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WISC-Vとは?結果の見方3ステップとWISC-IVとの違い

2026.10.15

WISC-Vとは?結果の見方3ステップとWISC-IVとの違い

学校や病院でWISC-V(ウィスク・ファイブ)をすすめられたり、受け取った報告書の数字の意味がわからなかったりして、戸惑っている保護者の方もいるかもしれません。

WISC-Vは、5歳0カ月〜16歳11カ月の子どもの得意と苦手のバランスを知り、学び方や関わり方を考えるための知能検査です。

この記事では、WISC-Vがどんな検査か、WISC-IVとの違い、報告書を読む順番、受け方までを、専門用語をかみくだいてまとめました。2026年7月に発売された21検査版の扱いや、結果を家庭学習に活かす方法も紹介しています。

数字の高い低いだけで、お子さんの力や将来が決まるわけではありません。読み方がわかると、数字を「良い・悪い」の判定ではなく、お子さんに合った学び方を見つける手がかりとして使えるようになりますね。

報告書を手元にお持ちの方は「WISC-Vの結果の見方」から、これから受ける方は「WISC-Vは何歳から受けられる?」から読み始めても大丈夫ですよ。

目次

WISC-Vとは?いま使われているWISCの最新版

WISC-Vとは?いま使われているWISCの最新版

  • 検査者と1対1で、ことば・図形・記憶などの課題に取り組む個別式の知能検査
  • 対象は5歳0カ月〜16歳11カ月(学年ではなく、何歳何カ月かで決まる)
  • 結果だけで発達障害の診断はできず、判断を助ける参考情報の一つになる

WISC-Vは、子ども向けのウェクスラー式知能検査の第5版で、日本でいま使われている最新版です。

WISC5やウィスク5と表記されることもあります。ウェクスラー式の検査は年齢ごとに分かれていて、WISC-Vはその中で5歳0カ月〜16歳11カ月の子どもを対象にした検査です。

ここでは、検査の中身、わかること・わからないこと、21検査版の扱いを順に見ていきましょう。

どんなテスト?検査者と1対1で取り組む知能検査

  • ことば・図形・記憶・作業のスピードに関わる課題に順番に取り組む
  • 問題は非公開で、事前に練習してから受ける検査ではない
  • 主要指標を出す10の下位検査で約65〜80分が目安

WISC-Vは、公認心理師などの検査者と子どもが1対1で向き合って進める個別式の知能検査です。

保護者は別室で待つ形をとる機関もあります。

課題には、例えば次のようなものがあります。

・ことばの意味や、2つのことばの共通点を答える課題
・積木を使って、見本と同じ模様を作る課題
・天秤の絵を見て、つり合う図形を選ぶ課題
・聞いた数字を覚えて答える課題
・記号を見本どおりにすばやく書き写す課題

「WISC-Vの問題の例を見て準備しておきたい」と思う方もいるかもしれません。ただ、問題の中身は公開されておらず、練習して慣れておくと本来の力が測りにくくなるとされています。

所要時間について、発行元は5つの主要指標を出す10の下位検査で約65〜80分、FSIQ(全検査IQ)を出す7つの下位検査で約45〜60分としています。

受付や説明を含めた全体の時間は受診先によって違うので、事前に確認しておくと安心ですね。

WISC-Vで発達障害はわかる?わかること・わからないこと

  • 診断には、医師の診察や生活の様子の聞き取りなどが別に必要
  • わかるのは、認知の得意・苦手のパターンや関わり方のヒント
  • 性格ややる気、教科の学力そのものは測らない

結論から言うと、WISC-Vの結果だけで発達障害かどうかを判断することはできません。

「検査を受けたら、何か障害があると言われるのでは」と不安になる方もいるかもしれません。

ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)の診断には、医師の診察などが別に必要です。WISC-Vの結果は、その判断を助ける参考情報の一つとして使われます。

WISC-Vでわかること WISC-Vではわからないこと
認知の得意・苦手のパターン 発達障害などの診断名
学習でつまずきやすいポイント 性格ややる気、社会性
家庭や学校での関わり方のヒント 国語や算数など、教科の学力そのもの

検査の結果は、あくまで「検査を受けた時点の姿」です。環境や支援によって、その後の様子が変わっていくこともあります。

WISC以外も含めた子どもの発達検査・知能検査の種類は、「発達検査の種類一覧」で比べています。

検査の数字は、お子さんの価値や将来の可能性を決めるものではありません。認知面の特徴を理解し、必要な支援を考えるための材料です。

2026年7月に21検査版が登場|16検査版で受けた結果はどうなる?

