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発達障害の二次障害とは|子どものサインと思春期に親ができること
2026.10.15

「最近、学校に行きたがらない」「反抗的な態度や落ち込みが増えてきた」と、お子さんの変化にどう向き合えばいいのか戸惑っている保護者の方も多いかもしれませんね。
結論からお伝えすると、こうした変化は、発達障害の特性と周りの環境との関係などから生じる「二次障害」のサインかもしれません。二次障害には、もともとの症状が強く表れる場合や、新たに心や行動の不調が生じる場合などがあります。
早めに気づいて関わり方や環境を見直すことが、お子さんの安心と自信を守る第一歩になります。
発達障害やグレーゾーン(診断には至らないものの特性がある状態)のお子さんを育てていると、叱っても状況がよくならず、自分を責めてしまう方も少なくありません。
この記事では、子どもに出るサインや思春期に目立ちやすい理由、相談先と家庭でできる関わり方を、公的機関の情報をもとにご紹介します。
目次
発達障害の二次障害とは?

- 特性と周りの環境との関係などを背景に、心や行動の問題が生じたり強まったりする
- 原因は一つではなく、親の育て方だけで決まるものではない
- グレーゾーンや知的障害のある子どもにも起こることがある
発達障害の二次障害とは、特性と周りの環境との関係などを背景に、心や行動の問題が生じたり、もともとの症状が強まったりすることです。
不安や抑うつ(気分の落ち込みが続く状態)などの心理的な症状が生じるほか、不登校や反抗的な行動などの形で現れることもあります。
失敗や叱責の積み重ね、対人関係のストレスなどが関係する場合もありますが、原因は一つとは限りません。
国立特別支援教育総合研究所(NISE)の研究紹介では、もともとの症状が悪化する場合や、本来はない症状が現れる場合、反抗挑戦性障害(大人に対して怒りっぽく反抗的な態度が続く状態)など別の障害が併存する場合などに分けて説明しています。
「二次障害」は医学の正式な診断名ではなく、発達障害のある子に後から生じた不調や症状の悪化を捉えるための言葉です。
なぜ起こる?特性と周りの環境の関係にストレスが重なるから
- 特性が誤解され、叱られる経験や失敗が重なると自信を失いやすい
- 不調がさらに誤解を招く悪循環に入りやすい
- 周りの理解や環境の調整で起こりにくくすることもできる
二次障害は、特性と周りの環境の関係に、失敗や叱責、対人関係のストレスなどが重なることで起こりやすくなります。
ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害は、生まれつきの脳の働き方の違いによるものです。特性が目に見えにくいため、忘れ物や集中の続かなさが「やる気がない」と受け取られ、くり返し叱られる子もいます。
NISEの研究紹介でも、まわりからの無理強いが重なると自己評価が下がることがあると指摘されています。よく見られる悪循環の一例は、次のような流れです。
1.特性による苦手さがある
2.周りに理解されず、叱られたり失敗したりする
3.自信をなくし、ストレスがたまる
4.落ち込みや反抗などの不調が出る
5.不調がさらに誤解を招き、叱られる場面が増える
大切なのは、特性だけでなく、周りの環境との関係にも目を向けることです。発達障害があっても二次障害が誰にでも起こるわけではなく、周りの理解や環境の調整によって起こりにくくすることもできるといわれています。
二次障害は親のせい?原因は一つではない
- 子どもの特性や学校での失敗など、さまざまな要因が重なって起こる
- 家庭は子どもが自信を取り戻すための大切な居場所になる
- 保護者自身がつらいときは一人で抱え込まない
二次障害は、子どもの特性や学校での失敗、友達とのトラブル、周りの誤解など、複数の要因が重なって起こります。
サインが出ると「育て方が悪かったのでは」と自分を責める保護者の方は少なくありません。それだけ、お子さんのことを真剣に考えている証拠でもありますね。
親の育て方だけが原因だと決めつける根拠はありません。むしろ家庭は、お子さんが安心して休み、自信を取り戻すための大切な居場所になります。過去を責めるより、「これからどう関わるか」に目を向けてみてください。
具体的な関わり方は、この後の「二次障害を防ぐために親ができること」でご紹介します。
保護者の方自身がつらいときは、発達障害者支援センターなど家族の相談を受け付けている窓口を頼ることもできます。気持ちの整え方は「発達障害の子育てに疲れた親へ」も参考にしてください。
グレーゾーンや知的障害がある子にも二次障害は起こる?
