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通級指導教室はグレーゾーンでも通える?診断なしの条件と申請時期

2026.09.15

通級指導教室はグレーゾーンでも通える?診断なしの条件と申請時期

「診断はつかなかったけれど、教室ではあきらかにしんどそう」。はっきりした答えが出ないまま時間だけが過ぎていく状況は、心細いものですね。

結論からお伝えすると、通級指導教室の対象かどうかは、医師による診断名の有無だけで決まるものではありません

文部科学省の手引きでも、医学的な診断の有無のみにとらわれず、障害の状態や教育上必要な支援の内容などを踏まえて総合的に判断することが示されています。

この記事では、診断なしで対象になり得る条件、通常学級や特別支援学級との違い、メリットとデメリット、申し込みの流れと、自治体によって大きく違う申請時期の確かめ方までを整理しました。

「対象にならない」「順番待ち」と言われたときにできることもお伝えします。

どんな結果になっても、お子さんの自信を守りながらできることはあります。まずは知ることから、一歩ずつ進めていきましょう。

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目次

通級指導教室とは?グレーゾーンの子も対象になる制度

通級指導教室とは?グレーゾーンの子も対象になる制度

  • 通常学級に在籍したまま、週数時間だけ特別な指導を受ける制度
  • 2023年度の利用者は全国で約20万3千人、その約8割が小学生
  • 対象は言語障害・ADHD・自閉症・LDなど9つの障害種

通級指導教室は、通常学級に在籍したまま、週に数時間だけ障害に応じた特別な指導を受けられる制度です。

2023年度は全国で20万人を超える児童生徒が利用しており、小・中・高校に在籍する児童生徒全体の1.7%にあたります。そのうち約8割は小学生です。まずは基本の形と対象範囲から整理しますね。

通常学級に在籍したまま、週数時間だけ「自立活動」の指導を受ける仕組み

  • 1993年度に制度化された学校教育法施行規則に基づく特別支援教育
  • LD・ADHDは年間10〜280単位時間、それ以外は35〜280単位時間が標準
  • 教科の補習ではなく「自立活動」が指導の中心

通級指導教室は1993年度に制度化された、学校教育法施行規則に基づく特別支援教育のひとつです。

通常学級に籍を置いたまま、小・中学校ではLD・ADHDが年間10〜280単位時間、それ以外の対象障害は年間35〜280単位時間を標準として、別の教室で個別を中心とした指導を受けます。週1〜2単位時間程度で実施されることが多いとされています。

指導の中心は「自立活動」です。これは教科の補習ではなく、障害による学習上・生活上の困難を主体的に改善・克服するための指導を指します。

たとえば、読みにつまずきのあるお子さんならカードを使って文字や単語を流暢に読む練習を、書字に困難があるお子さんならICT端末でのキーボード入力やフリック入力といった、自分に合った方法を練習していきます。感情のコントロールや人との関わり方を扱うこともあります。

障害による困難の改善・克服を目的として、必要に応じて国語や算数など各教科の内容を扱いながら指導することもできる仕組みです。指導は一人ひとりの「個別の指導計画」に基づいて行われます。

対象になる障害・特性の種類とグレーゾーンの位置づけ

  • 言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・LD・ADHDなど9種が対象
  • 「通常学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導が必要」が前提
  • グレーゾーンは制度上の区分ではなく通称

通級の対象は、言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害(LD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)・肢体不自由・病弱及び身体虚弱の9種類です。

2023年度の内訳をみると、言語障害が約4万7千人、ADHDが約4万4千人、自閉症が約4万1千人、LDが約4万人、情緒障害が約2万8千人と続きます。自閉症・LD・ADHDの3区分だけで全体の約62%を占めています

いずれも、通常学級での学習におおむね参加できる一方で、特定の場面で困難が生じやすいお子さんが想定されています。

なお「グレーゾーン」は正式な医学用語や制度上の区分ではありません。診断を受けていない、診断基準を満たすかどうかがはっきりしない、といった状況をまとめて指す通称として使われています。

制度の側にグレーゾーンという枠があるわけではないため、判断は「どの障害の状態にあり、どんな支援が必要か」という見方で進められます。

グレーゾーンで診断なしでも通級指導教室に通える?