  • 2026年7月21日に、関連指標を出せる21検査版が発売された
  • 関連指標は、FSIQや主要指標の計算には使われない
  • 関連指標を使わない場合は16検査版を使い続けられ、基本の読み方は同じ

WISC-Vには、2026年3月まで販売された16検査版と、2026年7月21日に発売された21検査版があります。

名前の数字は、下位検査(指標のもとになる個々の課題)の数です。21検査版では、呼称速度指標(NSI)、シンボル変換指標(STI)、貯蔵と検索指標(SRI)という3つの関連指標を出せるようになりました。

発行元によると、関連指標はFSIQ・主要指標・補助指標の計算には使われず、関連指標を実施しない場合は16検査版を使い続けられます。そのため、2026年7月以降に受けても、16検査版で実施されることがあります。

どちらの版で受けても、FSIQや5つの主要指標の基本的な読み方は同じです。報告書に関連指標がなくても、情報が足りないという意味ではありませんので安心してくださいね。

仕様の詳細や最新情報は、発行元である日本文化科学社のWISC-V知能検査の製品ページで確認できます。

WISC-IVとWISC-Vの違い|主要指標が4つから5つに

WISC-IVとWISC-Vの違い|主要指標が4つから5つに

  • 知覚推理が視空間と流動性推理に分かれ、主要指標が5つになった
  • バランスや絵のスパンなどの下位検査が加わり、語の推理と絵の完成はなくなった
  • WISC-IVとWISC-Vの数字は、単純に並べて比べることはできない

WISC-IVとWISC-Vの最も大きな違いは、子どもの力を見る主要指標が4つから5つに増えたことです。

WISC-V(WISC5)は、WISC-IV(WISC4)の後継として作られた改訂版で、指標の組み立てや下位検査の一部が見直されています。

以前にWISC-IVを受けたことがあるお子さんもいるため、変わった点と、結果を見比べるときの注意点を押さえておきましょう。

知覚推理が「視空間」と「流動性推理」の2つに分かれた

  • 見た形をつかむ力と、筋道を立てて考える力を別々に見られるようになった
  • 下位検査の数はWISC-IVが15、WISC-Vは16または21
  • FSIQを出す下位検査は10から7に変わった

WISC-Vでは、WISC-IVの「知覚推理」が「視空間」と「流動性推理」の2つに分かれました。

例えば図形の問題でつまずいたとき、その理由が「形をとらえること」なのか「規則を見つけること」なのかを見分けやすくなっています。

比較項目 WISC-IV WISC-V
主要指標 4つ(言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度) 5つ(言語理解・視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度)
下位検査の数 15 16(16検査版)/21(21検査版)
FSIQを出す下位検査 10 7
WISC-Vで加わった主な下位検査・課題 - バランス、パズル、絵のスパン、数唱:数整列
WISC-Vでなくなった下位検査 語の推理、絵の完成 -

WISC-IVの知覚推理について詳しく知りたい方は、知覚推理とは?もあわせてご覧ください。

前にWISC-IVを受けた子は?結果を見比べるときの注意点

  • 2つの検査は、指標の組み立てやFSIQのもとになる下位検査が違う
  • FSIQの数ポイントの変化だけで、力の伸びや落ち込みを判断しない
  • 前回と同じ得意・苦手の傾向が見られるかに注目する

