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場面緘黙症の子どもにやってはいけないこと7つ|原因は親?チェックリスト
2026.10.15

「家ではよく話すのに、園や学校ではひと言も話さない」。
そんなわが子の姿に、どう声をかければいいのか、もしかして自分の育て方のせいなのかと悩んでいる保護者の方もいるかもしれません。
場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)は、強い不安から特定の場面で「話したくても話せない」状態で、関わり方では「話させること」より「安心できる環境をつくること」が大切だとされています。
この記事では、場面緘黙症の子どもにやってはいけない7つの対応を、代わりにできる関わり方とあわせて紹介します。「原因は親?」という疑問への答えや、目安になるチェックリスト、相談先もまとめました。
関わり方を少し変えるだけでも、お子さんが安心して過ごせる時間は増やしていけますね。できることから一緒に始めていきましょう。
目次
場面緘黙症の子どもにやってはいけないことは?よかれと思ってしがちな7つのNG対応

- 「話してみて」と話すことを強要しない
- 理由の問い詰めや、ほかの子との比較・叱責は避ける
- 人前での発言要求や大げさな褒め方は注目を集めてしまう
- 活動から外す・様子を見るだけの対応も逆効果になりやすい
場面緘黙症の子どもにやってはいけないことは、話すことを求める、責める、注目を集める、活動から外す、待つだけにする、といった対応です。
どれも、お子さんを思うからこそ、ついしてしまいがちなものかもしれません。まずは7つのNG対応と、代わりにできる関わり方を一覧で確認しておきましょう。
| やってはいけないこと | 代わりにできること |
|---|---|
| 「話してみて」と話すことを強要する | うなずきや会釈など、声以外の返事を認める |
| 「どうして話さないの?」と問い詰める | 理由は聞かず「話せなくても大丈夫」と伝える |
| ほかの子と比べる・叱る | 少し前のその子自身と比べ、小さな変化を認める |
| みんなの前で発言を求める | カードや筆談など、声を出さずに答えられる方法も用意する |
| 話せた瞬間に大げさに褒める | 注目を集めず自然に受け止め、小さな成功は負担のない形で認める |
| 発表や活動から外す | 声を使わずに参加できる方法を本人と考える |
| 様子を見るだけにする | 家庭・学校・専門家で相談し、計画的に支援を始める |
「話してみて」「あいさつは?」と話すことを強要する
- 話すことを求められるほど不安が高まりやすい
- 親戚やお店の人の前であいさつを求めるのも負担になる
- 会釈やうなずきなど声以外の返事を認める
話すことの強要は、場面緘黙症の子どもの不安を一気に高めてしまうため、最も避けたい対応です。
話したい気持ちがあっても声が出ず、「また話せなかった」という失敗の経験が積み重なってしまいます。親戚やお店の人の前であいさつやお礼を求めるのも、本人には大きな負担になりやすいですね。
代わりに、会釈や手を振る、うなずくといった声以外の返事を「立派なあいさつ」として認めましょう。学校でも、返事をうなずきやカードで代用できるよう、先生に相談してみてください。
声かけの言い換え例
・「ちゃんとあいさつは?」→保護者の方が先に「こんにちは」とあいさつし、お子さんは会釈でOKにする
「どうして話さないの?」と理由を問い詰める
- 子ども自身も理由をうまく説明できないことが多い
- 問い詰められると責められているように感じやすい
- 学校の話は選択肢を示すなど、答えやすい聞き方にする
場面緘黙症の子どもは、なぜ話せないのかを自分でもうまく説明できないことが多いものです。
かんもくネットの書籍『場面緘黙Q&A』や学校の支援資料などでは、経験者が感じていたこととして、人に声を聞かれる怖さや、話そうとするとのどが締めつけられるような感覚が紹介されています。
