- 小
- 中
- 不登校向けの家庭教師
- 発達障害向けの家庭教師
WISCで処理速度だけ低いのはなぜ?高IQの困りごと5つと将来
2026.08.18

WISCの結果表を見て、処理速度の数値だけが70台や80台だったことに驚かれる保護者の方は多くいらっしゃいます。
これまで「早くしなさい」と声をかけてきたご自身を思い出して、胸が痛くなった方もいるかもしれませんね。
まずお伝えしたいのは、処理速度の数値だけで、理解力や知的能力の全体を判断することはできないということです。困りごとが「わからない」ことより「間に合わない」こととして表れる場合もあります。
数値を上げることを目標にしなくても、お子さんが力を発揮できる場面は増やせます。
いまの困りごとの正体から、学校にお願いできる配慮、家庭でできる工夫、そして大人になったときの見通しまで順番にご紹介しますね。
目次
- WISCで処理速度だけ低いとはどういう状態?まずは結論から
- WISCで処理速度だけ低い子によくある困りごと5つ
- 高IQ・言語理解が高いのに処理速度だけ低いのはなぜ?デコボコの読み解き方
- 処理速度だけ低くなる背景は?考えられる3つの要因の例
- WISCで処理速度だけ低いとADHDや発達障害なの?関係を冷静に整理
- 学校にお願いできる合理的配慮と伝え方のコツ
- 家庭でできる勉強の工夫と、検査結果の本人への伝え方
- 処理速度だけ低い子は大人になったらどうなる?将来と向いている環境
- 処理速度だけ低い子に合う学習サポートの選び方
- 家庭教師のランナーという選択肢|子どものペースに合わせて学べる
- WISCで処理速度だけ低いときの向き合い方についてまとめ
WISCで処理速度だけ低いとはどういう状態?まずは結論から

- 認知の力のバランスに差がある状態
- 処理速度指標(PSI)は見た情報をさばく力をみるもの
- 70台・80台だけで知的能力全体は判断できない
結論からお伝えすると、処理速度だけが低い状態は、認知の力のバランスに差がある状態を指します。
WISCは複数の領域を分けて調べる検査です。そのうち処理速度という一部分に弱さが出ている、という読み方になりますね。
ここでは「デコボコ」と呼ばれる状態の意味、処理速度指標が測っているもの、数値の読み方の3点を整理していきます。
「処理速度だけ低い」は自分の中のデコボコが大きい状態のこと
- ほかの指標との差、つまり個人内差が大きい状態
- 全体が低い場合とは支援の方向が変わってくる
- デコボコがあること自体はめずらしくない
「処理速度だけ低い」とは、自分の中の得意と苦手の差が大きい状態のことです。支援の現場では、この差を「デコボコ」や「個人内差」と呼ぶことがあります。
WISC-Vでは、言語理解・視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度という5つの主要指標に分けて認知の特徴を調べます。指標得点は平均100を中心とした標準得点で、85から115は平均を中心に標準偏差1つ分のおおよその範囲にあたります。
ほかの4つが平均前後かそれ以上なのに、処理速度だけが大きく下に離れている。この指標間の差は、ディスクレパンシーと呼ばれることもあります。
処理速度が相対的に低い場合、時間制限のある作業で力を発揮しにくい可能性があります。指標全体が低い場合とは、支援の方向が変わってくるんですね。
ただし、実際の理解度や学習上の困難がどこにあるかは、ほかの指標や学校での様子もあわせて確認していく必要があります。なお、得意と苦手にデコボコがあること自体は、めずらしいことではありません。
処理速度指標(PSI)って?目で見た情報をすばやく正確にさばく力
- 視覚情報を効率よく処理する力をみる指標
- 下位検査は「符号」と「記号探し」
- 知識の量や理解の深さを測るものではない
処理速度指標(PSI)は、目で見た情報をすばやく正確にさばく力をみる指標です。
英語のProcessing Speed Indexを略した呼び方で、WISC-Vでは「符号」と「記号探し」という2つの下位検査から算出されます。記号を書き写したり、同じマークを探したりする単純な課題ですね。
むずかしい思考は求められません。そのかわり、制限時間のなかでどれだけ多く正確に作業できるかが問われます。
この作業には、見た目以上にたくさんの力が関わっています。必要な情報を見つける視覚的な探索と弁別、瞬時に判断する力、目と手の協応、短期的に視覚情報をとどめる力、そして単調な作業でも集中を切らさない力です。どれか一つでもつまずくと、評価点は下がりやすくなります。
PSIは知識の量や理解の深さを測る指標ではありません。
ここを取り違えると、お子さんへの評価も支援の方向もずれてしまいます。
70台・80台はどう読む?WISC-V・WISC-IVの指標得点の見方
- 70台・80台だけで知的能力全体は判断できない
- 指標間の差は専門家が統計的な基準をもとに判断する
- 数値より生活の変化を見るほうが役に立つ
70台という数字を見て、知的な発達に遅れがあるのではと心配になりますよね。
けれど、PSIが70台・80台であっても、その数値だけで「知的能力全体が低い」「知的障害がある」と判断することはできません。PSIは、主に処理速度という特定の認知領域についての得点だからです。
指標得点は平均100を中心とした標準得点です。位置づけの目安を整理すると、次のようになります。
| 処理速度の指標得点 | 平均(100)からの位置 | 学校生活で見られやすい様子の例 |
|---|---|---|
| 115以上 | 平均より標準偏差1つ分以上高い | 単純な作業を速く正確にこなしやすい |