WISC-IVとWISC-Vは、指標の構成やFSIQの算出方法が異なるため、数値を単純に比較することはできません。

前回より数字が下がっていると、心配になる方もいるかもしれません。

ただ、2つの検査は得点の基準になる子どものデータ(標準化集団)も違い、FSIQもWISC-IVでは10、WISC-Vでは7つの下位検査から出すため、同じ「IQ」でも中身は同じではありません。

そのため、FSIQが数ポイント上がった・下がったという変化だけで、力が伸びた、落ちたと受け止めるのは早計です。

WISC-IVの知覚推理と、WISC-Vの視空間・流動性推理も、そのまま1対1では対応しません。前回からの変化を確認したいときは、結果説明の場で「前回の結果とどう読み比べればよいか」を尋ね、検査の違いもふまえて専門家に読み解いてもらいましょう。

また、前回の検査から間隔が短いと、似た課題に慣れていて得点が高めに出る「練習効果」が起こることもあります。

数字の比較よりも、前回わかった得意・苦手の傾向が今回も見られるかに目を向けると、お子さんの理解につながりやすくなります。

WISC-IVの報告書の読み方は、WISC-IV検査結果の見方もあわせてご覧ください。

WISC-Vの指標と下位検査|それぞれ何を測っている?

  • 5つの主要指標が表す力と、勉強で関わりやすい場面
  • 主要指標は、それぞれ2つずつの主要下位検査から出される
  • 下位検査の点数の差は、検査者が統計的な基準をもとに判断する

WISC-Vの結果は、FSIQ・主要指標・補助指標を中心に表され、21検査版では関連指標も加わります。

保護者の方がまず押さえたいのは、FSIQと5つの主要指標です。補助指標は必要に応じて算出される数字で、関連指標は21検査版で関連下位検査を実施した場合に出されます。

5つの主要指標でわかる力と、勉強で関わる場面

  • 5つの主要指標は、それぞれ違う種類の力を表している
  • 指標と関係する可能性がある学習場面の目安がわかる
  • 指標の数字だけで、子どもの行動すべてを説明することはできない

WISC-Vの5つの主要指標は、言語理解・視空間・流動性推理・ワーキングメモリー・処理速度です。

各指標が表す力と、関係する可能性がある学習場面を表にまとめました。

主要指標 どんな力? 勉強で関わりやすい場面
言語理解(VCI) ことばを理解し、ことばで考えて表現する力 文章の読み取り、説明を聞いて理解する、話し合い
視空間(VSI) 見た形や位置関係をとらえ、頭の中でイメージする力 図形・グラフ・地図の読み取り、文字の形を見分ける
流動性推理(FRI) 初めての問題で規則を見つけ、筋道を立てて考える力 文章題、応用問題、規則性を見つける問題
ワーキングメモリー(WMI) 情報を一時的に覚えながら、同時に処理する力 暗算、指示を聞きながらの作業、板書
処理速度(PSI) 見た情報をすばやく正確に処理する力 書き写し、計算ドリル、時間内に解くテスト

例えば、ワーキングメモリーが低めの子どもは、口頭で一度に複数の指示を出されると、途中で抜けてしまうことがあります。

ワーキングメモリーが低い子の特徴は、ワーキングメモリが低い子の6つの特徴もあわせてご覧ください。

ただし、表の場面は関係する可能性がある例で、実際のつまずきには複数の要因が関わります。「処理速度が低い=何をするにも遅い」とは限らないため、お子さんの実際の様子と照らし合わせて読むことが大切です。

下位検査は16または21種類|どの検査がどの指標につながる?