理由を問われると「話せない自分が悪い」と責められているように感じ、さらに口を閉ざしてしまうこともあります。毎日「今日は先生と話せた?」と確かめるのも、プレッシャーになりやすいですね。
代わりに、「話せなくても大丈夫だよ」と伝え、学校の話は答えやすい聞き方で、体験を中心に聞いてみてください。
声かけの言い換え例
・「今日は先生と話せた?」→「今日は図工と体育があったんだよね。どっちが楽しかった?」
答えたくないときは無理に聞かず、お子さんのペースを尊重しましょう。
ほかの子と比べたり「怠けている」と叱ったりする
- 比較や叱責は自己肯定感を下げてしまう
- 「怠けている」「わがまま」と決めつけない
- 少し前のその子自身と比べて小さな変化を認める
場面緘黙症は本人のやる気や努力不足で起きるものではないため、比較や叱責は逆効果になります。
「家では話せるんだから、学校でもできるでしょ」と言われると、子どもは「自分はダメなんだ」と感じ、自己肯定感が下がってしまいます。きょうだいとの比較や「わがまま」という決めつけも同じですね。
代わりに、比べる相手を「少し前のその子自身」にして、小さな変化を具体的に認めましょう。
声かけの言い換え例
・「〇〇ちゃんは話せるのに」→「先週より先生にうなずけるようになったね」
みんなの前で発言を求めて注目を集める
- 指名して待ち続けると緊張が高まり、体が固まることもある
- 本人の前で症状を話題にするのも控えたい
- 声を出さずに答えられる方法を学校と相談する
- 安心して参加できたうえで、話せる場面を少しずつ広げる
みんなの前で発言を求められ、周りの視線が集まる場面は、場面緘黙症の子どもにとって大きな負担です。
指名して答えを待ち続けるほど緊張が高まり、体が固まってしまうこともあります。家庭でも、親戚や知人の前で症状を話題にするのは控えたいですね。
代わりに、回答を求めるときは本人の希望や状態を確かめて前もって伝え、カードや筆談など声を出さずに答える方法も選べるよう、学校に相談してみましょう。
人前での発話は無理に求めず、まずは安心して授業に参加できることを大切にしたいですね。
そのうえで、必要に応じて専門家と連携し、本人の不安や希望に配慮しながら、話せる相手や場面を少しずつ広げていくことも考えられます。
声かけの言い換え例
・親戚の前で「この子、外では全然話さないの」→症状には触れず「最近は工作にはまっているんです」と好きなことを話題にする
話せた瞬間に大げさに褒める
- 人前での大げさな反応は「次も話さなければ」という重圧になる
- 声が出たときは注目を集めず、自然に受け止める
- 小さな成功は本人の負担にならない形で具体的に認める
場面緘黙症の子どもが話せた瞬間に人前で大げさに褒めると、注目が集まり「次も話さなければ」という重圧につながります。
うまく話せなかったときの不安も、かえって大きくなりかねません。
教室で友達が「しゃべった!」と騒ぐことも、同じように本人の負担になりますね。
代わりに、声が出たときは大げさに驚いたり周りの注目を集めたりせず、自然な調子で受け止めましょう。褒めること自体が悪いわけではないので、本人が負担に感じない方法で、伝えられたことや小さな成功を具体的に認めていきましょう。
声かけの言い換え例
・「すごい!しゃべれたね!」→「そうなんだ、教えてくれてありがとう」と話の内容に返す
・人前での「えらいね!」→家に帰ってから「今日はカードで先生に伝えられたね」と具体的に伝える
話せないからと発表や活動から外してしまう
- 話させないことと、参加の機会をなくすことは別物
- 外され続けると孤立や学ぶ機会の減少につながる
- 声を使わない参加方法を本人と相談して決める
場面緘黙症の子どもに話すことを強制しないことと、発表や活動への参加の機会をなくすことは、まったく別のものです。
本人の気持ちを聞かずに順番を飛ばしたり活動から外したりすると、子どもは「自分はいなくてもいい存在なんだ」と感じやすくなります。