| 85〜115 | 平均を中心とした標準偏差1つ分の範囲 | 多くのお子さんがこの範囲に入る |
| 80〜84 | 平均をやや下回る | 時間内に書き終わらない場面が出てくることがある |
| 70〜79 | 平均から離れている | 時間制限のある作業で困りごとが表れやすい |
この表はおおまかな位置づけを示したものです。検査上の質的な区分は、日本版WISC-Vの解釈基準でさらに細かく分かれています。
指標どうしの差についても、単純に「何点以上なら大きい」と決めることはできません。差が統計的に意味のある大きさかどうか、その差が同年齢の集団でどの程度みられるかも含めて、検査を実施した専門家が判断します。
WISC-IVの場合は言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4指標です。必要に応じて、専門家が一般知的能力指標(GAI)を補助的に参照することもあります。
なお、検査当日の体調や緊張、受けた時間帯が結果に影響することもあります。数値だけを見ずに、日常の様子と照らし合わせてみてください。
見ていただきたいのは、宿題にかかる時間が短くなったか、テストで最後まで手が届くようになったかといった生活の変化です。検査結果全体の読み方は「WISC-IVの検査結果の見方」でも詳しくご紹介しています。
WISCで処理速度だけ低い子によくある困りごと5つ

- 板書・テスト・宿題で「間に合わない」形の困りごと
- 朝の支度など生活面に表れることもある
- 見直しに届かずケアレスミスが残りやすい
処理速度だけ低いお子さんの困りごとは、板書・テスト・宿題といった時間の制限がある場面で「間に合わない」形で表れることがあります。
代表的な5つを挙げますので、お子さんに当てはまるものがないか確かめてみてくださいね。
板書が追いつかない|写している間に授業が先へ進んじゃう
- 見る・覚える・書くの往復が多く負担が集中する
- 写すことに意識が向くと説明を取りこぼす
- 途中で切れている行が多いなら負担のサイン
よくご相談をいただくのが、板書が終わらないという悩みです。
黒板を写す作業は、見る、覚える、書く、また黒板に目を戻すという動きの連続です。視覚的な探索と書く動作の両方が求められるため、処理速度の弱さが関係している可能性があります。
まわりが書き終えて顔を上げているのに、自分はまだ半分。焦って書くと字が崩れ、あとから読み返せないノートになってしまいます。
さらに困るのは、写すことに意識が向きすぎて先生の説明が耳に入らなくなる点です。理解力とは関係のないところで、学習の遅れが積み重なってしまうこともあります。
ノートを見返して、途中で切れている行が多いようなら、板書の負担が大きすぎるサインかもしれません。
テストで時間切れ|わかっているのに最後まで解けないのはなぜ?
- 解けないのではなく、たどり着く前に終わってしまう
- 記述式の問題ほど差が開きやすい
- 時間無制限で解き直すと影響がはっきりする
テストの答案が、最後だけ白紙のまま返ってくる。これも起こりやすい困りごとです。
問題が解けないのではなく、たどり着く前に終業のチャイムが鳴ってしまうんですね。
テストでは、問題文から必要な情報を視覚的に探して判断する工程と、解答を書く工程があります。処理速度に弱さがあると、この部分に時間がかかることがあり、特に記述式では差が開きやすくなります。
確かめる方法は簡単です。返ってきた答案を、時間を気にせずもう一度解いてもらってみてください。
そこで正解できる問題が増えるなら、時間制限が結果に影響していた可能性があります。この結果は、学校に配慮をお願いするときの材料としてそのまま使えますよ。
宿題が終わらない|30分の課題に1時間以上かかっていない?
- まずは実際にかかっている時間を測ってみる
- 就寝が遅れ、翌日の集中力が落ちる悪循環
- 開始と終了の時刻の記録が相談資料になる
宿題にかかる時間は、困りごとが数字で見えやすい場面です。
まずは実際に、どれくらい時間がかかっているかを測ってみてください。学校が30分程度を想定している課題に、その倍以上かかっていることがわかる場合もあります。
時間がかかるぶん、夕食やお風呂、就寝の時間が後ろにずれていきます。睡眠が削られると翌日の集中力が落ち、また作業が進みにくくなるという循環に入りやすくなります。
途中で「早くしなさい」という声かけが増え、親子ともに疲れてしまうご家庭も多いですね。
まずは1週間、宿題の開始時刻と終了時刻をメモしてみてください。
「毎日1時間半かかっています」という記録は、学校との相談でそのまま使える資料になります。感覚で伝えるより、数字のほうが状況は伝わるんです。
朝の支度や着替えに時間がかかってバタバタしがち
- 着替えや準備など生活動作に表れることもある
- 体育の着替えや給食の準備で目立ちやすい
- 手順を固定して「迷う時間」を減らすのがコツ
困りごとは、勉強以外の場面に見られることもあります。
朝の着替え、ランドセルの準備、片づけといった日常の動作に時間がかかるケースです。ただし生活動作の遅さは、処理速度だけでなく手先の使い方や段取りの立て方など、別の要因も関わります。
毎回「まだ終わらないの」と声をかけられると、本人のなかに「自分は遅い」という感覚が積み重なっていきます。
取り入れやすいのは、前日の夜に持ち物と服をそろえておく方法です。やることを絵や文字で貼り出しておくと、次の動作を思い出す時間が短くなります。
時間を短くするというより、迷う時間をなくすという発想なんです。
見直しまでたどり着けない|ケアレスミスが残るのはこのせい?
