強がこの範囲に入る計算になります。

この層で起きやすいのが、一部の支援制度の対象から外れやすいという課題です。知的障害の判定は、知的機能と日常生活の適応行動の両面から総合的に行われます。

ただし、療育手帳などの判定基準は自治体や制度によって異なり、IQの数値だけで決まるわけではありません。お住まいの地域の窓口で確認してみてくださいね。

一方でADHDは、注意や多動性、衝動性による支障を見る特性です。知的な水準が高くても診断されることがあり、IQとは別の軸で評価されます。

家庭でできるのは、課題を小さく分けて成功体験を積むことです。学校では、学習内容や課題量の調整、校内での配慮を相談してみてはいかがでしょうか。

LD(学習障害)があるとIQは平均でも特定分野だけ苦手になる

  • 特定領域だけ著しく苦手になる
  • ADHDとの併存が多く誤解されやすい
  • 量を増やす前に方法や道具を変える

学校教育でいうLD(学習障害)は、全般的な知的発達に遅れがない一方で、読み書きや計算など特定の領域だけが著しく苦手になる状態を指します。

医学的な診断名である限局性学習症(SLD)と重なる部分は多いのですが、定義は完全に同じではありません。

どちらの立場でも共通しているのは、努力の不足では説明できない偏りがあるという点です。

ADHDとの併存が多いことも知られています。両方がある場合、「集中していないから読めない」と誤解されやすくなります。実際には、読むこと自体に大きな負担がかかっている可能性がありますね。

気づく手がかりは、教科ごとの差の大きさです。

話す内容は豊かなのに作文が極端に苦手
音読で行を飛ばす、読み間違いが多い
文章題だけ正答率が大きく下がる
漢字の練習量に対して定着しない

こうした偏りがある場合は、量を増やす前に方法を変える発想が役立ちます。読み上げ機能やタブレットの活用で、負担が大きく減ることもありますよ。

ASDを併発しているケースは能力のムラが目立ちやすい

  • ADHDとASDは併存することが少なくない
  • 興味の差が「気分屋」と映りやすい
  • 見通しを持てる形に整えるのが基本

ASDは、人とのやりとりやコミュニケーションの難しさと、限定的で反復的な行動や興味に特徴がある特性です。

ADHDと併存することもあり、両方の特性が重なると困りごとの現れ方が複雑になります。興味のある分野では、驚くほど深い知識を持つこともあります。

一方で、予定の変更や曖昧な指示には強い負担を感じます。この落差が「気分によって態度が変わる」と受け取られてしまいます。

支援では、見通しを持てる形に整えることが基本になります。今日やることを最初に示す、終わりの時間を明確にするといった工夫です。指示は具体的な言葉に置き換えると伝わりやすくなりますよ。

IQより大事なのは「どこでつまずくか」|30,034人の指導現場から

  • 止まっている段階を特定すると打つ手が決まる
  • 高IQでも提出物が出せない子は多い
  • 数えられる目安で変化を確かめる

私たちランナーは、これまで30,034人のお子さんの指導に関わってきました。

ご相談を受けるとき、まず伺うのは点数ではありません。「帰宅してから宿題を開くまで何分かかりますか」という質問から始めることが多いです。

どの場面で止まるのかが分かると、打つ手が具体的になるからですね。

力はあるのに発揮できない|始める・続ける・終える・提出するのどこで止まる?

  • 4つの段階のどこかで止まると成果に届かない
  • つまずくのは理解の段階ではないことが多い
  • 支援の対象は「理解」ではなく「進行」

「分かっているのにできない」という状態には、いくつかの段階があります。

学習が形になるまでには、始める、続ける、終える、提出するという流れがあります。この中のどこか一つで止まると、学んだ内容が成果として評価されにくくなります

多くの場合、つまずいているのは理解の段階ではありません。取りかかるまでに時間がかかる、途中で別のことを始めてしまう。終わったのに提出を忘れる、といった場面が中心になります。