グレーゾーンで診断なしでも通級指導教室に通える?

  • 診断名の有無だけで対象かどうかが決まるわけではない
  • 決め手は障害の状態と、教育上必要な支援の内容
  • 「診断書が必要」という情報が出回る理由も解説

「診断名がないから、うちは対象外なのでは」と感じている保護者の方は少なくありません。

ここでは、実際に何を見て判断されるのかを、文部科学省の手引きの考え方に沿って整理します。ネット上で情報が食い違う「診断書は必要なのか」という点にも触れますね。

診断名がなくても対象になる|決め手は「障害の状態と必要な支援」

  • 判断材料は日々の様子の記録、検査結果、専門家の意見など
  • 基本的には在籍校の校長が、教育委員会等と連携して総合的に判断する

結論から言うと、通級の対象かどうかは、医師による診断名の有無だけで決まるものではありません

重視されるのは、障害の状態と、学習面・生活面で教育上どんな支援が必要かという中身です。東京都教育委員会の資料でも、医学的な診断の有無のみにとらわれない考え方が示されています。

実際の判断はどう進むのでしょうか。通級による指導のための特別の教育課程を編成するかどうかは、基本的には在籍校の校長が、教育委員会等と十分に連携しながら総合的に判断します。その過程で、地域や学校の実情に応じて、特別支援教育コーディネーターや校内委員会、専門家の意見も活用されます。

日々の様子の記録に加えて、WISCなどの発達検査で背景を客観的に把握したり、面談を重ねたりしながら見極めが進むこともあります。

グレーゾーンだからといって、最初から対象外と決めつけなくて大丈夫ですよ。

文部科学省の手引きが示す判断の考え方

  • 「障害に応じた通級による指導の手引 解説とQ&A(改訂第3版)」が基本資料
  • 医学的な診断の有無だけにとらわれない総合的な判断が示されている

文部科学省が公表している「障害に応じた通級による指導の手引 解説とQ&A(改訂第3版)」では、通級の対象となる障害の種類を示したうえで、医学的な診断の有無のみにとらわれることのないよう留意し、総合的な見地から判断することが必要という考え方が示されています。

あわせて都道府県教育委員会に対しては、制度の周知と受け入れ体制の整備を進めるよう通知も出されています。

東京都や埼玉県、青森県など、独自の手引きを公表して具体的な判断の目安を示している自治体もあります。国が大枠の考え方を示し、細かな運用は自治体が定める、という二段構えになっているわけですね。

手引きは改訂されることがあるため、最新の内容は在籍校や教育委員会を通じて確認すると確実です。

「診断書が必要」という情報を見かけるのはなぜ?

  • 制度として診断書の提出を一律に義務づけているわけではない
  • 自治体や学校の運用として提出を求める場合がある
  • 「必須か任意か」は在籍校に一言確認するのが早い

調べていると「診断書が必要」と書かれた情報と「診断なしでも通える」という情報の両方が出てきて、混乱しますよね。

この食い違いには理由があります。制度として診断書を一律に義務づけてはいないものの、自治体ごとの運用として提出書類に含めている地域があるためです。

提出書類は申請書・保護者からの申告書・学校が作成する所見・検査の結果などが中心です。自治体によっては、診断書を必須とせず、保有している場合に提出してもらう運用もあります。

また、他の自治体の手続きを紹介した記事や、数年前の情報がそのまま残っているケースもあります。

迷ったときは、在籍校か教育委員会に「診断書は必須ですか、任意ですか」と一言確認してみてください。この一問で、受診を急ぐ必要があるかどうかがはっきりします。

通級・特別支援学級・通常学級はグレーゾーンの子にとってどう違う?