学ぶ機会や友達と関わる機会も減ってしまいますね。
代わりに、声を出さなくても参加できる方法を、本人と相談しながら一緒に考えましょう。発表は録音や筆談で行う、劇では小道具係を担当するといった工夫が考えられます。
声かけの言い換え例
・「話せないなら、発表はやめておこうね」→「発表、どの方法ならできそう?カードや録音もあるよ」
「そのうち話せるようになる」と様子を見るだけにする
- 成長とともに話せる子もいれば、長く続く人もいる
- 学校では「困っていない子」と見過ごされやすい
- 周りが常に代わりに答えると、話す機会が減ることもある
- 強制はせず、本人の状態に合わせて専門家と進め方を考える
場面緘黙症は成長とともに話せるようになる子もいる一方で、話せない状態が長く続く人もいることが指摘されています。
適切な支援がないまま時間がたつと、不登校や強い不安、気分の落ち込みといった二次的な問題につながるおそれもあります。
学校に行きたがらない様子が見られたときの関わり方は、「学校行きたくない」と言われたらの記事でも紹介しています。また、授業中に困らせることが少ないぶん、学校では「困っていない子」と見過ごされやすい点にも注意したいですね。
一方で、周りが常に本人の代わりに答えるなどの対応を続けると、子どもによっては話すことに挑戦する機会が少なくなる場合があると、専門の相談室も指摘しています。
ただし、必要な配慮を減らせば改善するということではありません。
強制しないことを前提に、本人の状態や希望を確かめながら、家庭・学校・専門家で支援の進め方を考えていくことが大切です。
考え方の言い換え例
・「そのうち話せるようになるはず」→「今、困っている場面はどこだろう?」と記録し、担任の先生やスクールカウンセラーに相談する
場面緘黙症とは?子どもに見られる症状

- 家では話せるのに学校で話せないのは、場面によって不安の強さが違うため
- 声が出ない以外に、体がこわばる「緘動」などの症状もある
- 少し話せる軽度のケースでも配慮が必要
場面緘黙症とは、家庭など安心できる場所では話せるのに、学校など特定の場面で話せなくなる状態です。
症状の仕組みを知っておくと、ここまでのNG対応がなぜ逆効果なのかも理解しやすくなりますね。
家では話せるのに学校では話せないのはなぜ?
- 医学的には不安症に位置づけられている
- 本人の意思ではなく「話せない」状態
- 幼児期に始まり、入園・入学で気づかれることが多い
場面緘黙症の子どもが家では話せるのに学校で話せないのは、緊張が高まる場面で強い不安が生じるためです。
場面緘黙症は、医学的には不安症(強い不安によって生活に困りごとが出る状態)の1つとされています。
本人の意思で「話さない」のではなく、「話せない」状態だという点が大切ですね。
単なる人見知りなら環境に慣れると話せるようになることが多い一方、場面緘黙症は慣れだけでは解消しにくいと考えられています。幼児期に始まることが多く、入園や入学のあと、先生からの連絡で気づく保護者の方も少なくありません。
2015年に報告された神戸市の公立小学校の調査では、児童77,038人のうち116人、約0.15%(1,000人に1〜2人ほど)に場面緘黙症が見られました。
出現率は調査の対象や方法によって異なり、小学生約14万7千人を対象にした別の国内調査では0.21%という報告もあります。
話せない以外の症状は?少しなら話せる軽度のケースも
- 緊張で体が動かなくなる「緘動」が見られることもある
- 返事やトイレの申し出など、学校生活での困りごとが多い
- 少し話せる子ほど周りの理解を得にくい
場面緘黙症の症状は声が出ないことだけではなく、緊張で体がこわばって動けなくなることもあります。
このような状態は緘動(かんどう)と呼ばれ、名前を呼ばれても手を挙げられない、席から動けないといった形で現れます。学校生活では、次のような困りごとが見られることがあります。
・名前を呼ばれても返事ができない