  • 下位検査は主要10・二次6で、21検査版では関連5が加わる
  • 5つの主要指標は、それぞれ2つずつの主要下位検査から出される
  • FSIQは7つの下位検査から算出される

WISC-Vの下位検査は、16検査版では16種類、21検査版では21種類あります。

内訳は主要下位検査10、二次下位検査6で、21検査版ではここに関連下位検査5が加わります。

5つの主要指標は、それぞれ2つずつの主要下位検査から出されます。

主要指標 もとになる主要下位検査
言語理解(VCI) 類似、単語
視空間(VSI) 積木模様、パズル
流動性推理(FRI) 行列推理、バランス
ワーキングメモリー(WMI) 数唱、絵のスパン
処理速度(PSI) 符号、記号探し

FSIQは、このうち類似・単語・積木模様・行列推理・バランス・数唱・符号の7つから出されます。

二次下位検査は必要に応じて実施され、量的推理(QRI)、聴覚ワーキングメモリー(AWMI)、非言語性能力(NVI)、一般知的能力(GAI)、認知熟達度(CPI)の5つの補助指標の算出などに使われます。

主要指標を中心に伝える検査者もいるため、報告書に補助指標や下位検査の数字が載っていないこともあります。

下位検査の点数の差はどう解釈する?

  • 同じ指標の中でも、2つの下位検査の点数に差が出ることがある
  • 差には、子どもの特徴が表れることも、その日の調子が影響することもある
  • 意味のある差かどうかは、統計的な基準をもとに検査者が判断する

WISC-Vの下位検査の結果は、平均が10になるように調整された「評価点」という数字で表されます。

同じ指標の中でも、2つの下位検査の点数に差が出ることがあります。例えば視空間指標で、積木模様とパズルの点数が大きく違うケースです。

積木模様は手を動かして模様を作り、パズルは頭の中で形を組み合わせる課題なので、差が子どもの特徴を表していることがあります。一方で、その日の体調や集中の具合で、一部の点数だけが下がることもあります。

点数の差をどう解釈するかは、発行元が示す統計的な基準をもとに検査者が判断します。

保護者の方が数字を一つずつ読み解く必要はなく、気になる差があれば「この差は何を表していますか」と結果説明の場で質問してみましょう。

下位検査ひとつの結果だけで、お子さんの得意・苦手を決めつけないことが大切です。

WISC-Vの結果の見方|報告書はどこから読む?

  • ①FSIQで、全体の位置を確かめる
  • ②主要指標どうしの差から、得意と苦手の傾向をつかむ
  • ③パーセンタイル順位・信頼区間・記述分類の意味を押さえる

WISC-Vの結果報告書は、FSIQ、主要指標の差、用語の順に読むと全体像がつかみやすくなります。

報告書を手元に置いて、上の①〜③の順に読み進めてみてくださいね。次の架空の例を使って説明します。

※下の表は説明のための架空の例で、信頼区間を含め、実際の検査結果を再現したものではありません。実際の報告書の形式は検査機関によって異なります。

※記述分類の欄は、90%信頼区間に含まれる分類を幅で示しています。例えば合成得点108は、得点そのものでは「平均」ですが、信頼区間を考慮すると「平均〜平均の上」と表されます。

指標 合成得点 パーセンタイル順位 信頼区間(90%) 記述分類
FSIQ 96 39 91〜101 平均
言語理解(VCI) 108 70 101〜114 平均〜平均の上
視空間(VSI) 95 37 88〜103 平均の下〜平均
流動性推理(FRI) 100 50 93〜107 平均
ワーキングメモリー(WMI) 86 18 80〜94 平均の下〜平均
処理速度(PSI) 88 21 81〜97 平均の下〜平均

最初にFSIQを見る|平均100と「85〜115」の意味

  • FSIQと主要指標の平均は100、下位検査の評価点の平均は10
  • 85〜115の範囲に約68%の子どもが入るとされている
  • FSIQだけを見ても、指標の間の差は見えない

WISC-VのFSIQ(全検査IQ)は、同じ年齢の子どもの平均が100になるように調整されています。

「ウィスク5の平均値は?」「WISCの平均IQは?」という疑問の答えは、この100です。主要指標の得点も100が平均で、下位検査の評価点は10が平均になります。

統計的には、平均100を中心とする85〜115の範囲に約68%、70〜130の範囲に約95%の子どもが入るとされています。これは得点の散らばり方を示したもので、記述分類で「平均」とされる90〜109とは区別して考えます。