  • 通常学級は集団の中で学ぶ形で、個別に対応できる時間には限りがある
  • 通級は籍を残したまま、週数時間だけ個別指導を受ける
  • 特別支援学級は少人数で日常的に手厚い支援が受けられる

通級を考えるうえで避けて通れないのが、通常学級・通級・特別支援学級の違いです。

呼び方が似ていて混同されやすい3つですが、在籍する場所と支援の量が異なります。順番に見ていきましょう。

通常学級(普通級)で合理的配慮を受けながら過ごす場合

  • 公立小学校は2025年度までに学級編制の標準が全学年35人に
  • 中学校は2026年度から段階的に移行中
  • 座席や課題量の調整など、合理的配慮だけで対応できることもある

公立小学校では、学級編制の標準が2025年度までに全学年35人となりました。中学校は2026年度に1年生が35人、2027年度に1〜2年生、2028年度に全学年へと段階的に移行していく経過措置がとられています。

多様な友だちと関わる中で集団でのやりとりを経験しやすく、学習は通常の教育課程に沿って進みます。

一方で1学級の人数が多いため、個々のつまずきや対人関係の困りごとに、個別に対応できる時間には限りが生じる場合があります

座席の位置、板書を写真で撮ることの許可、課題量の調整といった合理的配慮だけで十分に過ごせるお子さんもいます。担任や養護教諭、スクールカウンセラーと情報を共有しておくと、変化に気づいてもらいやすくなりますね。

通級指導教室を利用する場合|自校通級・他校通級・巡回指導

  • 実施形態は自校通級・他校通級・巡回指導の3つ
  • 通級の時間以外は通常学級で過ごすため、在籍は変わらない
  • 連絡ノートや面談で担任と通級担当が情報を共有する

通級指導教室には、自校通級・他校通級・巡回指導という3つの形があります。

自校通級は、在籍する学校の中に通級指導教室があり、時間になったら校内で移動する形です。他校通級は、設置されている近隣の学校まで通う形で、送迎が必要になることもあります。巡回指導は、通級担当の教員が在籍校まで来て指導する形で、送迎の負担が生じにくいのが利点です。

どの形になるかは、住んでいる自治体の設置状況や体制によって決まります。他校通級が多い地域もあれば、巡回指導を広げている地域もあります。

指導頻度は週1回程度が中心で、通級担当と在籍学級の担任は連絡ノートや面談などを通じて様子を共有します。通級の時間以外は通常学級で過ごすため、在籍する学級は変わりません。

特別支援学級(支援級)を選ぶ場合

  • 1学級の基準は8人で、生活面から学習面まで日常的に支援を受けられる
  • 通常の学級との「交流及び共同学習」の仕組みもある

特別支援学級は1学級8人を基準とした少人数クラスで、通級よりも手厚い支援を日常的に受けられる学級です。知的障害や自閉症・情緒障害などのあるお子さんに対して、実態に応じた指導が行われます。

給食や体育、音楽など一部の授業を通常の学級で受ける「交流及び共同学習」(学校によって「交流学級」などと呼ばれます)の仕組みを取り入れている学校も多く、支援級から始めて途中で通常学級に移るケースもあります。

障害の状態によっては特別支援学校が候補にあがることもあります。

特別支援学級の教育課程や指導内容がお子さんの学習状況やニーズに合うかどうかは、見学や相談で確かめてから考えると判断しやすくなりますね。判断の目安については「特別支援学級に入る基準」の記事でも詳しく解説しています。

グレーゾーンの子が通級に通うメリット・デメリット

  • メリットは自己肯定感を支えやすく、通常学級に在籍したまま利用できること
  • デメリットは抜けた授業の遅れと、周囲の目や送迎の負担
  • 本人や友だちへの伝え方も先に考えておくと安心