・トイレに行きたくても先生に伝えられない
・給食で「おかわり」や「いらない」が言えない
・発表や音読、行事の場面で固まってしまう
一方で、決まったあいさつや答えがはっきりした質問には答えられるなど、少しなら話せる子どももいます。こうした子は「軽度だから大丈夫」と思われやすく、かえって周りの理解を得にくいことがあります。
少し話せる場合でも、話せない場面で困っているなら、同じように配慮や支援が必要です。
場面緘黙症の原因は親?自分を責める前に知ってほしいこと
- 親の育て方や愛情不足が直接の原因とは考えられていない
- 不安を感じやすい気質など、複数の要因が重なると考えられている
場面緘黙症は親の育て方が原因で起きるものではなく、不安を感じやすい気質などの要因が重なって起きると考えられています。
「自分のせいでは」と悩む保護者の方は多いですが、原因を正しく知ることは、落ち着いてお子さんと向き合うための第一歩になりますね。
親の育て方が原因ではないと言われる理由
- 愛情不足や過保護が原因という考えは古い研究に基づくもの
- 家で話せて学校で話せないのは、場面緘黙症によく見られる特徴
- 一人で抱え込まず、学校や親の会などを頼る
親の育て方や愛情不足が直接の原因になって場面緘黙症が起きるとは、現在は考えられていません。
かつては家庭の愛情不足や過保護が原因と言われた時期もありましたが、これは古い研究に基づく考え方です。
家庭で自然に話せることは場面緘黙症によく見られる特徴の1つで、学校で話せないからといって、親の育て方が原因だと考える必要はありません。
大切なのは原因探しより、これから安心して過ごせる環境をどう整えるかです。一人で抱え込まず、学校や相談機関、同じ悩みを持つ親の会なども頼ってください。子どもの不安と親の関わりについては、母子分離不安は母親のせい?の記事でも詳しく紹介しています。
原因として考えられていることは?
- 原因はまだ完全には解明されていない
- 気質・遺伝・体の緊張反応・環境の変化などが重なると考えられている
- 人と関わる機会を無理に増やしても改善しにくい
場面緘黙症の原因として主に挙げられているのは、不安を感じやすい気質や遺伝、環境の変化などの要因です。
はっきりした原因はまだ解明されていませんが、次のような要因が重なって起きると考えられています。
・生まれつき不安や緊張を感じやすい気質
・家族に不安が強い人がいるなど、遺伝的な影響
・不安を感じた場面で、体が強く緊張する反応が起きやすいこと
・入園や入学、引っ越しなど環境の大きな変化
・言葉の理解や組み立てに時間がかかるなど、発達面の特性
どれか1つで決まるものではなく、組み合わさって特定の場面で強い不安が生じると考えられています。
また、塾や習いごとなどで人と関わる機会を無理に増やしても、改善にはつながりにくいと専門家は指摘しています。
場面緘黙症のチェックリスト(目安)と診断
- 園・学校と家庭の様子を比べられるチェックリスト
- 診断は医師が行い、ネット上のテストだけでは判断できない
場面緘黙症かどうかの目安は、園や学校での様子と家庭での様子を比べることで確かめやすくなります。
チェックリストはあくまで目安で、診断の代わりになるものではありません。相談のきっかけとして使ってみてくださいね。
家庭で確かめたい!子どもの場面緘黙症チェックリスト
- 診断基準や専門資料を参考にした独自の目安
- 園や学校での様子は先生に確認し、記録して相談に持参する
- 数だけでなく、学校生活に支障が出ていないかも確かめる
家庭で使える場面緘黙症のチェックリストは、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM-5-TR)などを参考にまとめた独自の目安です。
専門資料も参考にして家庭で気づきやすい様子を整理したもので、医学的な診断に使うものではありません。園や学校での様子は先生に聞いて確認し、チェックした結果や気づいたことを記録して、相談するときに持っていくと役立ちます。