例のFSIQ96は、平均の100に近い位置にあることがわかります。

ただし、FSIQは全体の知的発達の水準をならした数値です。例では言語理解が108、ワーキングメモリーが86と22ポイントの開きがありますが、FSIQだけを見てもこの差は見えません。

FSIQが平均的でも、指標の間に差があり、特定の場面で困りごとを抱えている子どももいます。

次に主要指標の差を見る|得意と苦手のバランス

  • 例の子は、言語理解が相対的に高く、ワーキングメモリーと処理速度が相対的に低め
  • このタイプは、ことばでの丁寧な説明が合うこともある
  • 「有意な差」は、偶然とは考えにくい差があるという意味

WISC-Vの主要指標は、同じ年齢の子どもと比べた得点の水準に加え、その子自身の指標間の差にも注目して読みます。

例では、言語理解(108)がほかの主要指標と比べて相対的に高く、ワーキングメモリー(86)と処理速度(88)は相対的に低めです。

ことばを使った理解が比較的得意で、覚えながらの作業やスピードを求められる場面では負担を感じやすい可能性がある、と考える手がかりになります。

このタイプの子どもには、ことばで丁寧に説明する教え方が合うこともあります。

報告書に「有意な差」と書かれていれば、統計的に見て偶然とは考えにくい差があるという意味です。あわせて、その程度の差が同じ年齢の子どもの中でどれくらいの割合で見られるか(標準出現率)が示されることもあります。

ただし、差の意味は点数だけでは決まらず、統計的な基準や日常生活の様子もあわせて判断します。

言語理解・ワーキングメモリー・処理速度は、WISC-IVにもある指標です。

言語理解が高い子についてはWISC-IV言語理解だけ高いとどうなる?、処理速度が低い子についてはWISCで処理速度だけ低いのはなぜ?もあわせてご覧ください。

パーセンタイル・信頼区間・記述分類の読み方

  • パーセンタイル順位は、同じ年齢の子どもと比べたときの位置の目安
  • 信頼区間は、本来の力がありそうな得点の幅
  • 記述分類は、得点の位置をことばで表した目安

WISC-Vの報告書では、得点の横にパーセンタイル順位・信頼区間・記述分類という3つの情報が並ぶことが多いです。

パーセンタイル順位は、同じ年齢の子どもと比べて、どのくらいの位置にあるかを示す数字です。

50ならちょうど真ん中で、例の言語理解の70なら、同じ年齢の子どもの約70%と同じか、それより高い得点であることを表します。上位約30%にあたる位置の目安ですね。

信頼区間は、得点を「幅」で見るための数字です。検査の得点には測定の誤差が含まれるため、本来の力がありそうな範囲が示されています。

例えば「FSIQ96(90%信頼区間91〜101)」なら、測定誤差を考慮し、本来の力の水準を91〜101という幅で推定しているという意味です。

記述分類は、得点の位置を「平均」「平均の上」「平均の下」などのことばで表した目安です。例えば「平均」は90〜109、「平均の上」は110〜119、「平均の下」は80〜89の範囲を指します。

報告書では、例の表のように信頼区間をふまえて「平均の下〜平均」と幅で書かれることもあります。

数値だけで判断しない|結果説明で検査者に確認したいこと

  • 報告書の所見には、検査中の集中や疲れの様子が書かれていることがある
  • 子どもの強みや、指標の差と困りごとの関係を確認しておく
  • ふだんの困りごとをメモしておくと、説明を受けやすくなる

WISC-Vの報告書は、数字だけでなく、検査中の子どもの様子も含めて読むことが大切です。

報告書の所見には、集中の続き方や答え方の特徴、疲れの出方などが書かれていることがあります。例えば、不安が強くて本来の力を出しきれなかった場合、数字が低めに出ることもあります。

結果説明の場では、次のような点を確認しておくと、家庭や学校での支援につなげやすくなります。

・子どもの得意なこと(強み)は何か
・指標の差は、ふだんの困りごととどう関係していそうか
・検査中の様子で気になった点はあったか(集中、疲れ、不安など)
・家庭学習で取り入れられる工夫はあるか
・学校に伝えるとよいことや、相談できる配慮はあるか
・WISC-V以外の検査や相談が必要か

ふだんの困りごとを事前にメモしておくと、数字と生活の様子を結びつけて説明してもらいやすくなります。一度ですべてを理解しようとせず、わからなかった用語は後から聞き直しても大丈夫ですよ。

WISC-Vの結果を家庭学習や学校での配慮にどう活かす?