これらは実行機能と呼ばれる働きに関係しています。計画を立てる、順序を決める、行動を切り替えるといった調整の力ですね。

だからこそ、支援の対象は「理解」ではなく「進行」になります。まずは場面と原因の候補を並べて、どこで止まっているかを書き出してみましょう。

困っている場面 確認したいこと 試したい工夫
口頭の指示を忘れる 指示の量と記憶の負担 一度に一つ、文字で残す
宿題を始められない 課題の量と難易度 開始時刻を決め最初の1問だけ一緒に
提出物をなくす 整理と持ち物の管理 提出場所を一か所に固定
問題を読み飛ばす 衝動性と注意の配分 条件に線を引き見直し手順を決める
長時間続かない 課題時間と周囲の刺激 15分単位に分け休憩を挟む

書き出すことで、責める対象が本人から状況へ移っていきます。「集中力がない子供への接し方」でも場面別に整理していますよ。

高IQでも提出物が出せない中学生によくあるパターン

  • やる気がないわけではないケースがほとんど
  • 締め切りまでの時間の見積もりが難しい
  • 締め切りの分割と一覧の見える化が有効

成績は上位なのに、提出物だけが出せないというご相談は本当に多く寄せられます。

本人に理由を聞くと「やろうと思っていた」という答えが返ってきます。実際、やる気がないわけではないケースがほとんどです。

共通しているのは、締め切りまでの時間の見積もりが難しい点ですね。「あとでできる」と判断した結果、直前に量の多さに気づきます。そこから手をつけられず、提出をあきらめる流れが繰り返されます。

実際にあったケースを、一つご紹介しますね。

中学2年生のお子さんで、全検査IQは118、ワーキングメモリーは88という結果でした。定期テストは学年上位なのに、ワークの提出が半分も出せない状態です。

そこで、ワークを日ごとのページ数に分け、提出物リストを見える場所に貼ってみました。

約1か月で、提出忘れが週4回から週1回に減っています。本人の努力の量は変えていません。管理する場所を、頭の中から紙の上に移しただけですね。

※個人が特定されないよう、複数のご相談内容を組み合わせた例です。

宿題そのものに向き合えないときの考え方は「宿題をしない子は発達障害?」もあわせてご覧ください。

ワーキングメモリーが低めの子がつまずきやすい場面

  • 口頭で複数の指示を受けると止まりやすい
  • 筆算や文章題でも二重の作業が負担に
  • 覚えておく量を減らす工夫が中心

ワーキングメモリーが弱めのお子さんには、共通してつまずく場面があります。

代表的なのが、口頭で複数の指示を受けたときです。「教科書を出して、17ページを開いて、3番を解く」のような指示で止まってしまいます。

本人は最初の指示を実行している間に、後半を忘れてしまうんですね。

周囲からは、話を聞いていないように見えてしまう場面です。実際には、聞いてはいたけれど保持できなかった状態かもしれません。

筆算や文章題でも、同じことが起こります。繰り上がりを覚えたまま次の計算に進む、条件を覚えたまま式を立てる。この二重の作業が負担になり、途中でミスが生まれます。

代表的な工夫は、覚えておく情報の量を減らすことです。途中式は省かずに書く、条件に線を引く、指示を一つずつ出す。負担を外に逃がすと、本来の理解力が見えるようになりますよ。

宿題は「始める」ところまで一緒にやってみよう

  • 声かけだけでは開始の負担が残ることも
  • 最初の1問を隣で一緒に取り組む
  • 開始時刻を生活の流れに組み込む

ご家庭で取り入れやすいのが、開始の場面への支援です。

「宿題やりなさい」という声かけだけでは、最初の一歩の重さが変わらないことがあります。

おすすめは、最初の1問だけ隣で一緒に取り組む方法です。教科書を開く、日付を書く、1問目を読む。ここまで進めることで、その後の取りかかりが楽になる場合があります。

実際に試された保護者の方から、こんな声をいただいたことがあります。「『やればできるでしょ』と言うのをやめて、最初の1問だけ隣に座るようにしたんです。それだけで、夕方の家の空気が変わりました」