- 解くだけで時間を使い切り、確認の工程が抜ける
- 写し間違いや単位の書き忘れが残りやすい
- 一問ごとの確認なら負担が分散されて続く
答案に単純なミスが残るのも、処理速度と関係している場合があります。
多くのお子さんは解き終わったあとに見直しをします。ところが解くだけで時間を使い切ってしまうと、その工程がまるごと抜け落ちてしまうんですね。
数字の写し間違い、単位の書き忘れ、符号の見落とし。見直しの時間があれば気づけたはずのものが少なくありません。
それでもミスが残ると、「注意力が足りない」「雑だ」という評価につながってしまいます。本人にしてみれば、確認したくてもその余裕がなかっただけ、ということもあるんです。
解く量を少し減らす、一問ごとに答えを確認する。この2つだけでも、確認の余裕は生まれますよ。
高IQ・言語理解が高いのに処理速度だけ低いのはなぜ?デコボコの読み解き方
- 高IQでも周囲から誤解されやすい組み合わせ
- 口頭と筆記で見え方が変わることがある
- ワーキングメモリーとは分けて考える
全体のIQは高いのに、処理速度だけが低い。この組み合わせは、周囲から誤解されやすいパターンの一つです。
頭のなかで考える力と、それを紙に出す力は別のものとして評価されるからなんですね。
言語理解が高い子ほど「なまけている」と誤解されやすいワケ
- 発言は的確なのにノートが埋まらない落差
- 「わかっているのにやらない」と見られやすい
- 速度の問題であって態度の問題とは限らない
言語理解が高いお子さんほど、「なまけている」と誤解されやすい傾向があります。
話し方が大人びていて語彙も豊かで、授業中の発言も的確。先生からの期待も自然と高まります。その一方で、ノートは白いまま、提出物は出そろわないという状態が続くことがあるんです。
たとえば架空の例として、言語理解が124、処理速度が76という結果を考えてみます。指標のあいだにこれだけの開きがあると、周囲から見える姿と本人が感じている負担にずれが生じやすくなります。
本人が「自分はなまけ者だ」と受け取ってしまうと、勉強そのものから距離を置くようになります。自信の低下は、成績よりも回復に時間がかかります。
まわりの大人が「速度の問題であって、態度の問題とは限らない」と理解しているだけで、お子さんの表情は変わりますよ。くわしくは「言語理解だけが高い場合の特徴」もあわせてご覧ください。
考えるスピードに手が追いつかない?口頭なら答えられるのに書くと止まる理由
- 口頭では答えられるのに書字だと時間がかかる子もいる
- PSIだけで「頭は速いが手が遅い」とは判断できない
- 出す手段を変えると力が見えやすくなることも
PSIが低いお子さんのなかには、口頭でたずねればすらすら答えられるのに、書く課題になると時間がかかるという子もいます。
ただし、PSIの数値だけから「考える速度は速いが手だけが遅い」と判断することはできません。
書いている途中で言葉が抜け落ちたり、字が乱れたりする背景には、ワーキングメモリーや書字の技能、注意の向け方など、別の要因が関わっていることもあります。
だからこそ、ご家庭で試していただきたいのが「同じ問題を口頭で聞いてみる」という方法です。
声で答えるとすらすら説明できるのに、書かせると手が止まる。そんな差が見えたなら、タイピング、口頭発表、選択式の解答など、出す手段を変えることで本来の力が見えやすくなることがありますよ。
ワーキングメモリーとの違いって?覚えて使う力とすばやく処理する力で分けて考えよう
- ワーキングメモリーは覚えながら使う力
- 処理速度は見た情報をすばやくさばく力
- 典型的な出方は違うが、重なることもある
ワーキングメモリーと処理速度は、分けて考えると整理しやすくなります。
ワーキングメモリーは、見たり聞いたりした情報を頭のなかに一時的にとどめながら使う力です。3つ続けて出された指示を覚えて順番に行動する場面などで使われます。
一方の処理速度は、主に目で見た情報をすばやく正確に処理する力。視覚的な探索や判断、書く動作なども関わります。
典型的には、ワーキングメモリーが弱いと指示を聞き返す・途中で忘れるという形に、処理速度が弱いとやることはわかっているのに終わらないという形になります。ただし、どちらも注意の状態に影響を受けるため、困りごとが重なって見えることもあります。
支援の方向も、一例として次のように分かれます。前者は指示を短く区切ってメモや絵で残す工夫が、後者は量を減らす・時間を延ばす・書く手間を省く調整が中心になります。
検査結果を見るときは、この2つを分けて確認してみてください。あわせて「ワーキングメモリが低い子の特徴」も参考になりますよ。
処理速度だけ低くなる背景は?考えられる3つの要因の例
- 書く動作そのものに力を使っている
- 見たいところを探す・見分けるのに時間がかかる
- 単純作業で注意が続きにくい
処理速度の得点に影響しうる背景として、「書く動作の負担」「視覚的な探索や弁別」「注意や集中」などが考えられます。
PSIが低い理由は一つとは限らず、いくつかが重なっていることもあります。ここでは代表的な3つの例を挙げますので、お子さんの普段の様子と照らし合わせてみてくださいね。
書く動作の苦手さ|鉛筆を動かすこと自体に力を使っているのかも
- 筆圧が極端・マスからはみ出すなどがヒント
- 書くことに力を使うと考える余力が残りにくい
- マス目の大きいノートや穴埋め形式が助けになる
1つ目は、書くという動作そのものに負担がかかっているケースです。
鉛筆を思いどおりに動かすには、指先の細かなコントロールが必要になります。この動きが自動化されていないと、書くたびに意識を使うことになるんですね。
筆圧が極端に強い、または弱い。マスから文字がはみ出す。少し書いただけで手が痛いと訴える。こうした様子が続く場合は、書字の負担が関係している可能性があります。
書くことにエネルギーを取られると、肝心の内容を考える余力が残りにくくなります。
この場合に取り入れやすいのは、書く量を減らす工夫です。マス目の大きいノート、書きやすい濃さの鉛筆、穴埋め形式のプリントなどが助けになります。くわしい進め方は「書くことが苦手な場合のトレーニング」でもご紹介しています。
目の使い方|見たいところを探すのに時間がかかっていない?