- 診断がないグレーゾーンの子どもにも起こることがある
- 知的障害のある子どもや、発達障害と知的障害が併存する子どもにも起こりうる
- 診断名にとらわれず、早めに特性に気づいて相談する
診断を受けていないグレーゾーンの子どもや知的障害のある子どもにも、二次障害や二次的な心身の不調は起こることがあります。
グレーゾーンの子は特性が目立ちにくい分「がんばればできるはず」と思われやすく、本人も理由がわからないまま自分を責めてしまうことがあります。
国立障害者リハビリテーションセンターも、確定診断ができない場合でも、子どもの特徴を保護者が知ることが過ごしやすい生活環境を整える出発点になると伝えています。
知的障害のある子どもにも、環境や心理的ストレスなどを背景とした二次的な心身の不調が生じることがあります。
ASDなどの発達障害と知的障害が併存している子どもにも、二次障害が起こる可能性があります。
富山大学附属病院を受診した6〜15歳の発達障害・知的障害のある子ども95人を対象とした富山大学の報告では、小学校低学年で受診した群で、受診時に二次障害を併存している割合が低いことが示唆されました。
ただし、早期受診そのものによる予防効果を証明した研究ではありません。
診断名にとらわれず、気になる様子があれば早めに相談することが大切です。学校での支援については「通級指導教室はグレーゾーンでも通える?」も参考にしてください。
子どもに出る二次障害のサインと症状

- 内在化(自分に向かうサイン)は、落ち込みや不安、不登校、体の不調として表れる
- 外在化(周りに向かうサイン)は、反抗や暴言、かんしゃくとして表れる
- 自傷や「消えたい」という言葉は、すぐに相談したいサイン
発達障害の二次障害の表れ方は、大きく自分に向かう「内在化」と周りに向かう「外在化」の2つに分けられます。
NISEの研修講義資料「二次障害の理解と対応」では、不安や気分の落ち込み、引きこもりなど内面の苦しさとして表れるものを「内在化」、反抗や暴力など行動として周りに向けて表すものを「外在化」と説明しています。両方が重なって出ることもあります。
また、これらとは別に、自傷や「消えたい」という言葉など、すぐに相談したいサインにも注意が必要です。
自分に向かうサイン|落ち込み・不安・不登校・頭痛や腹痛
- 内在化と呼ばれ、おとなしくなる形で出るため見落とされやすい
- 頭痛や腹痛が続くときは、体の原因を確かめたうえで心の負担にも目を向ける
- 登校しぶりは無理を重ねてきた子どものSOSかもしれない
自分に向かうサイン(内在化)は、おとなしくなる形で表れるため、周りが見落としやすいサインです。
次のような変化が続いていないか、振り返ってみてください。
・気分が落ち込み、好きだったことを楽しめない
・不安や緊張が強く、新しいことを避ける
・「どうせ自分なんて」と自分を否定する言葉が増える
・朝になると頭痛や腹痛を訴え、登校をしぶる
・眠れない、食欲がないなどの体の不調が続く
・学校を休む日が増え、家にこもりがちになる
徳島県発達障がい者総合支援センターの資料では、二次障害とまではいえない段階でも、体調不良やイライラ、ゲームをずっとするといった様子を、生きづらさのサインとして挙げています。
頭痛や腹痛が続く場合は、まず小児科などで体の原因を確認することが大切です。検査で異常が見つからない場合も含め、心の負担が関係していることがあるため、学校や家庭での様子にも目を向けてみてください。
登校をしぶる様子は、わがままではなく無理を重ねてきた子どものSOSかもしれません。
不登校への対応は「不登校の小学生はどうする?」でも紹介しています。
周りに向かうサイン|反抗・暴言・かんしゃく
- 外在化と呼ばれ、怒りやいらだちが行動に出る
- 反抗やかんしゃくがあっても、必ずしも二次障害とは限らない
- 困った行動は叱るだけでなく、背景にある気持ちを考える
周りに向かうサイン(外在化)は、怒りやいらだちが反抗や暴言などの行動として表れるサインです。
気持ちをうまく言葉にできず、行動で表していることもあります。叱られる場面が増えると、さらに傷つく悪循環に入りやすくなりますね。
・親や先生への反抗的な態度や暴言が増える
・ささいなことでかんしゃくを起こす
・物に当たる、きょうだいや友達に手が出る
・友達や同級生とのトラブルが続く
ただし、反抗やかんしゃくがあるからといって、必ずしも二次障害とは限りません。