「通わせたほうがいいのか、様子を見たほうがいいのか」。ここが一番悩むところですよね。

私たちはこれまで、通級に通えたお子さんも、対象外と言われたお子さんも見てきました。正直なところ、どちらが正解かはご家庭ごとに違い、決めつけられるものではありません。だからこそ、良い面と気をつけたい面の両方を並べて考えていきます。

メリット|自己肯定感を支えやすく、通常学級に在籍したまま利用できる

  • 周囲と比較されにくい環境で、成功体験を積みやすくなる
  • 通級担当と担任が連携し、通常学級での配慮にもつながる

通級の大きな利点は、周囲と比べられにくい環境で、自分のペースの指導を受けられることです。

できたことをその場で認めてもらえる時間が週に一度あることで、小さな成功体験を積みやすくなり、本人の自信につながることが期待できます。集団生活の緊張から少し離れられる場としての意味も大きいですね。

通級担当が見つけた「この子はこう伝えると理解しやすい」という気づきが担任に共有され、通常学級での関わり方が変わっていくこともあります。

制度上、籍は通常学級のままです。学級を移らずに個別の指導を受けられる点は、保護者の方にとって選びやすい材料になるかもしれません。

デメリット|抜けた授業の遅れと「特別扱い」への不安

  • 通級の時間に行われた授業内容は抜け落ちやすい
  • 他校通級では送迎や交通費の負担が生じることがある
  • 受入体制や空き状況により、利用開始を待つ場合がある

通級の時間は通常学級の授業を抜けるため、その時間に進んだ内容が抜け落ちてしまうことがあります。国語や算数のように積み上げが効く教科では、学年が上がるほど影響が出やすくなります。

対策としては、抜ける時間帯をどの教科にするかを担任と相談する、抜けた分のプリントを受け取るといった方法があります。曜日や時間の調整は、学校や通級担当に相談できる場合があります。

また、他校通級になった場合は保護者の送迎が必要になることがあり、共働きのご家庭では時間の確保が課題になりやすい点も知っておきたいところです

公立学校の通級自体は無償です。交通費については、特別支援教育就学奨励費などで通級時の交通費を支給している自治体もあるため、教育委員会に確認してみてください。

自治体の受入体制や空き状況によっては、申し込んでもすぐには始められないこともあります。「特別扱いだと思われないか」という不安については、次で具体的な伝え方を見ていきますね。

本人やクラスの友だちには、どう伝えればいい?

  • 本人には「苦手を練習する時間」と、目的をそのまま伝える
  • 担任と伝え方をそろえておくと本人が混乱しにくい
  • 学年が上がるほど本人の希望を確認する

「本人になんて言えばいいのか」「クラスの子に聞かれたらどうしよう」という不安は、多くの保護者の方が口にされます。

本人に伝えるときは、隠さず、悪いことでもないという前提で、目的をそのまま話すのがいちばん伝わりやすいようです。「〇〇が苦手だから、そこを練習する時間をつくってもらったよ」「がんばり方を一緒に考えてくれる先生のところに行く時間だよ」といった伝え方ですね。

クラスの友だちへの説明は、担任の先生と事前にすり合わせておくと安心です。「〇〇さんはこの時間、別の教室で勉強してくるよ」という程度のシンプルな説明でも、多くの場合は自然に受け止められます。

学年が上がるほど、本人が周囲の目を気にするようになります。高学年や中学生の場合は、どこまで話すかを本人と決めておくと、通うこと自体への抵抗が生まれにくくなりますね。

通級指導教室に通うには?申し込みの流れと申請の時期

  • 担任・特別支援教育コーディネーターへの相談から始まる
  • 必要に応じて教育相談や発達検査を受け、利用が決まると指導開始
  • 手続きの順序や受付時期は自治体によって異なる