- 視力ではなく、探して見分ける働きの話
- 行飛ばしが続くようなら確認してみる
- 定規や窓のあいた厚紙で範囲をしぼる
2つ目は、必要な情報を見つけて見分けるのに時間がかかっているケースです。
ここでいう目の使い方とは、視力の良し悪しだけではありません。たくさんの情報のなかから必要なものを探し出す働きも関わります。黒板とノートのあいだで視線を往復させる作業は、この力を強く使います。
音読で行を飛ばすことが頻繁にある、読む位置をくり返し見失う、プリントのどこを見ればよいか迷う。こうした様子が続くときは、読みや注意も含めて確認してみてください。指で追うこと自体は、多くのお子さんが使う自然な工夫でもあります。
速さの問題に見えて、実は見つけ方の問題であることも少なくありません。
定規を当てる、窓のあいた厚紙を重ねるだけでも、見る範囲がしぼられて負担が減ります。見え方が気になる場合は、眼科に相談してみるのも一つの方法ですね。
注意の続きにくさ|単純作業でぷつっと集中が切れることも
- 刺激の少ない作業ほど集中を保ちにくい
- 興味のある内容には長く取り組める子も多い
- 作業を短く区切り、休憩を挟む方法がある
3つ目は、単調な作業で注意が続きにくいケースです。
処理速度をみる課題は、同じ動きをくり返す単純なもの。むずかしくはありませんが、その分だけ飽きやすく、集中を保つ力が問われます。
途中で手が止まる、周りの音や動きに顔を向ける、話しかけられると作業が止まる。こうした様子があれば、注意の持続が影響している可能性があります。
一方で、興味のある内容には驚くほど長く取り組めるお子さんも多いです。この差だけを見て「やる気がない」と決めることはできません。刺激の少ない作業を続けること自体に、大きな負担がかかっている場合もあるためです。
作業時間を短く区切って休憩を挟む、机の上に必要なものだけを置く。こうした環境の調整が助けになりますよ。
WISCで処理速度だけ低いとADHDや発達障害なの?関係を冷静に整理
- PSIが低いという結果だけでは診断できない
- ADHD・ASD・LDとの重なりは可能性の一つ
- 相談先は教育・医療・福祉の3つに分かれる
結論からお伝えすると、処理速度の数値だけで発達障害かどうかを判断することはできません。
重なりが見られることはありますが、それは「そういう場合もある」という話にとどまります。
PSIが低いだけで診断はできないってどういうこと?
- WISCは知的能力や認知特性を評価する検査
- PSI単独でADHDやASDを診断することはできない
- 名前をつけるより困りごとを見つけるのが先
WISCは、知的能力や認知の特性を評価する検査です。知的障害や学習面の困難を調べる場面では、診断の一部として活用されることもあります。
ただし、PSIが低いという結果だけからADHDやASDなどを診断することはできません。これらは、発達の経過や日常生活での様子、困りごとの程度などを総合的に見て判断されるものだからです。
実際、発達に特性のあるお子さんのWISCのプロフィールには、かなりの個人差があることが知られています。特定のパターンが全員に当てはまるわけではないんですね。
ここまで見てきたように、処理速度が下がる背景には書字、視覚的な探索、注意、当日の状態など複数の要因があります。同じ数値でも、背景が違えば必要な支援は変わります。
数字だけを見て結論を出す進め方は避けたほうがよいでしょう。
大切なのは名前をつけることではなく、いま何に困っていて、どうすれば楽になるかを見つけることなんです。
ADHD・ASD・LDとの重なりはどう考えたらいい?
- 注意の特性があると低く出ることはある
- 読み書きの困難や切り替えの難しさも影響しうる
- 重なりがあることと原因であることは別
重なりが見られることはありますが、それだけで結びつけることはできません。
注意の持続に難しさがあるお子さんでは、単純作業を一定時間続ける課題の影響を受けて、処理速度が相対的に低く出ることがあると言われています。
読み書きに特化した困難(LD)がある場合は、処理速度とは別に文字の読み書きそのものに負担がないか確認します。音読でつまずく、書き取りだけ極端に苦手といった様子がヒントになります。
ASDに見られるような切り替えの難しさや、完璧に書こうとして先へ進めない傾向も、作業の速度に影響することがあります。
重なりがあることと、原因と結果の関係があることは別ものです。困りごとが書く場面に限られているなら、書字への支援を優先するほうが現実的ですね。
気になるときの相談先ってどこ?医療と教育それぞれの窓口
- 学校は担任・特別支援教育コーディネーター・スクールカウンセラー
- 医療はかかりつけの小児科がはじめの窓口
- 福祉は発達障害者支援センターや自治体窓口
相談先は、大きく教育・医療・福祉の3つに分かれます。
まず身近なのが学校です。担任の先生に加えて、特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーに相談できる場合があります。話が進みにくいときは、市区町村の教育相談窓口という選択肢もあります。
医療面が気になる場合は、かかりつけの小児科がはじめの窓口です。必要に応じて、発達を専門に診る医療機関を紹介してもらえます。福祉のルートでは、各都道府県などに設置されている発達障害者支援センターが相談を受け付けています。
見落とされがちなのが、検査を実施した機関に聞き直すという方法です。数値の読み方や家庭で試せる工夫について、具体的な助言をもらえることがありますよ。
迷ったときは、いま一番困っている場面を基準に選んでみてくださいね。
学校にお願いできる合理的配慮と伝え方のコツ
- 板書・テスト・課題量の3方向で相談できる
- ICTの活用も力を発揮するための道具
- 数字を添えたA4用紙1枚のメモが話を早くする
学校では、一人ひとりの状況に応じた合理的配慮を相談できる仕組みがあります。
これは先生の好意ではなく、障害者差別解消法などを背景にした仕組みです。お子さんの困りごとと教育的なニーズをもとに、学校と保護者の方で具体的な方法を話し合って決めていきます。
特別な制度を使わなくても、担任との相談で実現できる工夫は少なくありません。なお、対応できる内容は地域や学校の状況によって異なります。
板書の負担を減らす|プリント配布や写真撮影を相談してみよう
- まとめプリントの配布がもっとも取り入れやすい
- タブレットやカメラでの撮影という方法もある
- まずは一教科だけ試すという相談ができる
まず相談したいのが、板書の負担を減らす方法です。
取り入れやすいのは、板書の内容をまとめたプリントを配ってもらう形。すでに他のお子さん向けに用意されている場合も多く、負担なく対応してもらえることがあります。
書く量が減れば、そのぶんを先生の説明を聞く時間にまわせます。授業中の理解が変われば、家に帰ってからの復習の負担も軽くなりますね。
タブレットやカメラで黒板を撮影し、家でノートに整理するという流れも選択肢の一つです。
「楽をさせたい」のではなく「説明を聞く時間を確保したい」という説明のほうが、先生にも意図が伝わります。まずは一教科だけ試してみるという相談の仕方もできますよ。
テストの時間延長や高校入試での配慮はお願いできるの?