発達段階による反応やストレスなどでも起こるため、以前と比べて頻度や強さが増していないか、生活への影響が出ていないかを確認することが大切です。
NISEの研究紹介でも、反抗的な言動のように本来は見られない様子が加わることが、二次障害の例として挙げられています。外在化のサインは、小学校低学年など早い時期から見られることもあります。
うそや万引きなどの困った行動も、発達障害が直接の原因とは限りません。叱るだけでなく背景にある気持ちを考えることが大切です。
対応は「発達障害のある子供の攻撃的行動にどう対応する?」「発達障害で嘘をつく小学生への対応」「子どもの万引きと発達障害」で紹介しています。
すぐに相談したいサイン|自傷や「消えたい」という言葉
- 命に関わる可能性があるため、様子を見ずに早めに相談する
- 打ち明けられたら否定せずに受け止め、子どもを一人にしない
- 命の危険が差し迫っているときは、ためらわず119番に連絡する
自傷や「消えたい」という言葉は命に関わる可能性があるため、様子を見ずに早めの相談が必要なサインです。
次のような様子があるときは、できるだけ早く医療機関や相談窓口につないでください。
・自分の体を傷つける行動がある
・「消えたい」「生きているのがつらい」などと口にする
・眠れない日や食事をとれない日が続いている
・暴力が激しく、家族だけでは安全を守れない
打ち明けられたときは、否定や説教をせず、「話してくれてありがとう」と気持ちを受け止めましょう。
自殺の危険が感じられる場合は、子どもを一人にせず、安全を確保しながら、速やかにかかりつけの小児科や児童精神科などの医療機関に相談してください。
自殺を実行しそうな状況や重大な自傷行為があるなど、命の危険が差し迫っているときは、ためらわず119番に連絡してください。
差し迫った危険はないものの夜間や休日に不安が強いときは、子どもも保護者も相談できる24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)もあります。救急の代わりではないため、緊急時は119番を優先してください。
ほかの相談先は「まずはどこに相談する?医療機関・支援センター・学校」で紹介しています。
思春期に二次障害が目立ちやすい理由
- 周りとの違いに気づき、「自分だけできない」と感じやすくなる
- 勉強や友達関係が難しくなり、つまずきが目立ちやすい
- 反抗期や特性との見分けは、家庭だけで判断しない
二次障害は幼児期や小学校低学年から見られることもありますが、小学校高学年から思春期にかけて目立つ場合があります。
この時期は自分と周りの違いを意識しやすくなり、学習や対人関係の負担も増えるため、それまでの無理が表に出やすい時期でもあります。
思春期に二次障害が目立ちやすい理由を、3つの視点から見ていきましょう。
周りとの違いに気づいて「自分だけできない」と感じやすい
- 思春期は違和感や疎外感を自覚しやすい時期
- 周りに合わせようとがんばってきた疲れが表に出ることがある
- 人前での注意は避け、本人のプライドに配慮する
発達障害のある子どもは、思春期に周りと自分を比べる力が育つことで、「自分だけできない」と感じやすくなります。
NISEの研修資料でも、思春期・青年期に違和感や疎外感を自覚しやすいこと、幼いころからの失敗や叱責の経験が低い自己評価につながりやすいことが指摘されています。
周りに合わせようとがんばってきた子ほど、その疲れが思春期に表に出ることがあります。急に学校を休み始めたり反抗的になったりする背景に、この疲れが隠れている場合もあるかもしれません。
この時期は、結果よりも努力した過程を認める声かけが心の支えになります。本人のプライドに配慮し、人前で注意するのは避けましょう。
勉強も友達関係も難しくなりつまずきが目立ちやすい
- 抽象的な単元が増え、前の学年のつまずきが表に出やすい
- 中学校では定期テストや提出物など、同時に進める課題が増える
- 勉強のつまずきは自信の低下につながりやすい
小学校高学年から中学校にかけては、勉強の内容も友達関係も難しくなり、つまずきが目立ちやすくなります。
小学校高学年では分数や割合など、抽象的な考え方が必要な単元が増え、前の学年でつまずいた部分が表に出やすくなります。
中学校では教科ごとに先生が変わる教科担任制になり、定期テストや提出物の管理も求められます。複数の課題を同時に進めることが苦手な子には、大きな負担になりやすいですね。友達関係も暗黙のルールが増え、人間関係で疲れやすくなる子もいます。