ここからは申し込みの流れを見ていきます。ただし以下は一般的な一例で、手続きの名称や順序、受付の時期は自治体によって異なります

大まかな流れをつかんだうえで、詳細はお住まいの地域で確認していただくのが確実です。

①まずは担任の先生・特別支援教育コーディネーターに相談する

  • 相談することと申し込むことはイコールではない
  • 家庭での様子をメモにまとめておくと話が進みやすい

最初の一歩は、在籍している学校の担任、または特別支援教育コーディネーターへの相談です。

ここで知っておいていただきたいのは、相談することと申し込むことは別だということ。決めてから相談する必要はなく、「こういう様子が気になっていて、通級というものを知ったのですが」という切り出し方で十分です。

家庭で気になっている場面を、日付や状況とあわせて簡単なメモにしておくと、学校側も状況をつかみやすくなります。園や幼稚園からの引き継ぎ資料が手元にあれば、あわせて共有しておくと参考にされやすいですね。

学校側から先に提案されるケースも多いため、保護者から切り出さなければならないというものでもありません。共働きで面談時間が取りにくい場合は、時間帯の希望を先に伝えておくと調整しやすくなります。

②教育相談や面談、発達検査を受ける

  • 必要に応じて教育相談や面談、WISCなどの発達検査が行われる
  • 検査は「できない証明」ではなく、得意な部分を知る材料になる

学校での相談後は、自治体の手続きに応じて教育委員会や教育相談機関での相談に進む場合があります。

ここでは保護者面談に加えて、必要に応じてWISCや田中ビネーなどの発達検査(知能検査)が行われることがあります。全員が必ず受けるものではなく、実施の有無や内容は自治体によって異なります。

検査というと身構えてしまいますが、結果は数値の高低を判定するためだけのものではありません。どの力が伸びていて、どの部分に支えが必要かという、関わり方のヒントを得るための材料でもあります。

結果の説明を受ける際は、気になる点をその場で質問しておくと、家庭での接し方に生かしやすくなります。検査結果の読み方は「WISC-IV知能検査の見方」の記事でも解説していますので、面談前の予習にお使いください。

③利用が決まり、通級指導がスタートする

  • 説明会や初回面談で頻度・曜日・時間帯が決まる
  • 個別の指導計画がつくられ、通級ノートなどで家庭と共有される

利用が決まると、保護者説明会や通級担当との初回面談が行われます。

ここで指導の頻度、曜日、時間帯といった具体的なスケジュールが決まります。どの授業を抜けることになるのかは、この段階で確認しておくと後の学習面の対策を立てやすくなります

相談から利用開始までの期間は、自治体の判定時期や空き状況によって変わります。年度途中から始まる場合も、次年度からの開始になる場合もあります。

決まった方針は「個別の指導計画」としてまとめられ、年間を通じて見直されます。指導が始まってからは、通級ノートなどを通じて家庭とも様子が共有されます。

なお、指導開始後も状況に応じて継続や終了が見直されるため、一度始めたらずっと続けなければならないというものではありません。

申請の締切はいつ?自治体で異なる受付時期の確かめ方

  • 全国共通の締切はなく、受付時期は自治体によって大きく異なる
  • 年度途中から利用できる自治体も、原則次年度開始の自治体もある
  • 検討を始めたら在籍校か教育委員会に当年度の受付時期を確認

「いつまでに申し込めばいいですか」というご質問をよくいただきます。ただ、受付時期や利用開始のタイミングは自治体によって大きく異なり、全国共通の締切はありません

たとえば大阪府枚方市のように年度途中からの利用ができるとされている自治体もあれば、横浜市のように原則として次年度からの開始としている自治体もあります。

就学前のお子さん向けの相談を、春から年末まで長い期間受け付けている自治体もあります(いずれも記事作成時点の例です)。

受付が年に1回に限られている自治体では、その時期を過ぎると次の機会まで待つことになる場合があります。他の地域の情報をそのまま当てはめず、お住まいの自治体の運用を確かめておくと安心です。