- 校内テストは時間延長・別室・形式などを相談できる
- 高校入試では別室受検・時間延長・ICT利用などが配慮例
- 手続きや期限は自治体・実施主体によって異なる
時間延長は相談できる配慮の一つですが、全国共通の基準があるわけではありません。
学校内のテストについては、それぞれの学校の判断で対応が検討されます。時間延長のほか、別室での受験、解答欄を大きくする、課題の形式を変えるといった方法を相談できる場合があります。
WISCの数値を提出すれば自動的に認められるという仕組みではないんですね。相談のときに力を発揮するのは、実際の困りごとを示す記録です。答案の白紙部分や、時間無制限で解き直したときの結果が説得力を持ちます。
高校入試については、文部科学省の資料でも、別室受検、試験時間の延長、拡大文字の問題用紙、問題文の読み上げ、ICTの利用、口頭による解答などが配慮の例として示されています。
ただし、申請の方法や期限、認められる内容は自治体や入試制度によって異なります。中学2年の終わりごろから情報を集めはじめ、早めに中学校や教育委員会へ確認しておくと安心です。
進路全体の進め方は「発達障害のお子さんの高校受験」もあわせてご覧くださいね。
宿題や課題の量を調整してもらうという考え方
- 回数を減らす、偶数番号だけにする調整がある
- 時間で区切る形でも相談できる
- 減らして最後までやりきる経験が次につながる
宿題の量を調整してもらうことは、負担を減らす近道になります。
同じ漢字を10回ずつ書く課題を5回にする、計算問題を偶数番号だけにする。目的が習得であれば、量を減らしても達成できることは少なくありません。
「45分取り組んだところまで」と時間で区切る方法も相談できます。お願いするときは、家庭での状況を具体的に伝えることが大切です。たとえば「30分を想定した課題に90分かかっています」のように伝えると、先生も対応を考えやすくなります。
量を減らすことに抵抗を感じる方もいらっしゃいますよね。
ただ、終わらない宿題を毎晩くり返すと、勉強そのものが嫌いになってしまうこともあります。減らして最後までやりきる経験のほうが、次につながることも多いんです。
タブレットやタイピングを使うのはズルじゃない
- ICTは力を発揮するための道具という位置づけ
- 音声入力や読み上げも場面によって助けになる
- 学校ごとの使用ルールは事前に確認する
ICT機器の利用に、後ろめたさを感じる必要はありません。
眼鏡をかけて黒板を見るのと同じで、力を発揮するための道具という位置づけです。
タイピングに慣れていれば手書きより速く入力でき、修正もしやすくなります。書くことへの負担が減れば、内容を考えることに力を使えますね。
学校では一人一台の端末が配られている環境も広がっています。すでにある機器を使う形なら、相談のハードルはそれほど高くありません。音声入力や読み上げの機能も、場面によっては大きな助けになります。
持ち込みの可否や使える場面は学校によって異なるため、事前の確認は欠かせません。
相談メモの作り方|「最後の3問に届かない」と数字で伝えると話が早い
- A4用紙1枚にまとめると相談が進みやすい
- 場面・数字・試したこと・希望の4点を書く
- 面談の最後に次の確認時期を決めておく
学校との相談は、準備によって結果が変わります。A4用紙1枚のメモを用意しておくと、話が驚くほどスムーズに進みます。
書く内容は4つで十分です。
1つ目は困っている場面を具体的に。2つ目はその頻度や数字。3つ目は家庭で試したことと、その結果。4つ目は学校にお願いしたいことの候補です。
たとえば「テストで最後の3問に届かない」「漢字の宿題に毎日90分かかる」「家では時間で区切ってみたが量が終わらない」「まとめプリントの配布をお願いしたい」という並びですね。
「処理速度が低いので配慮してください」という伝え方より、はるかに動いてもらいやすくなります。
伝える順番は、場面→数字→試したこと→希望です。検査結果を添える場合は、全体を渡すのではなく必要な部分にしぼる方法もあります。面談の最後には、次にいつ様子を確認するかを決めておくと安心ですよ。
家庭でできる勉強の工夫と、検査結果の本人への伝え方
- 宿題は小分けにして残りを見えるようにする
- 書く量を減らすと考える時間にまわせる
- 結果は得意なことから順に本人へ伝える
家庭でできる工夫は、特別な教材や道具がなくても始められるものばかりです。
私たちは勉強が苦手なお子さんを専門に指導してきましたが、処理速度に弱さがあるお子さんでは「どう教えるか」と同じくらい「どう出させるか」が結果を分けます。
ポイントは、速くさせようとしないことなんです。
宿題は小分けにしよう|「あと何問」を見えるようにするのがコツ
- プリントを折る、付せんで区切るだけで変わる
- 終わった問題に印をつけて残りを見せる
- タイマーは競わせず、区切りを知らせる道具に
宿題に取りかかれない理由の一つに、量の多さがあります。
プリント全体を見た瞬間に「終わらない」と感じてしまうと、始める前から気持ちが折れてしまうんですね。
そこで役立つのが、小分けにする工夫です。プリントを折って一度に見える範囲を減らす、付せんで区切る、5問ごとに線を引く。それだけでも印象は変わります。
あわせて、終わった問題に印をつけて進み具合を見えるようにしてみてください。「あと3問」とわかるだけで、最後まで走りきる力が出てきます。
それでも終わらないときは、「毎日90分かかっている漢字の宿題を、45分で区切って残りは翌日にまわす」といった形にできないか、学校に相談してみるという進め方もあります。ほかの工夫は「宿題を早く終わらせる方法」もご参考に。
タイマーを使うときは、時間を競わせないよう気をつけてください。
書く量を減らすと考える時間にまわせるって知ってる?