園や学校での様子
□ 家では話すのに、園や学校ではほとんど話さない状態が1か月以上続いている(入園・入学直後の1か月だけではない)
□ 名前を呼ばれても返事ができないことが多い
□ トイレに行きたいなど、困ったことを先生に伝えられない
□ 発表や音読、行事の場面で体が固まってしまう
□ うなずきや指さしなら、気持ちを伝えられることがある
家庭や外出先での様子
□ 家族とは普通に話し、学校の出来事を話してくれることもある
□ 親戚や近所の人、お店の人の前では声が出なくなる
□ 家に友達が遊びに来ると、急に話さなくなる
□ 話せないことで、本人が困ったりつらそうにしたりしている
チェックリストは、当てはまる項目の数だけで判断するものではありません。お子さんが感じているつらさに加えて、授業への参加や友達とのやりとりなど、学校生活に支障が出ていないかも確かめてみてください。
本人が困っていないように見える場合でも、話せない状態が続いているときは専門家に相談しましょう。
なお「1か月」は診断の目安で、それより前に相談してはいけないという意味ではありません。
診断テストで判断できる?診断は医師が行う
- 診断は児童精神科や発達外来などで医師が行う
- 家庭や学校での記録を持っていくと伝えやすい
- 診察室で話せなくても無理に答えさせなくてよい
場面緘黙症の診断は、インターネット上の診断テストではなく、児童精神科や小児科の発達外来などで医師が行います。
ネット上のテストは参考にはなっても、それだけで診断することはできません。
医師は、話せる場面と話せない場面の違い、その状態が続いている期間、学校生活や人との関わりへの影響、ほかの理由で説明できないかなどを確かめて判断するとされています。
家庭や学校での様子を詳しく聞かれることが多いため、チェックリストや記録を持っていくと伝えやすくなります。お子さんが診察室で話せなくても、無理に答えさせる必要はありません。
筆談やジェスチャーも使いながら、普段の様子は保護者の方から伝えて相談しましょう。
また、場面緘黙症かどうかをはっきりさせることよりも、その子に支援が必要かどうかを見極めることが大切だという専門家の意見もあります。相談先は専門家による治療・支援方法の項目で紹介しています。
場面緘黙症と発達障害の関係は?
- 医学的には発達障害ではなく、不安症に分類される
- 日本の制度では発達障害者支援法の対象に含まれる
- 自閉スペクトラム症(ASD)の特性と重なることもある
場面緘黙症は発達障害ではないかと心配されることもありますが、医学的には不安症の1つに分類されています。
ただし日本の制度上は発達障害と同じように支援の対象になるため、医学的な位置づけと制度上の扱いを分けて知っておくと安心ですね。
場面緘黙症は発達障害なの?医学的には不安症の1つ
- 診断上は神経発達症(発達障害)とは別の分類
- 制度上は発達障害者支援法の対象で、学校では特別支援教育の対象
- 発達障害かどうかにかかわらず関わり方の基本は同じ
医学的には、場面緘黙症は不安症の1つに分類され、自閉スペクトラム症(ASD)などの神経発達症(いわゆる発達障害)とは分類が異なります。
DSM-5-TRでも、ASDや注意欠如・多動症(ADHD)が入る神経発達症群とは別の不安症群に含まれています。
ただし、場面緘黙症とこれらを併せ持つ場合もあります。
一方で日本の制度では、場面緘黙症は発達障害者支援法の支援対象に含まれ、学校教育では情緒障害として特別支援教育の対象とされています。通級による指導(通常の学級に在籍しながら、一部の時間だけ別の場で指導を受ける仕組み)を利用できる場合もあります。
受けられる支援は、学校や自治体の就学相談で確認できます。発達障害かどうかにかかわらず、話すことを強要しないといった関わり方の基本は変わりません。
不安と発達の関係については、母子分離不安と発達障害の関係の記事も参考にしてみてください。
自閉スペクトラム症(ASD)と重なるケースもある?