  • 苦手を鍛えるより、得意な力を使って学びやすい形に整える
  • 指標の特徴に合わせて、家庭学習の教え方や量を変える
  • 学校への相談や、外部のサポートも選択肢になる

WISC-Vの結果は、苦手を無理に鍛えるためではなく、得意な力を使って学びやすい形に整えるために活かします。

指標の数字を上げる練習をするのではなく、お子さんが取り組みやすいように、教え方や学ぶ環境を変えていくイメージですね。

家庭での工夫に、学校への相談や外部のサポートも組み合わせてみましょう。

指標の特徴に合わせて、家庭学習の教え方を変える

  • 指標ごとに、つまずきやすい場面と家庭での工夫がある
  • 一度に伝える量を減らし、目で見てわかる形にする
  • 表は一例なので、実際の様子と照らし合わせて選ぶ

WISC-Vの結果は、指標の特徴に合わせて家庭学習の教え方や量を変えるときの手がかりになります。

指標ごとのつまずきやすい場面と工夫の例を、表にまとめました。

結果の特徴 つまずきやすい場面 家庭学習での工夫
言語理解が低め 長い説明や文章題の意味をつかみにくい 短い文で伝え、図や実物を一緒に見せる
視空間が低め 図形・グラフ・地図の読み取り、マスに字を収める 見る順番を番号で示し、情報をしぼって見せる
流動性推理が低め 初めて見る問題や応用問題で手が止まる 例題で解き方の手順を見せ、同じ型の問題で練習する
ワーキングメモリーが低め 一度に複数の指示、暗算、板書 指示は1つずつ伝え、やることを紙に書いて見せる
処理速度が低め 書き写し、計算ドリル、時間内に解くテスト 問題数を減らす、書き写す量を少なくする
言語理解が高め(強みを使う例) ことばで考えることが得意 図だけでなく、ことばで順を追って説明する

つまずきの原因は1つとは限らないため、表は一例として、お子さんの実際の様子と照らし合わせて選んでくださいね。まずは報告書でいちばん高い指標と低い指標に印をつけ、工夫を1つだけ試してみると始めやすいですよ。

例えば、結果の見方で紹介した架空の例の子(言語理解108、ワーキングメモリー86、処理速度88)で考えてみましょう。

・変える前:プリントをまとめて渡し、手順を口頭で一度に説明している
・変えた後:プリントを1枚ずつ渡し、やることを紙に1つずつ書いて見せながら、ことばで順を追って説明する

覚えておく量が減り、比較的得意なことばでの理解も使えるため、同じ内容でも、伝え方を変えるだけで取りかかりやすくなることがあります。

※架空の例です。合う方法はお子さんによって異なります。

学校に相談できる配慮と支援の例

  • 板書の撮影やプリントの配布などの合理的配慮を相談できる
  • 配慮の内容は、本人の意向もふまえて学校と保護者が話し合って決める
  • 通級指導教室など、校内で受けられる支援もある

WISC-Vの結果をもとに、学校へ合理的配慮(学びやすくするための調整)を相談できます。

例えば、板書の撮影を認めてもらう、板書の内容をプリントで配ってもらうといった方法があります。

どのような配慮が必要かは、お子さん本人の意向や学校での困りごとをふまえ、保護者と学校が話し合いながら検討していきます。

WISC-Vの点数だけで配慮が決まるわけではありません。相談するときは、結果説明で聞いた得意・苦手と、家庭でうまくいった工夫をメモにして持っていくと、話が進みやすくなります。

また、通常の学級に在籍しながら、一部の時間に別の場で指導を受けられる「通級指導教室」という仕組みもあります。対象については、通級指導教室はグレーゾーンでも通える?もあわせてご覧ください。