- 書く作業に力を使いきると考える余力が残らない
- 答えだけ書く、途中式は口頭という方法もある
- 漢字は書く回数より覚え方を変える
書く量を減らすことに、罪悪感を持つ必要はありません。
書く作業に力を使いきってしまうと、肝心の考える部分に回すエネルギーが残らなくなります。量を減らすのは、思考のための余力をつくる工夫なんです。
答えだけを書く、途中式は口頭で説明する、選択肢から選ぶ形にする。理解度を確かめる目的なら、どれも十分に成り立ちます。教科書を声に出して読み、内容を口で説明してもらうだけでも確認はできますよ。
漢字の練習では、書く回数より覚え方を変えるほうが近道になることもあります。部首に分けて意味とセットで覚える、指で空書きする、声に出しながら形を確認するといった方法です。
ノートを埋めることが目的になっていないか、一度見直してみてくださいね。
つい言いがちな「早くしなさい」を言い換えるとどう変わる?
- 「早く」だけでは具体的な行動につながらない
- 次の一つの動作と残り時間を伝える
- 比べる相手は昨日までの本人にしておく
「早くしなさい」は、つい口をついて出てしまう言葉ですよね。
けれど処理速度に弱さがあるお子さんにとって、この言葉は具体的な行動につながりにくいものです。どう速くすればいいかがわからないまま、焦りだけが積み重なっていきます。
言い換えのコツは、次の一つの動作を伝えることです。
「早く支度して」ではなく「まず靴下をはこう」。何をすればいいかがはっきりすると、体が動きやすくなります。「あと5分で家を出るよ」と残り時間を示すのも、見通しが持てて落ち着いて動けますね。
他の子と比べる言い方だけは避けたいところです。比べる相手は、いつも昨日までの本人にしておきましょう。
完璧を目指す必要はありません。気づいたときに一つ言い換えてみる、それで十分です。
検査の結果は子ども本人にどう伝えたらいい?
- 年齢や理解度に合わせて言葉を選ぶ
- 得意→苦手→対策の順で話す
- 努力の不足として伝えることは避ける
結果を本人にどう伝えるかで、その後の受け止め方は大きく変わります。
伝えないという選択もありますが、年齢が上がるほど「自分は何か違う」と感じているお子さんは多いものです。適切に伝えることで、かえって気持ちが楽になることもあります。
伝え方に決まった正解はありません。年齢や本人の理解度、本人が知りたがっているかどうかによって変わるため、検査を実施した専門家とも相談しながら決めていくと安心です。
そのうえで、多くの場面で使いやすいのが次の3ステップです。
1つ目に得意なこと。「言葉で考える力がとても強いんだって」と、数値をそのまま強調するのではなく特徴の形で話します。
2つ目に苦手なこと。「そのかわり、作業をこなすのに人より時間が必要なんだって」と続けます。3つ目に対策。「だから時間を長くもらえるように相談しよう」とセットで伝えると、結果が前向きな情報に変わります。
避けたいのは、努力の不足として伝えることです。「もっと頑張れば普通になれる」というメッセージは、本人を追い詰めてしまいます。
ビジョントレーニングや反復練習に期待していいのはどこまで?
- 練習した課題そのものの上達は見られる
- 成績や生活への波及は介入内容によって結果が異なる
- 環境の調整と組み合わせて補助的に位置づける
期待の持ち方を先にお伝えすると、取り組んだ課題そのものの上達は見られても、その効果が学校の成績や生活全体に広く及ぶかどうかは、介入の内容によって研究の結果が分かれています。
たとえば、視機能への治療で見る力そのものは改善しても、読解の力までは変わらなかったとする比較試験もあります。
ビジョントレーニングと認知課題のくり返しはまとめて語られがちですが、中身が違えば根拠のあり方も違うんですね。PSIや学校の成績が必ず改善するとはいえない、というのが現時点での見方です。
「必ず改善する」「数値が上がる」とうたうサービスには、根拠を確認する姿勢を持ちましょう。
では、やらないほうがよいのかというと、そうではありません。本人が楽しんで続けられるなら、「できた」という経験が自信につながっていきます。環境の調整と組み合わせて、あくまで補助として位置づけるのが現実的ですね。
処理速度だけ低い子は大人になったらどうなる?将来と向いている環境
- 困りごとの出方は年齢とともに変わることがある
- 中学・高校で増える書く量への備えがカギ
- 速さより質で評価される環境という選び方
先に見通しをお伝えすると、速さが評価される場面ばかりではありません。
時間をかけて質で応える力が生きる環境もあり、大人になるにつれて自分に合った方法や環境を選ぶことで、負担を減らせる人もいます。
数値は成長で変わる?年齢とともに困りごとの出方はこう変わっていく
- 再検査で変動がみられることもある
- 低学年は目立たず、書く量が増える時期に表面化
- 大人になると工夫と選択で困りごとが減る人もいる
数値は一生固定されたものではなく、発達や経験を重ねるなかで、再検査では違う結果が出ることもあります。
ただし、平均まで上がると約束できるものではありません。数値の上昇だけを目標にするのは、あまりおすすめできないんですね。
むしろ変わっていくのは、困りごとの出方のほうです。低学年のうちは学習量が少ないため差は目立ちにくく、書く量が増える中学年から高学年にかけて表面化することがあります。
大人になると、作業のやり方を自分で選べるようになるぶん、困りごとが目立ちにくくなる人もいます。
手書きをタイピングに置き換える、締め切りに余裕を持たせる。こうした工夫を自分で取り入れられるようになるためです。もちろん発達の経過には個人差があるので、いまの数値だけで将来を決めつける必要はありません。
中学・高校で増える「書く量」にどう備える?