そこで、在籍校か教育委員会に聞いておきたいのが次の4点です。

・申し込みの受付時期と、今年度の受付はまだ間に合うか
・年度途中から利用できるか、次年度からの開始になるか
・申込先は学校か、教育委員会などの窓口か
・必要な書類(診断書の要否を含む)と、判定までのおおよその期間

この4つが分かれば、ご家庭の予定を組み立てられます。担任の先生に聞いて分からない場合は、特別支援教育コーディネーターや教育委員会の窓口に直接たずねてみてくださいね。

「対象にならない」「順番待ち」と言われたときにできること

  • 対象外でも、学校にお願いできる合理的配慮は残っている
  • 待機期間にこそ、自信を落とさない関わりが効いてくる

勇気を出して相談したのに「対象にはなりません」「今は順番待ちです」と言われると、もう打つ手がないように感じてしまいますよね。

ですが、そこで終わりではありません。通級はお子さんを支える選択肢のひとつであって、唯一の方法ではないからです。ここでは、その場合にできることを2つの方向から整理します。

通級以外に学校へお願いできる合理的配慮を確認する

  • 座席・板書・課題量・テスト環境など、相談できる項目は幅広い
  • 「個別の教育支援計画」の作成を相談する方法もある

通級の対象にならなかった場合でも、通常学級の中でできる配慮は残っています。

たとえば、前方や刺激の少ない席への配置、板書を写真で記録する許可、宿題の量や形式の調整、テストの別室受験や時間延長、口頭指示のあとに個別で確認してもらうことなど。

これらは合理的配慮と呼ばれ、国公私立を問わず学校には、過重な負担にならない範囲で必要かつ合理的な配慮を提供することが求められています

ただし、挙げた例が必ず認められるわけではありません。具体的な内容は、本人の状態や学校側の負担を踏まえ、本人・保護者と学校との対話を通じて個別に調整されます。

お願いするときは「集中が続かないので」ではなく、「板書を写している間に説明を聞き逃してしまうので、写真を撮らせてもらえませんか」というように、場面と困りごとをセットで伝えると話が進みやすくなります。

あわせて「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」を作ってもらえないか相談しておくと、担任が替わっても支援の内容が引き継がれやすくなります。

待っている間こそ、自信を落とさない関わりを

  • 制度が動くまでの数か月〜1年で、自信が削られやすい
  • 放課後等デイサービスや自治体の教育相談も併用できる
  • 診断や判定を待たずに始められる支援もある

順番待ちの期間で心配なのは、学力そのものよりも「どうせ自分はできない」という気持ちが積み重なっていくことです。

この時期は、できたことを具体的に言葉にして返す、家庭での学習量を思いきって減らす、といった関わりが効いてきます。待機期間は量を守らせることより、机に向かうことが嫌いにならないほうを優先する、と割り切ってしまってもいいかもしれません。

制度の外にも支えはあります。放課後等デイサービス(原則として自治体の通所給付決定を受け、通所受給者証を取得して利用します)、自治体の教育相談、発達相談や療育の窓口、スクールカウンセラーとの面談などは、通級と並行して利用できることも多いです。

私たちランナーの小学生コースも、診断書や通級の判定を必要としません。

発達障がいコミュニケーション指導者の資格を持つスタッフが在籍しており、制度が動くまでの間、お子さんの自信だけは落とさずにいられるようお手伝いできます。

通級だけでは補いきれない学習面をどう支える?