勉強についていけない状態が続くと、「どうせがんばってもできない」という気持ちが強まりがちです。
勉強のつまずきと自信の低下は、つながりやすいものです。支え方は「勉強はわからなくなったところまでさかのぼって学び直す」で紹介します。
反抗期と見分けにくい?迷ったら一人で判断しない
- 反抗期・発達障害の特性・二次障害は、専門家でも切り分けが難しい場合がある
- 体の不調や登校しぶりなど、反抗以外の変化が重なっていないかを見る
- 気になる時点で相談しておくと安心
思春期の反抗的な態度が、成長による反抗期なのか、発達障害の特性なのか、二次障害のサインなのかは、家庭だけでは見分けにくいものです。
専門家でも、もともとの特性と二次障害の切り分けが難しい場合があります。
NISEの研究紹介でも、すでに見られていた様子が悪化している場合は、二次障害として気づかれにくいと指摘されています。迷ったときは、反抗以外の変化が重なっていないかを見てみてください。
・眠れない、食欲がないなどの体の不調
・学校に行きたがらない、休む日が増えた
・「自分なんて」と自分を責める言葉が増えた
・好きだったことに興味を示さなくなった
こうした変化が重なっているときは、家庭だけで判断せず、早めに相談することをおすすめします。相談先は「まずはどこに相談する?医療機関・支援センター・学校」を参考にしてください。
成長の過程としての反抗期については「反抗期はいつから」で紹介しています。
ADHD・ASDの二次障害|それぞれで見られることがある例
- ADHDでは、叱られる経験が重なり反抗的な言動が見られることがある
- ASDでは、対人関係のストレスなどから抑うつ症状や不安が見られることがある
- 表れ方は一人ひとり違い、表だけで二次障害の種類は判断できない
ADHDとASDでは特性に違いがありますが、どちらも二次障害の表れ方は一人ひとり異なります。
それぞれで見られることがある二次的な問題の例を、表にまとめました。
| 項目 | ADHD(注意欠如多動症) | ASD(自閉スペクトラム症) |
|---|---|---|
| 主な特性 | 不注意・多動性・衝動性 | 対人関係やコミュニケーションの苦手さ・こだわり・感覚の過敏さ |
| 誤解されやすい場面 | 忘れ物や順番を待てない様子が「わがまま」と受け取られる | 空気を読むことや遠回しな言い方が苦手で、からかいや仲間はずれにあいやすい |
| 二次的に見られることがある問題の例 | 反抗的な言動、反抗挑戦性障害の併存、落ち込み | 抑うつ症状や強い不安、うつ病・不安症の併存など |
これらは代表的な例であり、ADHDでも不安や抑うつが生じたり、ASDでも反抗的な行動が見られたりすることがあります。
表だけで二次障害の種類を判断することはできません。
ADHDの二次障害|叱られる経験が重なり反抗的になることも
- 不注意や衝動性が「わがまま」と誤解され、注意される回数が増えやすい
- 反抗的な言動や反抗挑戦性障害の併存が二次障害の例として挙げられている
- 大人になってから背景にある特性に気づくケースもある
ADHDの二次障害では、叱られる経験が重なることで、反抗的な言動や落ち込みが見られることがあります。
ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった特性がある発達障害です。忘れ物や順番を待てない様子が「わがまま」と受け取られやすく、家でも学校でも注意される回数が多くなりがちです。
ADHDの子どもに見られる特徴や家庭でできるチェックについては「ADHDの子どもの特徴とチェックリスト」で詳しく解説しています。
叱られる経験が重なると、「なぜ自分だけできないのか」と自分を責め、自信を失っていくことがあります。
NISEの研究紹介では、ADHDの子どもに反抗的な言動が見られるようになることや、反抗挑戦性障害が併存することが、二次障害の例として挙げられています。特定の家族にだけ強く反抗する様子に悩む方は「反抗挑戦性障害は母親にだけ?」も参考にしてください。
なお、大人になってから気分の落ち込みなどで受診し、背景にADHDの特性があるとわかるケースもあります。
ASDの二次障害|対人関係のストレスなどからうつや不安が出ることも
- からかいや仲間はずれの経験が重なりやすい
- 抑うつ症状や不安が見られ、うつ病などが併存することもある
- まず休める時間をつくり、短く具体的な言葉で伝える
ASDの二次障害として、対人関係のストレスなどを背景に、抑うつ症状や強い不安が見られることがあります。