家庭だけで抱え込まないために|特性をふまえて教えてくれる外部のサポート

  • 家庭だけで教え方を考え続けるのは、負担が大きいこともある
  • 特性をふまえて教えてくれる外部のサポートを使う方法がある
  • 得意・苦手を伝えると、学び方を一緒に考えてもらいやすい

WISC-Vの結果をふまえた家庭学習の教え方は、保護者の方がひとりで考え続けなくても大丈夫です。

毎日の宿題を見ながら工夫を続けるのは、負担が大きいこともありますよね。

家庭での教え方に迷ったときは、お子さんの特性をふまえて教えてくれる外部のサポートを使う方法もあります。お子さんの得意・苦手を伝えておくと、学び方を一緒に考えてもらいやすくなります。

家庭教師のランナーには、発達障害コミュニケーション指導者の資格を持つスタッフが在籍しています。1コマ30分から、訪問でもオンラインでも受けられ、LINEで24時間質問することもできます。

90分の無料体験では、お子さんに合った勉強のやり方を提案しています。講師との相性を確かめてから決められ、無理な勧誘もありません。

勉強の進め方を相談したい方は、発達障害の家庭教師サポートをご覧ください。

WISC-Vは何歳から受けられる?対象は5歳0カ月〜16歳11カ月

  • 学年ではなく、検査を受ける日の年齢(何歳何カ月)で対象かどうかが決まる
  • 年中・年長ごろから、高校2年生の途中(17歳になる前)までが目安
  • 年齢が外れる場合に備えて、WPPSI-IIIやWAIS-IVが用意されている

WISC-Vの対象年齢は、5歳0カ月から16歳11カ月までで、学年ではなく年齢で決まります。

学年でいうと、幼稚園・保育園の年中・年長ごろから、高校2年生の途中(17歳になる前)までが目安です。

インターネット上では「6歳から」と紹介されている記事もありますが、発行元が示す適用範囲は5歳0カ月からです。

年齢が外れる場合は、幼児向けのWPPSI-III(ウィプシー・スリー、2歳6カ月〜7歳3カ月)や、大人向けのWAIS-IV(ウェイス・フォー、16歳0カ月〜90歳11カ月)が用意されています。

5歳〜7歳ごろや16歳ごろは対象年齢が重なるため、どの検査を使うかは、お子さんの様子や目的をふまえて検査者が判断します。年齢の境目にあたる場合は、相談の段階で「どの検査を受けることになりそうか」を聞いておくと安心ですね。

WISC-Vを受けたいときは?どこで、どんな流れで受けるか

  • 医療機関・公的な相談窓口・民間の検査機関の特徴の違い
  • 相談・予約から結果説明までの4つのステップ
  • 予約前に、費用や所要時間、前回の検査歴を確認する

WISC-Vは、学習のつまずきや集中の続きにくさ、友だちとの関わりなど、気になる様子があるときに受けることが多い検査です。

学校や園から受検をすすめられるケースもあります。「WISC検査を受けたいけれど、どこで受ければいいの?」と迷ったら、まず受けられる場所と流れを知っておきましょう。

どこで受けられる?病院・公的な相談窓口・民間の検査機関

  • 診断も含めて相談したい場合は医療機関を選ぶ
  • 公的な窓口は、自治体によって実施の有無や条件が違う
  • 迷ったら、学校の先生や自治体の教育相談窓口に聞いてみる

WISC-Vは、医療機関、公的な相談窓口、民間の検査機関などで受けることができます。

それぞれ特徴が違うため、何のために受けたいのかを整理してから選ぶのがおすすめです。

相談先 特徴 向いているケース
医療機関(小児科の発達外来、児童精神科など) 医師の診察のあと、必要に応じて検査が案内される 発達障害の診断も含めて相談したい
公的な相談窓口(教育相談センター、児童相談所など) 実施の有無や受けられる条件が自治体によって異なる 学校生活や発達の相談とあわせて受けたい
民間の検査機関・カウンセリングルーム 検査のみを申し込める機関もある。医師がいない機関では診断は受けられない 結果をもとに学び方を考えたい