  • 通級は自立活動が中心のため、教科の学習は別の支えが要ることもある
  • 家庭教師や塾を選ぶときのチェックポイントも紹介

ここまで見てきたとおり、通級の中心は自立活動であって、一般的な教科の補習を目的とした場ではありません。

そのため、抜けた授業や以前からのつまずきがある場合は、学習面を別に支える方法もあわせて考えておくと安心です。まずはそこで実際に何が起きるのかから見ていきましょう。

通級は教科の補習を目的とした場ではないため、学習面のフォローが要ることも

  • 抜けた授業や以前からのつまずきは、通級だけでは埋まらないことがある
  • 「落ち着いてきたのに点数は下がる」という相談は珍しくない

私たちのもとには、こうしたご相談をいただくことがあります。

「通級には通えているのですが、抜けた分の算数が分からなくなってしまって」「通級の先生からは落ち着いてきたと言われるのに、テストの点は下がる一方で」。行動面が安定してきた時期に、学習面だけが取り残されていくパターンです。

もちろん、教科学習に遅れが出ないお子さんもいますし、通級でも必要に応じて教科の内容を扱うことはできます。ただ、これまで関わってきた30,034人のお子さんを振り返ると、通級に通えた子も、対象外と言われた子も、途中で終了した子も、「学習面をどう支えるか」はご家庭ごとに考える必要がありました。

できることとしては、抜けた時間の授業内容を担任に確認する、つまずいている単元を学年をさかのぼって特定する、といった地道な作業になります。すでに学習に苦手意識が出ている場合は「発達障害で勉強についていけない」の記事もあわせてご覧ください。

家庭教師のランナーで学習面の不安と自信のなさをサポート

家庭教師のランナー

  • 「勉強が苦手な小中高生専門」の家庭教師グループ、指導実績30,034人
  • 発達障がいコミュニケーション指導者の資格を持つスタッフが在籍
  • 診断書や通級の判定がなくても利用できる

家庭教師のランナーは、2004年の創業以来「勉強が苦手な小中高生専門」として指導を続けてきた家庭教師グループです。

指導実績は30,034人、登録講師数は約14万人、2024年の第一志望合格率は97.5%となっています。

診断書も通級の判定も必要ありません。発達障がいコミュニケーション指導者の資格を持つスタッフや、発達障害・不登校の相談に対応する専門カウンセラーが在籍しており、不登校のお子さんのサポート実績もあります(詳しくは発達障害サポートのページをご覧ください)。

料金は未就学児・小学生・中学生が1コマ30分900円、高校生が30分1,000円。週1回60分のコースなら月々約12,000円からです。訪問型とオンライン型を切り替えられるほか、LINEで24時間質問できます。

90分の無料体験では、お子さんに合った勉強のやり方をご提案します。その場で決めていただく必要はありませんし、無理な勧誘も一切ありません。まずは相性を確かめるところからで大丈夫ですよ。

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グレーゾーンの子に合う家庭教師・塾を選ぶときのチェックポイント

  • 診断や判定を求められないか、発達障害への理解があるか
  • 通級や通院とぶつかったとき、日程を組み直せるか
  • 料金がシンプルで、講師の交代を相談できるか

家庭教師や塾を比べるときは、次の点を見ておくと選びやすくなります。

まず、利用にあたって診断名や判定を求められないこと。そして発達障害や不登校について理解のある講師が在籍し、契約前に相談できる窓口があるかどうかです。

次に、日程の柔軟さ。他校通級の曜日、通院、中学の部活とぶつかることは珍しくありません。訪問とオンライン指導を切り替えられる形なら、そのつど組み直せます。体調が優れない日にオンラインへ振り替える、といった使い方もできますね。

加えて、料金体系がシンプルで追加費用が発生しないか、講師との相性が合わないときに交代を相談できるか、保護者への報告があるかも確認しておきたい点です。比較の観点は「発達障害の家庭教師」の記事でもまとめています。

中学・高校に進学したあとの通級はどうなる?