抑うつ症状は気分の落ち込みが続く状態を指し、診断基準を満たす「うつ病」とは区別されます。うつ病や不安症などが併存する場合もあり、いらだちや気分の変わりやすさが目立つこともあるといわれています。
ASDは、対人関係やコミュニケーションの苦手さ、こだわり、感覚の過敏さなどの特性がある発達障害です。
空気を読むことや遠回しな言い方の理解が苦手で、からかいや仲間はずれを経験しやすい面があります。音や光、においへの過敏さによる疲れが、心の負担を大きくしていることもあります。
疲れているときは「もっと友達と仲良くしなさい」と励ますより、まず休める時間をつくることが大切です。伝えるときは、短く具体的な言葉を選ぶと伝わりやすくなります。
友達関係の悩みは「発達障害の子供から友達が離れていく時の対処法」で紹介しています。
学校生活がつらそうなときは、担任の先生やスクールカウンセラーに様子を伝えておくと、音への配慮など学校で調整できる工夫が見つかることもあります。
二次障害は治らない?回復のために必要な支援
- 環境や関わり方が変わると、状態が落ち着いていくこともある
- 相談先は医療機関、公的な相談窓口、学校の3つが中心
- 医療機関では心理療法や薬物療法などが必要に応じて検討される
発達障害の二次障害は、治る・治らないと一言で決められませんが、環境の見直しや適切な支援で落ち着いていく可能性があります。
「治らないのでは」と不安を感じる保護者の方は少なくありません。
まずは休める環境を整え、関わり方を見直し、相談することから始めてみましょう。
環境や関わり方が変わると落ち着いていくこともある
- 環境を子どもに合わせて整えることが回復の土台になる
- エネルギーが切れている時期は、まず休むことを優先する
- よく眠れる、笑顔が増えたといった小さな変化も回復のサイン
二次障害には特性と周りの環境の関係などが影響するため、環境を子どもに合わせて整えることが回復の土台になります。
兵庫県立特別支援教育センターの資料では、適切な支援によって二次障害が比較的短期間で改善する場合があると説明され、特性に応じた支援の工夫と自尊感情を高める関わりが挙げられています。
ただし、症状や併存する疾患によって回復の経過は異なり、継続的な治療や支援が必要になることもあります。
不調が長く続くと問題が複雑になることもあるため、「様子を見る」より「早めに手を打つ」ことが大切ですね。
エネルギーが切れている時期は、がんばらせるよりも、まずしっかり休むことが優先です。疲れているときに無理に訓練をさせようとすると、かえって逆効果になりやすいといわれています。
学校に行けるかどうかだけでなく、よく眠れる、笑顔が増えたといった変化も大切な回復のサインです。周りと比べず、小さな変化を一緒に喜んでいきましょう。
まずはどこに相談する?医療機関・支援センター・学校
- 医療機関、発達障害者支援センター、学校などに相談できる
- 学校では、本人や保護者の希望を伝えて「合理的配慮」を相談できる
- 変化をメモしておくと相談がスムーズになる
二次障害が疑われるときの主な相談先は、医療機関、発達障害者支援センターなどの公的な相談窓口、学校の3つです。
どこに相談すればよいか迷ったら、まずは身近なところから始めて大丈夫です。
受診にハードルを感じるときは、公的な窓口から相談してみるのも一つの方法です。
・医療機関:かかりつけの小児科や、児童精神科など子どもの心を診る診療科
・公的な相談窓口:発達障害者支援センター(本人や家族の相談に応じる窓口)、精神保健福祉センター(心の健康についての相談)、児童相談所(18歳未満の子どもに関する相談)など
・学校:担任の先生、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー(家庭や関係機関との調整を担う専門職)など
学校では、本人や保護者の希望を伝え、障害による学習上・生活上の困難を減らすための「合理的配慮」を相談できます。
学校と話し合いながら、本人の状況に合った調整を検討していきます。たとえば、音が苦手な子のイヤーマフの使用や、外の景色が気になる子のためのカーテンの設置などです。
相談するときは、次の3つをメモしておくと話がスムーズです。複数の相談先で同じ情報を共有でき、支援の方向性もそろいやすくなります。
・いつから気になる様子があるか
・どんな場面で起こりやすいか
・睡眠や食欲、登校など、どんな変化があるか
医療機関ではどんな治療をするの?