開始の時刻を毎日同じにする工夫も有効です。「夕食の前」「入浴のあと」など、生活の流れに組み込んでみてください。

判断の回数が減るほど、始めるまでの負担は軽くなっていきますよ。

2週間〜1か月で変化を確かめる|数えられる目安の決め方

  • 感じ方ではなく数えられる目安で見る
  • 宿題を始めるまでの時間を記録する
  • 提出忘れや忘れ物の回数を数える

支援を始めたら、効果を感じ方だけで判断しないことが大切です。

数えられる目安を決めておくと、続けるか変えるかの判断がしやすくなります。期間は2週間から1か月を一区切りにすると変化が見えやすい、というのが私たちの現場での目安ですね。

おすすめしているのは、次の2つの数字です。

一つめは、帰宅から宿題を開始するまでの時間。30分かかっていたものが10分になれば、明確な変化といえます。二つめは、週あたりの提出忘れの回数です。週4回が週1回になれば、仕組みが役立っている可能性が高いですね。

記録はスマートフォンのメモで十分ですよ。数字が動くと、お子さん本人も手応えを感じやすくなります。「できていない」ではなく「先週より2回減った」と伝えられるのも、大きな違いです。

変化が見られないときは、本人の努力ではなく方法を見直しましょう。

合わない工夫を続けても、負担だけが増えてしまいます。別の方法に切り替えるだけで動き出すことも多いですよ。

学習面のサポートに迷ったら|家庭教師のランナーができること

家庭教師のランナー

  • 診断名がなくても相談できる
  • 発達障がいコミュニケーション指導者が在籍
  • 90分の無料体験で相性を確かめられる
  • 2004年創業・指導人数実績30,034人
  • 訪問とオンラインを全国で切り替え可能
  • LINEで24時間いつでも質問できる

ここまで見てきたように、大切なのはIQの数値よりつまずく場面への支援です。

とはいえ、ご家庭だけで仕組みを作り続けるのは負担が大きい面もありますね。伴走役として使えるサービスを、一つだけご紹介します。

診断名がなくても始められる|発達障がいコミュニケーション指導者が在籍

  • 診断の有無を問わず相談できる
  • 不登校のお子さんへの対応経験もある
  • 登録講師は約14万人で相性を探しやすい

家庭教師のランナーは2004年創業で、勉強が苦手な小中高生を専門にサポートしています。

発達障がいコミュニケーション指導者や専門カウンセラーが在籍しており、診断の有無を問わずご相談いただけます

「検査の結果を待っている段階なんです」というご家庭からのお問い合わせも多いですよ。不登校の状況にあるお子さんへの対応経験もあり、進め方を一緒に考えていけます。

登録講師は約14万人で、相性に合う先生を探しやすい点も特徴ですね。訪問とオンラインを柔軟に切り替えられるので、全国どこからでも受講できます。

ご家庭の状況に合わせて、回数や時間の組み方も相談できますよ。料金や指導の進め方は「発達障害サポートコース」にまとめています。

まずは90分の無料体験で「始める支援」を頼めるか確かめてみよう

  • 体験で確認したいのは指導内容だけではない
  • 開始までの支援を頼めるか聞いてみる
  • 3か月後の目標を数えられる形で決めておく

ランナーでは、90分の無料体験レッスンをご用意しています。この時間で確認していただきたいのは、指導内容だけではありません。

本人が質問できる雰囲気かどうか
説明の速さやテンポが合っているか
宿題の量や進め方を相談できるか
提出物や持ち物の管理まで見てもらえるか
保護者への報告がどの程度あるか

とくに、課題に取りかかるまでの支援を頼めるかは、ぜひ聞いてみてください。理解できるかより、始められるかで悩んでいる場合、ここが一番の分かれ目になります。

体験の前に、3か月後に何が変わっていてほしいかを決めておくとよいですね。「宿題を始めるまでの時間」「提出忘れの回数」など、数えられる目標が向いています。

料金は1コマ30分900円から(高校生は1,000円)で、無理な勧誘は一切ありません。

「うちの子の場合はどうだろう」と迷っている段階でも大丈夫ですよ。合わないと感じたときに先生の変更を相談できる点も、家庭教師の強みです。

ランナーの無料体験はこちら!