- 中学入学後は書く量も提出物の数も増える
- 負担が重なると登校がつらくなることもある
- 「書くのがつらい」が「学校がつらい」に変わる前に
備えのポイントは、中学入学の前後で負担の総量を見直しておくことです。
中学に入ると、書く量も提出物の数も増えていきます。小学校では何とかなっていたお子さんが、負担が重なって疲れきってしまうこともあるんですね。
提出物が間に合わない、授業のノートが追いつかない、放課後も課題に追われる。こうした状態が続くと、朝の足取りが重くなっていくことがあります。
登校しぶりがみられたときは、気持ちの弱さと決めつけないでください。学習の負担が背景にある場合もあります。
提出期限を延ばしてもらえないか、タイピングでの提出を認めてもらえないか。こうした相談を早めに学校としておくと、負担が重なる前に手を打てます。
「書くのがつらい」が「学校がつらい」に変わる前に動けると、お子さんの負担は軽くなります。
大人になって力を発揮しやすいのはどんな環境?適職の考え方
- 速さより質で評価される環境が合いやすい
- 自分でペースを組み立てられるかが判断軸
- 職種名より「働き方の条件」で考える
適職を考えるときの方向性は、速さより質で評価される環境かどうかです。
「この職業が向いている」と職種名で決めるより、働き方の条件で考えるほうが現実的だと考えられます。
見ておきたい条件は3つあります。1つ目は、締め切りまでの時間に余裕があること。2つ目は、作業の順番やペースを自分で組み立てられること。3つ目は、手書きに頼らずICTを使える環境であることです。
反対に、その場での即断即決が続く場面や、決められた速度に合わせ続ける作業は負担が大きくなりやすいという声もあります。
言語理解が高いお子さんであれば、じっくり考えて言葉にまとめる力が評価される場面で力を発揮しやすいかもしれません。
いまから職業を絞り込む必要はありません。「自分はどういう条件があると力が出るか」を本人が知っていること。それがいちばんの備えになりますよ。
処理速度だけ低い子に合う学習サポートの選び方
- 判断の軸は「量」ではなく「合わせてもらえるか」
- 個別指導は形式によって中身が大きく違う
- 通級による指導など公的な選択肢もある
学校の外でサポートを探すとき、選び方を間違えると負担が増えてしまうことがあります。
処理速度に弱さがあるお子さんの場合、判断の軸は「量」ではなく「合わせてもらえるかどうか」です。
集団塾は課題量が増えて逆に負担になっていない?
- 決められたペースで進むことが前提になる
- 学校の宿題に塾の課題が重なりやすい
- 行き帰りと待ち時間そのものが負担になることも
集団指導の塾は、決められたペースで進むことが前提になります。板書の速さも演習にかけられる時間も、クラス全体に合わせて設定されるためです。
学校の宿題に加えて塾の課題が重なると、家庭学習の時間はさらに長くなります。
疲れて夜遅くまでかかるようなら、成果が出る前に力尽きてしまうおそれがあります。
もう一つ見落としがちなのが、塾への行き帰りと待ち時間そのものが負担になっていないかという点です。
もちろん、集団塾がすべて合わないわけではありません。宿題量を個別に調整してくれる教室や、少人数で進度を合わせてくれる教室もあります。塾選びの視点は「発達障害のお子さんに合う塾の選び方」もご覧くださいね。
個別指導や家庭教師はペースを調整できるかどうかがカギ
- 同じ「個別」でも一対三と一対一で中身が違う
- ペース・書く量・宿題量の3点を確認する
- 費用の総額と相談できる範囲は事前に確かめる
個別指導や家庭教師を選ぶときのカギは、進め方をお子さんに合わせて調整できるかどうかです。
同じ「個別」でも中身には差があります。講師一人に生徒が三人という形式では、待ち時間のあいだに演習を求められることも多くなります。完全な一対一であれば、書く速度に合わせて説明を止めたり、口頭でのやりとりを増やしたりできます。
見ておきたいのは次の3つです。ペースを本人に合わせてもらえるか、書く量を調整してもらえるか、宿題の量を相談できるか。
せかす言い方をしない、手が止まっても待ってくれるという講師の姿勢も、続けるうえで大切な条件になります。
申し込みの前には、費用の総額と、どこまで相談に応じてもらえるかを確かめておくと安心です。発達に特性のあるお子さん向けのコースを用意しているサービスもありますよ。
放課後等デイサービスや通級による指導という選択肢もある
- 通級による指導は在籍学級に通いながら受けられる
- 判断は数値ではなく教育上のニーズによる
- 公的な支援と民間のサポートは併用できる
公的な支援の選択肢も知っておくと、検討の幅が広がります。
通級による指導は、通常の学級に在籍しながら、一部の時間に学習上・生活上の困難の改善を目的とした特別の指導を受ける仕組みです。利用にあたっては学校を通じた相談と手続きが必要になります。
検査の数値だけで決まるものではなく、実際の教育上のニーズをもとに判断されます。
放課後等デイサービスは、福祉の制度にもとづく通所支援です。対象や条件、利用できる日数は地域によって異なるため、お住まいの自治体の窓口で確認してみてください。
公的な支援と民間のサポートは、組み合わせて使うこともできますよ。
家庭教師のランナーという選択肢|子どものペースに合わせて学べる

- 勉強が苦手なお子さん専門のオーダーメイド指導