- 症状や環境を評価したうえで、必要に応じて心理療法や薬物療法を検討する
- 薬で発達障害そのものは治せず、使うかどうかは医師と相談して決める
- 保護者への支援や学校との連携、環境の調整も大切
医療機関では、子どもの症状や発達特性、生活環境などを評価したうえで、必要に応じて心理療法や薬物療法などを検討します。
心理療法の代表例は認知行動療法で、物事の受け止め方や考え方のくせに働きかけ、気持ちが楽になるよう支える方法です。家族も一緒に話し合いながら関わり方を見直す家族療法が行われることもあります。
薬で発達障害そのものを治すことはできませんが、ADHDの不注意・多動性・衝動性や、発達障害に伴う一部の症状を和らげられる場合があります。
薬物療法が必要かどうかは、症状や年齢、効果と副作用などを踏まえて医師と相談して決めます。
治療と並行して、保護者への支援や学校との連携、生活環境の調整を進めることが大切です。受診の際は、気になる様子をまとめたメモを持参すると安心ですね。
二次障害を防ぐために親ができること
- 叱るより「できたこと」を見つけて認め、自己肯定感を育てる
- 家を安心して休める場所にする
- 勉強はわからなくなったところまでさかのぼって学び直す
発達障害の二次障害を防ぐうえで、最も身近な支えになるのは家庭での日々の関わり方です。
特別なことをしなくても、声かけや過ごし方で子どもの安心感は変わります。
ここでは、今日から家庭でできる3つの関わり方を紹介します。完璧を目指さず、できるところから少しずつで大丈夫ですよ。
叱るより「できたこと」を見つけて認める
- 自己肯定感は「自分は大切な存在だ」と思える感覚
- 結果がうまくいかなくても、取り組んだ過程を認める
- 行動が見える短く具体的な言い方で伝える
二次障害の予防では、叱るより「できたこと」を見つけて認め、子どもの自己肯定感を育てることが大切です。
自己肯定感とは、「自分は大切な存在だ」と思える感覚のことです。叱られる経験が続くと、この感覚が大きく損なわれてしまいます。
結果がうまくいかなかったときも、「最後まで取り組めたね」と過程を認めると、お子さんは「ちゃんと見てくれている」と感じられます。
注意するときは、「ちゃんとして」ではなく「靴をそろえて置こう」のように、行動が見える短い言い方にするのがコツです。できたらすぐに認めましょう。叱る回数を少しずつ減らし、認める回数を増やしていくことが、自信を取り戻す第一歩になります。
家を安心して休める場所にする
- エネルギーが切れている時期は、休むことを優先する
- 失敗を過度に責めず、生活リズムを大きく崩さない工夫から始める
- ゲームへの没頭で生活に大きな支障が出ているときは相談を考える
学校や外の世界で傷つく経験をしている子どもにとって、家庭は心を休める大切な場所です。
NISEの研究紹介でも、安心できる人間関係と居場所を、学校と保護者が共通理解して考えることの大切さが示されています。
エネルギーが切れている時期は、勉強よりもまず休むことが優先です。
疲れて何もできない日があっても「今は休む時期」と受け止め、失敗を過度に責めないようにしましょう。音や光が苦手な子には静かに過ごせる場所を用意するなど、特性に合わせた工夫も安心感につながります。
学校を休んでいる時期も、起きる時間や食事の時間をそろえるなど、生活リズムを大きく崩さない工夫から始めてみてください。好きなことに没頭できる時間も、エネルギーの回復を助けます。
ゲームなどに長時間没頭している場合も、それだけで二次障害とは限りません。
ただし、睡眠や食事など日常生活に大きな支障が出ている場合や、本人がつらさを抱えている様子がある場合は、専門家への相談を検討しましょう。
勉強はわからなくなったところまでさかのぼって学び直す
- 今の学年にこだわらず、わからなくなったところまでさかのぼる
- 小さな目標を立て、「わかった」「できた」という手ごたえを積み重ねる
- 家庭だけで難しいときは、特性を理解した指導者に頼る方法もある
勉強のつまずきが重なると自信を失いやすいため、わからなくなったところまでさかのぼって学び直すことが大切です。
わからない授業を毎日聞き続けることは、大人が思う以上に大きなストレスかもしれません。しっかり休んで「少しやってみようかな」と思えたら、家で短い時間から始めてみましょう。
1.わからなくなったところまでさかのぼる:今の学年にこだわらず、たとえば中学生でも小学校の分数でつまずいていれば、そこから学び直すほうが近道です