ADHDとIQに関するよくある質問

  • 子どものIQは変わることがあるのか
  • 治療とIQの関係はどうなっているか
  • 専門の塾や家庭教師を選ぶべきか

ここからは、相談の場でとくによく寄せられる質問をまとめました。

気になる項目から読み進めてみてくださいね。

子どものIQは成長とともに変わることがある?

  • 幼少期ほど結果が安定しにくい
  • 短期間の再検査は慣れの影響を受ける
  • 比べるのは数値より困りごとの変化

知能検査の数値は、年齢が上がるにつれて変動することがあります。幼少期ほど結果が安定しにくく、体調や機嫌の影響も受けやすくなります。

同じ検査を短期間で繰り返すと、慣れによって数値が動く点にも注意が必要です。再検査の間隔は、専門家の判断に従うのが安心ですね。

比べるべきは前回の数値ではなく、生活や学習の困りごとが減ったかどうかです。そこに変化があれば、支援は機能していると考えられますよ。

ADHDの治療を受けるとIQは変わるの?

  • 治療の目的はIQを上げることではない
  • 数値の変化は測定条件の影響もある
  • 判断材料になるのは生活上の支障

治療はIQを上げるために行うものではありません。

目的は、生活や学習で生じている困りごとを減らしていくことです。医療機関では環境の調整や行動面の工夫、必要に応じた医学的な対応が検討されます。

集中しやすい状態で受けられた場合、力を発揮しやすい結果になることはあります。

これは能力そのものが変化したとは限らず、測定条件の影響も考えられますね。数値より、提出物や登校、睡眠の変化を見るほうが実用的かもしれません。

ADHDなら専門の塾や家庭教師を選んだほうがいい?

  • 専門をうたう塾が常に最適とは限らない
  • 何に困っているかをはっきりさせるのが先
  • 総額と解約条件は事前に書面で確認

専門をうたう塾が、常に最適とは限りません。

困りごとの内容によっては、学校内の配慮や一般の個別指導で十分な場合もあります。まずは、何に困っているのかをはっきりさせることが先になりますね。

教科の理解でつまずいているなら、通常の個別指導でも対応できます。始められない、続かないという部分が中心なら、そこを支えてくれる相手が必要です。

費用面の確認も欠かせません。入会金や月謝、そのほかにかかる費用を含めた総額を出してもらいましょう。

契約期間や中途解約の条件も、始める前に書面で確認しておくと安心です。

家庭教師や学習塾でも、契約期間が2か月を超えて契約総額が5万円を超えるなど、特定商取引法の要件を満たす契約があります。

その場合は、法定の書面を受け取った日を1日目として8日以内であればクーリング・オフができます。困ったときは、消費者ホットライン188に相談できますよ。

専門をうたっているかどうかより、「始めるところまで一緒にやってくれるか」を確認するほうが、実際の困りごとには近いかもしれません。

家庭教師を選ぶときに見ておきたいポイントは、「発達障害の子に家庭教師は向いている?選び方のポイント」でもう少し詳しくまとめています。

ADHDとIQの関係についてまとめ

  • ・ADHDという診断名から個人のIQは推測できない
  • ・高IQだと自力カバーで困りごとが見えにくくなる
  • ・無料テストや知能検査だけでADHDは判断できない
  • ・検査を待つ間にも記録・相談・開始支援は始められる
  • ・数字より「どの場面で止まるか」を見ると打つ手が決まる

ADHDとIQは、それぞれ別のものを測っている指標です。

研究で示されているのは、集団で比べたときにワーキングメモリーがやや低めに出やすいという傾向までですね。

IQが高い場合は、困りごとを自力で埋め合わせて見えにくくなることがあります。成績だけで判断せず、提出物や忘れ物、朝の準備といった場面も見ておきましょう。

そして、困りごとがあるなら診断名の有無にかかわらず支援は始められます。検査の結果を待っている期間も、記録を残す・学校に相談する・最初の1問を一緒にやる、という3つは今日から試せますよ。

始める、続ける、終える、提出する。どこで止まっているかが分かれば、次の一歩は見つけやすくなります。

ご家庭だけで抱え込まず、学校や専門機関、学習サポートを組み合わせていきましょう。

「最初の1問を一緒に」を家庭以外の誰かと試してみたいときは、90分の無料体験でご相談いただけます。

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