発達障害の診断まで相談したい場合は、医療機関を選ぶ必要があります。

ただし、医療機関の発達外来は時期によって予約が取りにくく、受診までに時間がかかることもあります。迷ったら、学校の先生や自治体の教育相談窓口に聞いてみるのも一つの方法です。

相談から結果説明までの流れ

  • 相談・予約、検査当日、報告書の作成、結果の説明の順に進む
  • 結果が出るまでの期間は、予約のときに確認しておく
  • 前日は早めに寝て、当日は朝ごはんを食べてから出かける

WISC-Vは、相談・予約、検査当日、報告書の作成、結果の説明という4つのステップで進みます。

1.相談・予約:お子さんの困りごとや受けたい理由を伝え、日程を決めます。医療機関では、先に医師の診察を受けることがあります。
2.検査当日:検査者とお子さんが1対1で課題に取り組みます。
3.採点・報告書の作成:検査者が結果を分析し、数字と検査中の様子をまとめた報告書を作ります。
4.結果の説明:報告書をもとに、結果の意味や今後の関わり方について説明を受けます。

結果の説明は、検査とは別の日に設けられるのが一般的です。結果が出るまでの期間は受診先によって違うので、予約のときに聞いておくと予定を立てやすくなります。

お子さんには「いろいろな問題に挑戦する日」などと、不安をあおらない言葉で事前に伝えておくと、落ち着いて臨みやすくなります。

疲れや空腹は検査中の集中に影響することがあるため、前日は早めに寝て、当日は朝ごはんを食べてから出かけましょう。

予約前に確認したいこと|費用・所要時間・前回の検査歴

  • 費用や保険診療か自費診療か、結果説明までの期間を確認する
  • 以前にWISCを受けたことがあれば、時期と検査の種類を伝える
  • 短い間隔でくり返し受けると、練習効果が起こることがある

WISC-Vを予約する前には、費用や当日の所要時間、結果説明までの期間などを受診先に確認しておくと安心です。

・検査の費用と、保険診療か自費診療か
・検査当日にかかる時間と、結果説明までの期間
・報告書がもらえるか、学校に提出できる形か
・結果説明の時間が設けられているか

費用は受診先によって違い、医療機関でも保険診療として扱う場合と、自費診療として案内する場合があります。金額は事前に問い合わせて確かめておきましょう。

以前にWISCを受けたことがある場合は、受けた時期と検査の種類を伝えておくことも大切です。

WISCは、短い間隔でくり返し受けると、課題に慣れて得点が本来の力より高く出る「練習効果」が起こることがあります。再検査の時期は、前回の結果も見ながら検査者と相談して決めましょう。

前回の報告書が手元にあれば、持参すると今回の結果と比べながら説明してもらいやすくなります。

WISC-Vについてまとめ

  • ・WISC-Vの対象は5歳0カ月〜16歳11カ月で、主要指標は5つ
  • ・16検査版でも21検査版でも、FSIQと主要指標の基本の読み方は同じ
  • ・結果は、FSIQ→主要指標の差→用語の順に読む
  • ・WISC-Vの結果だけで、発達障害を診断することはできない
  • ・得意な力を使って、家庭学習や学校での配慮に活かす

WISC-Vは、5歳0カ月から16歳11カ月の子どもを対象にした、いま使われている最新版のWISCです。

報告書の数字は、お子さんの価値や将来を決めるものではなく、得意な力と負担を感じやすい場面を知るための手がかりですね。

検査はゴールではなく、お子さんに合った学び方や関わり方を考えるスタート地点です。まずは報告書から得意な力を1つ見つけ、家庭学習の工夫を1つ試すところから始めてみてくださいね。

お子さんに合った勉強のやり方を一緒に考えたいときは、ランナーの90分の無料体験も利用できます。講師との相性を確かめてから決められ、無理な勧誘はありませんので、まずは気軽に試してみてくださいね。

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