- ASDの特性をあわせ持つ子どももいる
- 話さない背景の見極めは外から見ただけでは難しい
- 両方ある場合はASDの特性に合わせた支援も必要
場面緘黙症の子どもの中には、自閉スペクトラム症(ASD)の特性をあわせ持つ子もいると言われています。
ただし、話さない背景が場面緘黙症なのかASDの特性なのかは、外から見ただけでは判断できません。
場面緘黙症では家庭で年齢相応にやりとりできていることが多い一方、ASDの特性による場合は、家庭でも会話のやりとりに独特さが見られることがあります。
両方が重なるときは、不安への配慮に加えて、感覚の過敏さや見通しの持ちにくさに合わせた支援も必要になりますね。
気になる様子があれば、医師に発達面もあわせて確認してもらうと安心です。言葉の遅れが気になる場合は、自閉症で言葉が出ない6つの理由もあわせて読んでみてください。
場面緘黙症の子どもが話せるようになったきっかけと、専門家の支援
- 話せるようになったきっかけは子どもによって違う
- 相談先と、専門家による治療・支援方法
- 学校との連携と、家庭で親ができること
- 勉強の遅れが心配なときの学び方
場面緘黙症の子どもが話せるようになるまでの道のりは一人ひとり異なり、専門家の支援や学校との連携が支えになります。
学校と家庭が同じ方針で関わることも、支援の大切な一部です。勉強の遅れが心配なときの学び方も、あわせて見ていきましょう。
場面緘黙症は治る?話せるようになったきっかけは子どもによって違う
- 支援を受けながら話せる場面が広がる子は多い
- 信頼関係や段階的な練習などがきっかけになることもある
- ほかの子の方法をそのまま当てはめない
場面緘黙症は、適切な支援を受けながら少しずつ話せる場面が広がっていく子どもが多いとされています。
ただし、いつどのように話せるようになるかは子どもによって大きく異なり、「この方法で必ず話せる」と言い切れるものではありません。
よく挙げられるきっかけには、次のようなものがあります。
・安心できる大人や友達との信頼関係ができた
・話せる相手や場所を、少しずつ段階的に増やしていった
・進級や進学で、環境や人間関係が変わった
・専門家のもとで、話す練習を計画的に進めた
ほかの子のきっかけを、そのままお子さんに当てはめる必要はありません。様子を見ていても変化がないと感じたら、専門家に相談するタイミングかもしれません。
お子さんの「今できていること」を土台に、次の小さな一歩を一緒に考えていきましょう。
どこに相談する?専門家による治療・支援方法
- 学校・地域・医療機関・親の会など、相談先はさまざま
- 行動療法の1つ「刺激フェイディング法」で話せる場面を広げる
- 変化がなければ別の専門家を探すことも検討する
場面緘黙症の相談先は、担任の先生やスクールカウンセラー、自治体の教育相談センターなど、学校の中にも外にもあります。
・学校:担任の先生、スクールカウンセラー、情緒障害に対応する通級指導教室など(対応状況は学校・自治体によって異なります)
・地域:保健センター、教育相談センター、発達障害者支援センター
・医療機関:児童精神科、小児科の発達外来
・保護者同士:場面緘黙症の親の会や支援団体(かんもくネットなど)
専門家による支援方法としては、行動療法(行動の練習を通して不安を和らげていく方法)がよく用いられます。
代表的なのが刺激フェイディング法(話せる相手や場所を段階的に増やしていく方法)で、すでに話せる人や場所から始めて、相手や場所を1つずつ少しずつ変えていきます。
相談先によっては、場面緘黙症に詳しい専門家がいないこともあります。「様子を見ましょう」と言われるだけで変化がないときは、別の専門家を探すことも検討してみてください。
学校とどう連携する?先生にお願いしたい対応
- 先生には「場面緘黙症」という名前で状態を伝える
- 要点をまとめたメモを渡すと共有しやすい
- 配慮の内容は「合理的配慮」として相談できる場合がある