2.小さな目標を立てて「できた」を確認する:短い時間で取り組める目標を立て、できたことを一緒に確認します
3.家庭で難しいときは指導者に頼る:特性を理解した指導者に頼るのも一つの方法です
理解できる問題から始めることで、「わかった」「できた」という手ごたえを感じやすくなります。
私たち家庭教師のランナーは、勉強が苦手な小中高生に特化した家庭教師で、指導実績は30,034人です。わからなくなったところまでさかのぼり、「できた」を一つずつ積み重ねる指導を大切にしています。
訪問型とオンライン型を選べるので、外に出にくい時期も家で学びにつながれます。
発達障害コミュニケーション指導者の資格を持つスタッフが在籍し、不登校のお子さんへのサポート実績もあります。90分の無料体験では講師との相性を確かめてから決められ、無理な勧誘は一切ありません。
発達障害のあるお子さんへのサポート内容は「発達障害の家庭教師サポート」で、学校を休みがちな場合の学習支援は「不登校の家庭教師サポート」で紹介しています。
発達障害の二次障害でよくある質問
- 二次障害が疑われるときは環境の見直し・休養・相談から考える
- ADHD・ASDそれぞれで見られることがある例を確認できる
- 診断がないグレーゾーンの子にも起こることがある
発達障害の二次障害について、保護者の方が疑問に感じやすい4つの質問に短くお答えします。
Q.発達障害が二次障害になった場合、どうすればいいですか?
A.まずは安心して休める環境を整え、家庭での関わり方や学校の環境を見直しましょう。あわせて、医療機関や発達障害者支援センター、学校に相談することが大切です。
詳しくは「二次障害は治らない?回復のために必要な支援」で紹介しています。
Q.ADHDの二次障害は大人になっても起こりますか?
A.起こることがあります。大人になってから気分の落ち込みなどで受診し、背景にADHDの特性があるとわかるケースもあるため、早めの気づきが大切です。
詳しくは「ADHDの二次障害|叱られる経験が重なり反抗的になることも」で紹介しています。
Q.ASDの二次障害として、うつは起こりますか?
A.起こることがあります。気分の落ち込みが続く抑うつ症状が見られるほか、うつ病が併存する場合もあります。
詳しくは「ASDの二次障害|対人関係のストレスなどからうつや不安が出ることも」で紹介しています。
Q.グレーゾーンの二次障害とは何ですか?
A.診断基準をすべては満たさないものの特性がある子に、周りに理解されにくいことなどを背景として起こる二次障害を指します。診断名にとらわれず、気になる様子があれば早めに相談してみてください。
詳しくは「グレーゾーンや知的障害がある子にも二次障害は起こる?」で紹介しています。
発達障害の二次障害についてまとめ
- ・二次障害は特性と環境の関係などを背景に起こり、親の育て方だけが原因ではない
- ・サインには自分に向かう内在化と周りに向かう外在化があり、思春期は特に注意したい
- ・自傷や「消えたい」という言葉はすぐに相談したいサイン。気になる様子も早めに相談する
- ・家庭ではできたことを認め、安心して休める場所をつくり、勉強はさかのぼって学び直す
発達障害の二次障害は、特性と周りの環境との関係などを背景に、心や行動の問題が生じたり、もともとの症状が強まったりすることです。
自分に向かうサインと周りに向かうサインがあり、思春期は不調が目立ちやすい時期です。治る・治らないと一言で決められませんが、環境や関わり方を見直すことで落ち着いていく可能性があります。
気になるサインがあれば早めに相談し、家庭ではできたことを認め、安心して休める場所をつくっていきましょう。
親の育て方だけが原因ではないので、保護者の方も一人で抱え込まないでくださいね。
私たちランナーも、わからなくなったところまでさかのぼる学び直しで、お子さんの「できた」を一緒に積み重ねています。
勉強のつまずきが自信の低下につながっているようなら、90分の無料体験で、お子さんに合った勉強のやり方を一緒に考えることもできます。講師との相性を確かめてから決められ、無理な勧誘はありません。
早めの気づきと周りの理解が、お子さんが自分らしさを取り戻すための大きな力になります。
※この記事は公的機関の資料をもとに一般的な情報をまとめたものです。お子さんの状態の判断や治療については、医師や専門機関にご相談ください。