- 発達障がいコミュニケーション指導者が在籍
- 訪問とオンラインを切り替えて続けやすい
ここまでお伝えしてきた条件を満たすサービスの一つに、家庭教師のランナーがあります。
勉強が苦手なお子さんを専門にしているため、ペースの調整や声のかけ方に慣れている点が特徴です。
家庭教師のランナー|勉強が苦手な小中高生専門のオーダーメイド指導
- 2004年創業、勉強が苦手な小中高生専門
- 小中学生は30分900円、高校生は30分1,000円
- 「どう出させるか」に軸を置いた進め方
家庭教師のランナーは、2004年の創業から勉強が苦手なお子さんを専門に指導を続けている家庭教師グループです。
これまで30,034人の指導に関わってきましたが、処理速度に弱さがあるお子さんでは「どう教えるか」と同じくらい「どう出させるか」が結果を分けます。
書く量をどこまで減らすか、口頭でのやりとりをどこに入れるか。この設計を一人ひとりに合わせて組み立てていきます。
料金は、未就学児・小中学生が1コマ30分あたり900円、高校生が1,000円です。講師登録数は約14万人で、2024年の第一志望合格率は97.5%と公表されています。
兄弟や友達と2人同時に受ける場合は、2人目以降の月々の料金が半額以下になる仕組みもありますよ。
発達障がいコミュニケーション指導者が在籍していて相談しやすい
- 発達障がいコミュニケーション指導者が在籍
- 不登校のお子さんへのサポート実績もある
- LINEで24時間質問できる体制
処理速度に弱さがあるお子さんの場合、指導者側の理解が結果を大きく左右します。
ランナーには発達障がいコミュニケーション指導者の資格を持つスタッフが在籍しています。不登校のお子さんへのサポート実績もあり、専任のカウンセラーも配置されています。
「書くのがつらい」が「学校がつらい」に変わる前に相談できる相手がいると、安心ですね。
「宿題の量が多すぎる」「書くことを嫌がる」といった悩みも、指導の進め方に反映してもらいやすくなります。
LINEでは24時間質問ができるため、指導日以外に手が止まったときも聞ける形になっています。
訪問とオンラインを切り替えられるから、疲れやすい子でも続けやすい
- 訪問型とオンライン型を柔軟に切り替えられる
- 移動と待ち時間の負担がかからない
- 1コマ30分から始められるので無理がない
疲れやすいお子さんにとって、続けられる形かどうかは大きな判断材料になります。
ランナーは訪問型とオンライン指導を柔軟に切り替えられます。疲れている日はオンライン、集中したい日は訪問という使い分けができるんです。
塾への行き帰りや待ち時間がないぶん、その時間を休息や学習にまわせます。処理速度に弱さがあるお子さんでは、この差が思っている以上に効いてきます。
1コマ30分900円からなので、負担の少ない回数から始められる点も続けやすさにつながりますよ。
無料の体験授業では「急かさない先生か」を見ておこう
- 手が止まったときに待ってくれるかを見る
- 書かせる量と口頭のやりとりのバランスを確認
- 体験後のお子さんの表情も判断材料になる
体験授業で見るべきポイントは、はっきりしています。手が止まったときに、待ってくれるかどうかです。
「早く」「まだ終わらないの」といった言葉が出るかどうかは、確認しておきたいところですね。答えを書いている途中でせかされると、それだけで力は出せなくなります。
書かせる量も見ておきましょう。ノートを埋めることが中心になっていないか、口頭でのやりとりを取り入れてくれるかを確かめます。宿題の量を相談できるかどうかも、その場で聞いてみてください。
ランナーの90分の無料体験レッスンでは、お子さんに合った勉強のやり方をその場でご提案しています。無理な勧誘は一切ありませんので、まずは「うちの子には何が合いそうか」を確かめる場として使っていただけます。
体験は無料なので、複数を比べてから決められます。迷ったときは、料金や実績よりも、お子さんが安心して話せるかどうかを優先してみてくださいね。
WISCで処理速度だけ低いときの向き合い方についてまとめ
- ・今日:宿題の開始時刻と終了時刻を1週間メモしてみる
- ・今週:A4用紙1枚の相談メモを「場面→数字→試したこと→希望」の順で書く
- ・次の面談:まずは一教科だけ、板書のプリント配布を相談してみる
- ・声かけ:「早くしなさい」を「まず〇〇をしよう」に一つだけ言い換える
- ・本人へ:得意なこと→苦手なこと→対策の順で、年齢に合わせて伝える
WISCで処理速度だけ低いという結果が出ても、その数値だけで理解力や知的能力の全体を判断することはできません。
処理速度は、目で見た情報をすばやく正確にさばくという特定の領域についての得点です。困りごとが「わからない」ことより「間に合わない」こととして表れる場合もあります。
背景には、書く動作、視覚的な探索、注意の続きにくさなど複数の要因が考えられます。数値だけで結論を出さず、日常の困りごとと照らし合わせながら、検査を実施した専門家にも相談してみてくださいね。
支援の中心になるのは、速くさせることではなく環境を整えることです。そして大人になるにつれて、自分に合った方法や環境を選ぶことで負担を減らせる人もいます。いまの困りごとが、ずっと同じ形で続くとは限りません。
上の5つのうち、今日できそうな一つを選んで、まずは試してみてくださいね。