学校との連携は、保護者の方が担任の先生に「場面緘黙症」という名前で、話したくても声が出ない状態を伝えることから始まります。
口頭だけでなく、次の要点をメモにして渡すと共有しやすくなります。
先生に渡すメモの要点
・話せる場面・話せない場面(家族とは話す、校内では声が出ないなど)
・使える伝え方(うなずき、指さし、筆談、カードなど)
・避けてほしい対応(発言の強要、人前での注目、話せたときに騒ぐことなど)
・家での様子(好きなこと、学校の話をしてくれるかなど)
そのうえで、次のような対応をお願いしてみましょう。
・回答を求めるときは本人の希望を確かめて前もって伝え、カードや筆談など声を出さない答え方も選べるようにする
・発表は録音やタブレットでの提出など、別の方法も選べるようにする
・安心できる友達と同じグループにする
・行事は前もって流れを伝え、見通しを持てるようにする
・話せたときに大きく取り上げない
こうした配慮は、合理的配慮(障害などによる困りごとに応じて、学校が環境ややり方を調整すること)として相談できる場合があります。通級による指導の対象や申し込みの流れは、通級指導教室はグレーゾーンでも通える?の記事で紹介しています。
家庭と学校で対応がずれるとお子さんが混乱しやすいため、定期的に様子を伝え合い、同じ方針で関わることが大切です。
家庭での接し方は?親ができること
- 「話せなくても大丈夫」と安心を伝える
- 声以外の伝え方を家で一緒に練習する
- 話せた場面・話せなかった場面を記録して共有する
場面緘黙症の子どもへの家庭での接し方で一番大切なのは、安心して過ごせる場所を守ることです。
「話せなくても大丈夫」「ゆっくりでいいよ」と伝えるだけでも、お子さんの気持ちが軽くなることがあります。
外で話せない場面に備えて、うなずきや指さし、筆談、「はい・いいえ」のカードなど、声以外の伝え方を家で一緒に練習しておくのもおすすめです。
話せた場面・話せなかった場面を簡単に記録しておくと、先生や専門家とも共有しやすくなります。保護者の方自身も一人で抱え込まず、頼れる人や場所を増やしていきましょう。
授業中に質問できず、勉強の遅れが心配なときは?
- 質問や発表の方法は、学校と相談して決めておく
- 家庭では学校の内容をゆっくり復習する
- 自宅で1対1で学べる家庭教師(訪問・オンライン)も選択肢の1つ
場面緘黙症の子どもが授業中に質問できず勉強の遅れが心配なときは、学校と家庭の両方で声を出さずに学べる工夫を整えることが大切です。
わからなくても手を挙げられない、音読や発表の評価が気になる、と心配になることもありますよね。
学校では、筆談やカードで質問する方法を先生と決めておく、発表を口頭か録画かなどから選べるよう相談する、といった工夫ができます。家庭では、学校で習った内容をゆっくり復習しておくと安心です。
それでも勉強の遅れが気になるときは、自宅で先生と1対1で学べる家庭教師(訪問・オンライン)も選択肢の1つです。
私たちランナーでは、先生がご自宅に伺う訪問指導とオンライン家庭教師のどちらでも、お子さんと1対1で学べ、LINEを使って文字で質問できる方法もあります。
学校に行きづらい時期も自宅で学びを続ける方法があり、不登校の家庭教師サポートのページで紹介しています。
検討するときは、体験の段階で「話すことを無理に求めない」など、お子さんのペースに合わせた進め方ができるかを確かめておくと安心です。私たちランナーの90分の無料体験でも、講師との相性を確認してから決められ、無理な勧誘は一切ありません。
場面緘黙症の子どもについてよくある質問
- 場面緘黙症の子どもが抱えるしんどさ
- 家族とも話せないときに考えられること
場面緘黙症の子どもについて、保護者の方が抱きやすい2つの疑問にQ&A形式でお答えします。
どちらも、お子さんの気持ちや家庭での様子を理解するうえで知っておきたいポイントです。
場面緘黙症はしんどいですか?