  • 中学校は通級を利用する生徒が小学生より少ない
  • 高校でも2018年度から通級による指導が受けられる

小学校で通級を利用していたお子さんも、これから検討するお子さんも、進学後どうなるかは気になるところですよね。

中学・高校でも通級は続けられますが、環境は小学校とかなり変わります。それぞれの実情を見ていきましょう。

中学校は通級を利用する生徒が少なく、部活や定期テストとの調整も必要になる

  • 通級を受ける生徒が在籍する公立中学校は約半数(小学校は約8割)
  • 部活動・定期テスト・内申との兼ね合いで調整が必要になる
  • 調査書の扱いは自治体によって運用が異なる

2023年度に通級による指導を受けていた中学生は全国で約3万4千人。小学生の約16万7千人と比べると、大きく減ります。

学校側の状況も見ておきましょう。通級による指導を受ける児童生徒が在籍している学校の割合は、公立小学校で77.5%、公立中学校では50.8%です。

これは通級指導教室の設置校率そのものではありませんが、中学校のほうが通級を利用する生徒のいる学校が少ないことは読み取れます。

自校通級・他校通級・巡回指導のどの形になるかは、自治体の体制によって変わります。中学校だから必ず他校通級になる、というわけではありません。

そのうえで、部活動の時間、定期テスト前の授業、教科担任制による進度の速さなど、調整すべきことは増えていきます。

「通級に通うと内申に不利になるのでは」という心配もよく聞きます。通級での指導内容は学校が作成する指導要録に記録されますが、高校入試の調査書でどう扱われるかは自治体ごとに運用が異なります。

気になる場合は、進路指導の先生や教育委員会に早めに確認しておくと、不安を抱えたまま迷わずにすみますね。

学習面のフォローを外部に頼る場合は、曜日変更やオンラインへの切り替えができる形にしておくと、部活や通級の予定と両立しやすくなります。進学後の様子が気になる場合は「発達障害のグレーゾーン中学生に多い特徴と家庭でできる効果的な支援法」の記事もあわせてご覧ください。

高校でも2018年度から通級による指導が受けられる

  • 2018年度に制度化、2023年度の利用者は全国で約2,400人
  • 修得した単位は年間7単位を超えない範囲で卒業単位に含められる

高等学校では2018年度から通級による指導が制度化されました。

2023年度に利用していた高校生は全国で約2,400人です。通級による指導を受ける生徒が在籍する公立高校は423校で、公立高校全体3,490校の12.1%にあたります。

志望校を考える段階で、実施されているかどうかを調べておくと選択肢を絞りやすくなります。

制度面で知っておきたいのは単位の扱いです。通級による指導で修得した単位は、年間7単位を超えない範囲で、卒業に必要な単位数に含めることができます。自動的に加算されるわけではなく、学校が定めるところによります。

通級による指導は、教育課程に加える形でも、教育課程の一部に替える形でも実施できます。実施している学校かどうかは、都道府県教育委員会や各校の説明会で確認できます。

通級指導教室とグレーゾーンについてまとめ

  • ・通級の対象は診断名の有無だけでなく、障害の状態と教育上必要な支援の内容で判断される
  • ・申請の受付時期や利用開始のタイミングは自治体によって大きく異なる
  • ・対象外や順番待ちでも、合理的配慮や家庭学習の支えでできることは残っている

通級指導教室は、診断名がなくても対象になり得る制度です。決め手になるのは障害の状態と、教育上どんな支援が必要かという中身でした。

通常学級・通級・特別支援学級のどれが合うかは、お子さんの様子とご家庭の事情によって変わります。どれかが優れているという話ではありませんし、一度決めたら変えられないものでもありません。

申請の受付時期は自治体によって大きく異なります。迷っている段階でも「今年度の受付はいつまでか」だけは在籍校に聞いておくと、選択肢を残しておけます。

そして、通級は教科の補習を目的とした場ではありません。学習面に不安が残る場合は、在籍学級や家庭学習で支える方法もあわせて考えてみてください。制度が動くのを待つ間も、お子さんの自信を守る関わりは今日から始められますよ。

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