- 話したいのに声が出ないつらさを抱えている
- 不安が表情に出にくく、平気そうに見えることもある
- 安心できる時間を増やし、つらさが続けば専門家へ相談する
場面緘黙症の子ども本人は、話したいのに声が出ないという大きなしんどさを抱えていることが多いです。
困ったことを先生に伝えられなかったり、「無視している」と誤解されたりするつらさを、毎日のように感じていることもあります。
しかも不安が表情に出にくく、平気そうに見えるため、周りに気づいてもらえないことも少なくありません。本人が「つらくない」と言っていても、緊張を抱えながら過ごしている場合があるんです。
まずは「話せないのはあなたのせいじゃない」と伝え、話さなくても安心して過ごせる時間を増やしてあげてください。困ったときに使えるカードやサインを先生と決めておき、つらさが続くようなら早めに専門家に相談しましょう。
場面緘黙症で家族とも話せないのはなぜですか?
- 祖父母や来客の前で話せなくなることはよくある
- 相手や場の雰囲気によって不安の強さが変わる
- 家庭でもほとんど話さない状態が続くなら医師に相談する
場面緘黙症の子どもが家族の前でも話せなくなるのは、相手との関係や場の雰囲気によって不安の強さが変わるためと考えられています。
たとえば、普段あまり会わない祖父母や親戚の前、友達やお客さんが家に来たときに、急に話さなくなる子どももいます。
家族と一緒でも、家族以外の人がいると「外の場面」と同じように緊張が高まることがあるんです。
一方で、家庭でもほとんど話さない状態が続くときや、急に家族とも話さなくなったときは、場面緘黙症以外の要因が関係していることも考えられます。無理に話しかけず、筆談やジェスチャーで気持ちを受け止めながら、早めに医師や専門家に相談しましょう。
場面緘黙症の子どもにやってはいけないことについてまとめ
- ・話すことの強要や問い詰め、比較、注目を集める対応は不安を強めやすい
- ・大げさに褒める、活動から外す、様子を見るだけも避けたい
- ・原因は親の育て方ではなく、安心できる家庭が大きな支えになる
- ・学校と同じ方針で関わり、必要に応じて専門家を頼る
場面緘黙症の子どもにやってはいけないことは、話すことの強要や問い詰め、注目を集める対応など、不安を強めてしまう関わりです。
場面緘黙症は、親の育て方が原因で起きるものではありません。
大切なのは、家庭を安心できる場所にしながら、声以外の伝え方を認め、話せる場面を少しずつ広げていくことです。
まずは、今日からできる次の3つから始めてみてくださいね。
1.話せる場面・話せない場面を、家と園や学校に分けてメモする
2.担任の先生にお子さんの様子を伝え、メモを渡して相談する
3.うなずきやカードなど、声以外の伝え方を家で一緒に練習する
気になる様子が続くときは、スクールカウンセラーや専門機関の力も借りましょう。話せるようになるまでの道のりは子どもによって違いますが、お子さんの「今できること」を大切に、親子のペースで進んでいきましょう。
勉強の遅れが気になるときは、私たちランナーの90分の無料体験で、お子さんのペースに合わせた進め方や講師との相性を確かめることもできます。その場で決める必要はなく、無理な勧誘もありません。
※本記事は一般的な情報をお伝えするものです。お子さんの様子で気になることが続く場合は、医師や専門機関にご相談ください。








